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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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信じるしかない、と思うが?

 下手に動けない正人は豪毅との会話を選ぶ。


 時間を稼いで活路を見いだそうと思ったのだ。


「豪毅さんは何をしに来たんですか?」

「美都をよこせ。それをするだけで、君たちは今まで通りの生活ができる」

「断るといたら?」

「無理にでもいただく」


 パチンと豪毅が指を弾くと、伊織と紅は銃を取り出してユーリと正人に向けた。


 レベルアップして肉体は強化されているが、銃で撃たれれば強い痛みを感じるし、当たり所が悪ければ重傷を負う。無茶をして動くわけにはいかなかった。


「私たちを殺せば日本のマザー討伐は止まりますよ?」

「後は他国に任せればいい。被害は出ているが問題はないだろう」

「もしマザーが見つかったとき、日本が参加しなければ世間に非難されるのでは?」

「怪我をして参加できなかったと発表でもするさ。世論の操作なんて、どうとでもなる」


 豪毅が強硬手段に出たのは、他国の探索が順調だったことにある。一部の舞台は全滅したが、残りが運び屋の追跡を続けており、マザー発見も時間の問題だと考えられてるのだ。


 正人だけしかできない仕事はない。


 マザーは数で押しつぶせば勝てると考えている。


 この一手、二手先を読む嗅覚と行動力が、副会長まで上り詰めた原動力であった。


「探索協会は探索者を使い捨てする、というのは本当だったんですね」

「少し違うな。価値がなくなった探索者のみ、使い捨てる」

「すると私はもう用済みと言うことですか?」

「正人君はまだ使い道がある。殺したくはないから、降伏してくれないかね」


 美都を手に入れた後、正人のユニークスキルも強奪するつもりだ。スキルカード化できれば、スキルカードのコピースキルで『経験昇華』が複製できるようになり、正人レベルの探索者を無尽蔵に生み出せる。


 たった一人の強力な探索者に頼るという歪な環境を正せるのだ。地上で暴れているモンスターも駆逐可能になるだろう。


 大きなメリットしかない。


 強奪スキルを使われた対象――正人が死ぬ、という事実に目をつぶれば。


「降伏した後に強奪スキルで殺すつもりですよね?」

「日本のために犠牲になるのだ。喜ばしいことだろ? ああ、そうだ。死んだ後のことは心配しないでいい。弟や仲間はワシが面倒を見よう」

「趣味が悪いな……」


 兄である正人を殺すよう命令した張本人に生かされる屈辱とは、どれほどものだろうか。ユーリは軽く想像しただけで怒りで頭が真っ白になりそうだった。


「この状況を作り出した本人の言葉を信じられると思いますか?」

「信じるしかない、と思うが?」


 ユニークスキルを手に入れて組織を強化したい豪毅と、命を奪われる危険のある正人。


 話し合いは平行線のままだ。何時経過しても交わることはないだろう。


 正人は美都を抱きしめているユーリを見る。お互いにうなずくと、二人が同時に同じスキルを発動させた。


 ――自動浮遊盾。


 二枚の半透明の盾が浮かび上がり、紅の放った銃弾を弾いた。


 伊織が美都を確保しようと動き出したが、半透明の盾が進路上に入って邪魔をする。


 正人が二人に接触をした。急いで魔力で覆っていく。


「どこへ逃げるつもりだ? 他の部屋にもワシの手下はいるぞ」


 この場にはいない里香を代表とした仲間も探索協会の手が伸びている。抵抗するわけにも行かずに拘束されているのだ。自室にいるとは限らず転移で助け出すのは難しい。


 豪毅の言葉で数秒ほど悩んでいると、外からプロペラの音が聞こえた。


 窓を見るとヘリコプターがいて、銃を構えている男が数人いる。


 撃つつもりだ!


 正人が気づいた瞬間に『障壁』を発生させて、三人を覆うのと同時にトリガーが引かれた。


 窓ガラスを割って銃弾が降り注ぐ。


 スキルのおかげで無傷ではあるが、テレビやソファ、キッチンなどが破壊されていく。豪毅は紅の使った『シールド』スキルによって前面が守られており、同士討ちにはなっていない。


 さらにヘリコプターに乗っていた男達が窓から侵入してきた。


 全員がレベルとスキルを持っていて、全滅させるならともかく無力化させるのは難しい。


 撤退だ。仕切り直しが必要である。


 ――転移・改。


 魔力でユーリと美都を覆うと烈火たちが通う学校へ移動した。


 豪毅の手はまだ伸びていない。授業をしている。


 正人は烈火、春の順番でクラスに入ると連れて行き、五人集まると再び『転移・改』を使った。


 移動先はオーストラリア大陸にある蟻人族の巣、そこの横穴だ。


 衛星通信の携帯電話がギリギリ使える場所であり、居場所がわかっても豪毅の手が及ばない場所である。


 近くに蟻人族の姿は見えない。


 正人はようやく一息を付いた。


「なにがあったの?」


 心配そうに春が言うと、代わりにユーリが答える。


「探索協会が裏切りやがった。里香やレイアたちは人質にとられているだろう」

「人質? 普通の犯罪者に捕まるとは思えない。どういうこと……」


 状況がマズいことはわかったが、あまりにも説明が不足しすぎていて春と烈火の理解が追いついていない。


 そこで正人は『スキルカードコピー』の存在や、『強奪』スキルと組み合わせることでユニークスキルを抽出できること、そして正人の『スキル昇華』を『強奪』して、『スキルカードコピー』によって量産する計画まで話す。


 これらは、あくまで予測ではあるが、豪毅の態度からして実現性は非常に高い。


「なんだよそれ! 国のためなら一般人は犠牲になってもいいと考えているのかよ!!」


 怒りが収まらない烈火は、地面を殴りつけた。皮膚が切れて血が流れ出ている。


「確かに日本の防衛力は高まるけど、兄さんが死ななきゃいけないんでしょ? 従う必要はないよ」


 これは国家による人権侵害だ。


 世間に訴えかければ人質すらも助けられる。無視すればいいと春は思っていた。

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