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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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共倒れしてくれねぇかな

 聞こえていた戦闘音は激しくなっている。吹き飛んで天井のシミになる蟻人族もいるほどだ。


 数百の敵を前にしても暴れ続けているモンスターの正体が気になるが、正人たちは隠れているため動けない。


「敵は単体だと思うか?」

「囲い込んでいるので恐らくは」

「共倒れしてくれねぇかな」

「それは最高ですね」


 気づかれないように会話をしていると、戦況に大きな動きが出た。


 一般兵よりも二回り大きい蟻人族が来たのだ。片手に幅の広いサーベルを持っていて、もう一方には体を隠せる盾がある。さらには槍を持った三体の部下を率いていて、これも一般兵よりも大きい隊長級だ。


「隊長級とエリート級か?」

「恐らくそうですね。少なくとも周囲の反応からして上位の個体なのは間違いないでしょう」


 初めて遭遇したエリート級の蟻人族を見て、正人は警戒心を高めた。


 もし索敵系等のスキルを持っていれば、居場所が看破されてしまうからだ。


 両手にナイフを持ち、いつでも移動できるように準備しているが、エリート級の蟻人族は正人たちを通り過ぎて行った。


 安堵のため息を吐いてから、戦場を見ると一般兵は敵から離れていた。


 戦っていた相手の姿が見える。身長は三メートル近くあり、腕が四本もあるオーガの亜種であった。『自己回復』のスキルを持っているため、噛まれた傷は小さくなっていく。


 手にはハンマーを持っていて血がべっとりと付いている。


 正人はあれで蟻人族を吹き飛ばしていたのだと理解した。


『仲間の仇を討つ!』


 エリート級が斬りかかるとオーガ亜種はハンマーで打ち落とそうとしたが、腕に槍が刺さってしまい動きが数秒遅れてしまう。その隙にサーベルが腕の一本を斬り落とした。


 自己回復スキルは四肢欠損まではカバーできてない。オーガ亜種の戦力は落ちてしまったのだ。


「ぐあぁああああっ!」


 全身を震わせる叫び声を上げると、隊長級までの蟻人族の動きが止まった。『咆吼』のスキルを発動させたのだ。三本になってしまった腕を振るってエリート級に攻撃をするが、大ぶりのためなのか当たらずに回避されてしまう。


「パワーはオーガ亜種、技量はエリート級って感じか?」


 姿を消したままユーリがつぶやくと、正人はうなずいた。


 どちらが一方的に強いわけではないので、状況次第では勝敗は容易に変わってしまう。


 回避と同時にエリート級はサーベルで突き刺しているが、オーガは『自己回復』によって傷を塞いでいく。さらに『咆哮』を上げて周囲の蟻人族の足止めを継続していて、このまま長期戦になりそうだったが、突如としてオーガ亜種が膝を突いた。


 魔力切れだ。


 無限に回復できるスキルなどない。使えば体内の魔力が減っていき、いつかは底をつく。エリート級の蟻人族は、そうなることを狙って無理な攻撃はせず、サーベルで傷を与えていたのだ。


『敵は回復ができない! 全員止めを刺せ!』


 エリート級の蟻人族が声を上げると、一般兵が殺到していく。オーガの亜種は腕を振るって何体か潰したが、顔や体、足などを噛みつかれて、肉を持って行かれてしまい、痛みで動けなくなる。


 ぐちゃぐちゃと、肉の咀嚼音が蟻人族の巣内に広がっていく。


 血の臭いもただよってきて、正人たちは不快感で眉をひそめた。


 勝負が付いた後も様子をうかがっていると、エリート級は戦いが終わったと判断してこの場から去って行く。一般兵はオーガ亜種の肉を小分けにして通路の奥へ運んでいった。


「運び屋に渡すつもりだぞ。追いかけよう」

「はい」


 一般兵の最後尾に付いていくと、オーガ亜種の死体の横を通る。


 骨だけが残っていた。栄養のある肉は余すことなくマザーへ献上されるのである。


 蟻人族の後を追って数時間が経過して、ようやく変化が訪れる。


 ドーム状の広場に到着したのだ。数万人は入れるほど大きい場所で、複数の通路につながる道がある。集積所みたいな場所だ。そこで一般兵は運び屋に肉塊を渡している。


 正人は近くの岩の影に隠れて様子を見ていた。


 運び屋は大量の荷物を持てるようにリュックを装備している。一般兵が肉塊を隙間なく詰め込むと、運び屋は同じ通路を歩いて行った。


「あの道がマザーに続くのか?」


 正人の背後から急にユーリの声が聞こえた。


「透明化しながら話しかけられると心臓に悪いですね」

「わるかったな。次からは肩を叩いてからにする」

「それはもっと驚きそうです」

「だったら我慢するんだな」


 お互いに笑みをこぼしながら話していたが、正人は気持ちを切り替える。


「マザーに近づくのは間違いありません。ユーリさんは先に追いかけられますか? 分岐があったら、目印を置いてください」


 正人は『隠密』スキルしか持っていないため、大勢の目がある場所だと見つかる可能性がある。一方のユーリは姿自体を隠せているので、追跡するには最適な人材だ。


「わかった。足元に矢印でも書いておく」


 その言葉を最後にユーリは運び屋の後を追っていった。


 残った正人は蟻人族の姿がなくなるまで待つが、入れ替わりで次々とやってくるため途絶えることがない。


 動き出せないまま夜になってしまった。

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