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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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みんなボロボロだ!!

 しばらくすると、話し声や足音まで聞こえるようになるが、緊迫した雰囲気はない。


 今の時間からさらに上の階層に向かうのは厳しい。この場所で一泊するのは間違いない。正人たちは拠点の中心で休んでいたが、集団に囲まれるのも怖いため、隅に荷物ごと移動することにした。


 作業が終わると同時に、ぞろぞろと探索者の集団が休憩所に入ってくる。


「何があったんだ……」


 視線を向けた正人は唖然とした。


 入ってきた探索者たちの装備は破損している部分が多い。折れた剣を持ち歩いている探索者もいるほどだ。無事な所を探す方が難しいだろう。


 ほぼ全員の目には隈があり、顔色も悪い。体中に包帯が巻かれていて、背負われている人間もいた。普通の探索ではあり得ないほど疲弊しているのだ。


「正人さん……どうします?」


 聞いたのは里香だが、冷夏とヒナタも同じ気持ちのようで、じっと正人の目を見ている。彼女たちからは、あの集団に近寄りたくないといったオーラが見えるようだった。


「彼らもここで泊まるみたいだ。挨拶しよう。私が一人で行くから待ってて欲しい」


 もちろん、正人も疲弊していてケガも多く目がギラついている男の集団に、美少女を連れて行こうとは思わなかった。無用なトラブルを避けるために、一人で向かうこと決めた。


 イスから立ち上がると、集団の中心となって指示を出している一人の男性の前に移動する。


「ケガ人は中心にまとめろ! 周囲の警戒は三名で十分だ。それ以外は飯の時間だ!」


 リーダーだと思われる彼は、小柄で探索者の集団をまとめられるとは思えないほど、華奢な体型だ。


 若く見えるが、指示の出し方が慣れていることから、見た目以上の年齢をしているであろうことが予想できた。疲労困憊になっているパーティーメンバーが、彼を軽視せずに素直に従っていることから、信頼感や統率力が高いことも分かる。


 それを見た正人は、トップを抑えてしまえば、目の前の集団が暴走して里香たちを襲うといった自体は避けられそうだと感じた。


「こんにちは」


 人見知りが発動しそうな弱気な心を奮い立たせて、声をかけることにした。


「お、先客がいたのか。騒がしくて申し訳ない!」


 男は笑顔で応えた。

 お互いに手を差し出して握手をする。


「いえいえ、私たちは少人数ですし、はしの方で休ませてもらいます」


「それは、ありがたい。見ての通り、我々の状況は悪いからな……」


 正人たちを隅に追いやったことは理解しているようで、腰はやや低い。

 男は視線をケガ人が集められた休憩所の中心に移る。


 うめき声をあげながら横たわっていた。包帯から血がにじみ出ている。かろうじて意識はあるが、体は動かせないようだ。回復スキルさえあれば、もう少し状態をよくすることはできるが、そんなレアなスキルを持っている人はいないのだろう。


「何があったんですか?」


 純粋な疑問だった。ダンジョンの中は危険だとはいえ、数十人を超える集団がここまで消耗するのは珍しい。正人は何があったのか興味を抑えきれずにいた。


「十七階層を探索していたんだ」


「十七階層を!?」


 つい先日、十五階層を突破したばかりなのに、さらに奥へ進んでいることに、正人は驚いた。


 あそこまでたどり着けるのは隼人が率いるパーティー集団――クランしかない。と、正人が思ったところで、四階層で出会った、隼人が率いていた集団だったことに気づく。


「ふ、そうだ。日本のダンジョンでは最前線の場所を探索してきた」


 自慢げな表情にも納得だ。探索者の中でも一流と言われる集団なのだから、誇りたくなるのも無理はない。気分が良くなったのか、男は話を続ける。


「十六階層からはダンジョンが大きく変わる。いわゆる悪魔みたいなモンスターが出てきては、多彩なスキルを使って攻撃してきてな。量も質も桁違いで、この倍ぐらいの人数で挑んだんだが、あえなく撤退した……」


 話している間に思い出したのだろう。悔しそうな顔をしている。

 だが、目は死んでいない。もう一度挑戦してやる。そういった意思の強さが感じられた。


「食糧の問題もあって元気なヤツは先に帰り、ケガ人を集めた後発組の我々が、ようやくここまでたどり着いたというわけだ」


「それは、大変でしたね……。私たちに気にせず、ゆっくりと休んでください」


「ありがとう。助かる」


 会話を打ち切り、正人は里香たちの場所に戻る。

 十七階層からの帰還した探索者だと伝えると、大いに驚き、そしてダンジョンの厳しさを改めて認識するのだった。


◆◆◆


 その会話以降は、これといって大きな出来事はなかった。

 二交代制の夜番をこなした正人たちは、遠征帰りの集団と別れて六階層の探索をする。


 今回の目的はダンジョン内の宿泊になれることだったので、二時間ほどで切り上げて四階層にまで戻る。ようやく見慣れた場所に戻ったと安堵した正人らだったが、噴水広場にいる探索者が殺気立っていた。


「何があったのかな!?」


 興味津々なヒナタが騒動の中に入っていた。冷夏は止めようとして後に続いた。


「モンスターじゃなさそうですね」


「そうなんですが……だとしたら、何が起こったのでしょうか?」


 里香の質問に正人は答えられなかった。想像がつかないからだ。

 様子をうかがっていると、冷夏に引きずられたヒナタが戻ってくる。


「どうやら、ドロップ品の強盗があったみたいです」


「「え!?」」


 再び、ダンジョン内で発生した人為的な事件に遭遇して、正人と里香は同時に驚きの声を上げた。


「しかもー! 十七階層で手に入れた貴重で、たっかく売れる悪魔の角!!」


 十七階層のドロップ品はどれも流通量が少なく、武具の素材として使えるため、探索協会に売ったととしても数百万円はする高級品として有名だ。


 それが奪われたとなれば、殺気立ってしまうのもうなずける。


「それなら、この状況も理解はできるけど……そんな物を盗んでどうするつもりんだろう? 正直、盗品の扱いは難しいよ。換金するにしても、自分で使うにしても、ね」


 ドロップ品の販売方法は限られているため、売ろうとするとほぼ間違いなく足がついてしまうのだ。装備品にするにしても加工の問題が出てくる。特別な設備が必要となり、誰にでも依頼できる仕事ではないのだ。


 十七階層までたどり着ける探索者であればレベル三、さらにスキルも複数所有しているのがほとんどだろう。


 換金も加工もできず、強者に対して物を盗むのは、悪魔の角とはいえリスクとリターンが見合わない。


「それに、協会も黙ってはないと思う」


 正人の懸念はあっている。探索者を増やすことに心血をそそいでいる探索協会にとって、人間同士の犯罪は許されない。特に、成果を横取りするような行為に対しては、それ相応の報復が待っている。


 それは数百万円を手に入れたとしても割に合わない。


「これから、どうなってしまうのでしょうか?」


 里香の疑問に答えられる人間はこの場にいない。

 事態の推移を眺めることしかできなかった。


 時間が経過しても騒ぎが収まるどころか、さらに拡大していくなか、一人の男性が正人に近づいてくる。拠点で話していたリーダーだった人物だ。


「ちょっと聞きたいことがあるんだ。時間をもらえるか?」


「ええ、大丈夫です。何でしょうか?」


 突然、話しかけられたことに驚きつつも、正人が前に出て応対することになった。

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