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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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(日本)大教祖様の覚えが良くなるなら、当然できますよ

「ようこそお越しくださいました」


 ターゲットの男は立ち上がって握手を求めてきた。伊織は手を伸ばして握る。


「俺は風見伊織、後ろにいるのは早乙女紅です」

「丁寧にありがとうございます。私は鈴木です」


 お互いに手を離すと狭い部屋の中で椅子に座る。


 伊織は襲われたときの対処方法をいくつか検討するが、暴れるには少々スペースが足りない。超至近距離の攻撃をするぐらいしか、戦う方法は思い浮かばなかった。


「早川君から聞いていると思いますが、レアカードは持ってきてくれましたか?」

「もちろんです」


 伊織が視線を送ると、紅は肩からかけているポシェットから透明なケースに入っている『自己回復』のスキルカードを取り出した。

 

 鈴木は目をスーッと細くしてスキルカードを見る。


「回復系ですか。需要は高く探索協会が独占しているものですね。モンスターから手に入れたのですか?」

「そんな面倒なことはしませんよ」

「では、どうやって手に入れたので?」

「持っているヤツから奪えばいいです」

「それだと探索協会に睨まれませんか?」

「ダンジョン内で死んでしまえば誰もわかりませんよ」


 さらっと伊織は犯罪を報告したが、この場で咎める者は誰もいない。


 当然のように受け取られて話は進んでいく。


「カードを入手したとの情報は、どうやって手に入れるのですか?」


 自己回復のスキルは人気が高いため、手に入って地上に戻ればオークションサイトで売ってしまうだろう。またその場で使ってしまう可能性もあり得る。


 奪い取るにしてもタイミングが難しい。信じているように見えて警戒している鈴木は、その点を指摘したのである。


「自己回復のスキルカードは千葉ダンジョンの10階層目に出てくるボスから入手できるのはご存じですよね?」

「ええ。確か浅瀬の湖と岩場があって戦いにくいとか。ボスは……トード系でしたっけ」

「モンスターの情報まで知っているとは。お詳しいですね」


 驚いた振りをしつつ、伊織は話を続ける。


「一般公開はされてませんが、ある岩場の中に入ることができて、ボスの動きが監視できるんですよ。そこで数日張り込んで、スキルカードがドロップされたら襲う。喜んでいるヤツらは隙だらけで、相手の数が多くても苦労はしませんでした」


 実際に探索協会からの依頼で探索者を殺したことがある伊織は、虚実を交えて説得力のある説明をした。


 つい先ほどやってきたような自信がある態度に、国家や探索協会の手先ではないと確信する。


 ドロップアウトした探索者だと、疑り深かった鈴木も信じてしまったのだ。


 全ては伊織の計画通りに進んでいる。


「他のダンジョンでも似たようなことはできますか?」

「大教祖様の覚えが良くなるなら、当然できますよ」

「おお。それは心強い」


 裏があって無償でないところがいい。


 鈴木は伊織を気に入り始めている。


「それで私が呼ばれたのは、このスキルカードをお渡しするためでしょうか?」

「はい。そうなりますが、もちろん無償とは言いません。大教祖にはこのことをお伝えしますし、私からも一つプレゼントがあります」


 テーブルに置かれたのは紫色の沼地のイラストが描かれたスキルカードだった。『毒沼』と呼ばれるスキルを覚えられ、触れただけで衰弱する効果がある。長期間触れていれば死に至る毒だ。


 解毒も難しいため、表の取引では禁止されている。探索協会のオークションサイトでも出てこない。レア度で言えば『自己回復』よりも上であった。


「伊織さんにお渡ししましょう」

「毒沼を覚えさせて何をさせる気ですか?」

「話が早くて助かります。実は欲しいスキルがありましてね。スキル封印をご存じですか?」

「いえ、初めて知りました」

「無理もありません。一度も表に出たことがありませんからね」


 過去に二枚だけ手に入れた探索者はいるが、探索協会が全てを買い取って封印している。


 市場には一度も出たことのないスキルカードだ。


「使用者の半径百メートルほどの範囲でスキルの発動を阻止するスキルです。東京ダンジョンの奥に出てくる悪魔がドロップするので、他の冒険者が手に入れたところをかすめ取ってください」


 言っている鈴木も無茶なことをお願いしている自覚はあるが、依頼を受けるまで返すつもりはない。


 洗脳の弱点が露呈してしまった今ラオキア教団が手に入れるのは難しく、正人への対策としてどうしても手に入れたいため、伊織のような探索者を待っていたのだ。


 依頼を受けるか悩んでいる伊織は紅に意見を求めることにした。


「だとさ、どうする?」

「私は良いと思うわよ。『毒沼』があれば奪いとるのは簡単だと思うし」

「いや、そうじゃなく……まあいいか……」


 依頼を受けず、資料にあったターゲットをこの場で攫うことまで想定して質問した伊織だが、紅は何も考えてないことに気づいて諦めた。


 ここは敵地で味方は二人だけ。


 無理をする場面ではない。


 スキルカードも探索協会に依頼をすれば、用意できることだろう。伊織は依頼を受けてもどうとでもなると判断した。


「パートナーの紅が乗り気なのでチャレンジしてみましょう。手に入れたらどこへ連絡すればいいでしょうか?」

「私宛にお願いします。連絡先を伝えますね」


 お互いにチャットのIDを交換すると、伊織は『毒沼』のスキルカードをポケットに入れてビルから出ることにした。

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