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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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足を引っ張るんじゃねぇ!

 食事中の蟻人族は隙だらけだ。音を出さずに殺せるチャンスである。


 死体も『毒霧』で溶かしてしまえば隠蔽可能だ。


 やるか。


 正人が密かに殺意を高めていると、蟻人族が寄りかかっている壁に穴が空いた。新しい蟻人族が出てくる。巣の穴を広げている一般兵と合流したのだ。


『この先は行き止まりだ』

『わかった。別の道を探す』


 食事を中断した蟻人族が文句を言うと、新しく来た蟻人族は後ろに下がって戻っていった。


 掘り進める道を変えたのだ。


 再び一人になった蟻人族は、一口で食事を終わらせると立ち上がった。


 左右を見て安全を確認すると、運び屋が向かった場所を進む。

 

 道が一本しかないため、どこかで合流されるかもしれない。やるなら今だ。


 ――短距離瞬間移動。


 蟻人族の背後に回って、正人はナイフを横に振るう。ポトリと頭が落ちた。返り血を浴びないように後ろに下がった正人は、手を前に出す。


 ――毒霧。


 血ごと蟻人族の体を溶かした。


 スキルの効果が切れると死体は残っていない。処理は完璧だ。


 腰につけたランタンの明かりをつけ、後続に対して先に進むと合図を出してから、運び屋の後を追う。


 地面は硬いので足跡は残っておらず、一本道を歩きながら長い時間を進むが運び屋の姿は見えない。


 そろそろ追いつけるはずなのに。正人が疑問に思っていると、横穴が見つかった。子供が歩けるぐらいの小ささだ。物を引きずった跡が残っている。


「この先に行ったのか」


 腰をかがめれば先へ進めるが自由には動けない。戦闘が発生するなら、戦い方は工夫が必要だろう。


 仲間と合流してから行き先を決めよう。そう思って待っていると、後方から金属音が聞こえた。


 振り返って見ると、里香たちが蟻人族の集団に襲われていたのだ。


 先程までなかった横穴から蟻人族が出てきている。運悪く正人の見かけた個体が、また穴を掘って出てきたのだ。


 1番小回りのきくヒナタが、レイピアで連続突きをしている。頭部を何度も刺されて蟻人族は倒れたが、死体を踏みつけて後続の蟻人族がやってきた。


『ギィ!!!!』


 敵襲の叫び声をあげていて集まってきた。


 背後からも蟻人族が来ており、ユーリが短槍で突きながら倒している。


 死体は積み上げているが、数は減らない。


 体力だけが削られている状態だ。


「こっちに逃げてください!」


 正人の方に蟻人族はいない。冷夏と里香は鬼人族の二人を連れて逃げる。


 里香は戦いながら美都を見た。


「お二人も前の方へ!」

「だって、どうするの?」


 危険な状況だというのに美都はのんびりとした口調でユーリに聞いた。


「指示通りに動け。足を引っ張るんじゃねぇ!」

「ごめんね。今回は私が悪かったわ」


 ユーリの言葉だけは素直に従った。美都は敵の攻撃を抑えている里香を通り過ぎ正人と合流する。


「ヒナタの嬢ちゃんも後ろに下がりな!」

「何するの!?」

「考えがある」


 一瞬だけためらったヒナタであったが、ベテランであるユーリを信じることにした。


 最も近い蟻人族の頭をレイピアで突き刺してから、足で体を蹴って吹き飛ばす。後続が巻き込まれて転倒した隙を突いて、ヒナタは正人と合流した。


 ――自動浮遊盾。


 後方の通路と横穴を半透明の盾が埋めた。ユーリが川戸の形見として受け取ったスキルで、魔力を注いで拡大したのだ。


 残っていた蟻人族を短槍で突き殺してから、正人と合流する。


「先に行くか?」


 前方から足音が聞こえている。騒動に気づいた増援が近づいているのだ。


 四方から囲まれていて逃げ場はない。


「みんな手を繋いで!」


 正人が選んだのは逃走だ。


 最後にユーリの肩に手を置いてマンションの一室をイメージする。


 蟻人族が迫っている。


 時間がない。


 内心で焦りながらも正人は準備を進める。


 残り一メートルを切ったときにようやく、スキルが発動できた。


 ――転移・改。

 

 薄暗い場所から、蛍光灯の光がある正人の自室へ戻った。


 全員が土足であるためフローリングは汚れてしまったが、誰も気にする余裕はない。


「危なかったねーー!」


 第一声を上げたのはヒナタだ。仰向けになって力を抜いている。冷夏が失礼だよと声をかけようとしたが、正人は首を横に振って止めた。


「みんな楽にしよう」


 装備を身につけたまま、正人が近くのソファへ座った。


 それを見てユーリ、美都が床に座ったのを見て残りも楽な姿勢を取る。


「逃走は正解でした。あのままだと数に押されて全滅していたと思います」


 先ほどの出来事を振り返ってレイアが正人の判断を肯定的に言った。


 実際、『毒霧』でまとめて倒したところで、恐れを知らない蟻人族が次々と押し寄せて負けていただろう。ダンジョンではないため、新しいスキルも覚えられず一発逆転は難しい。見つかった時点で逃げるしかなかったのだ。


「警戒が高まったから、戻るのも難しいんじゃねーか? 次はどうする?」

「蟻人族は頭が良くありません。一日おけば通常状態に戻るでしょう」


 ユーリの指摘にレイアは冷静に答えた。


 蟻人族は常に目の前のこと、もっと具体的に言えばマザーのエサを獲得するのに多くの思考と時間をさいている。侵入者さえ撃退できれば、原因の追求や再発防止策をする余裕はないのだ。


「その言葉が本当であれば、次の侵入をどうするか考えるべきだな。正直、団体での行動は反対だ。もっと数を減らして行くべきじゃないかと思う」


 一度でも見つかれば大量の蟻人族が襲いかかり、逃げ場がない。


 事前に予想できたことで、だからこそ少数で攻めに行ったのであるが、考えが甘かったのだ。


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