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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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それとも全滅……

 隠れている岩から顔を出す。何も見えないが、数メートル離れた場所にバリスタの矢が刺さった。石が飛び散って矢が完全に埋もれている。


 盾にしている岩も貫くほどの威力だ。


 今いる場所も安全ではない。


 位置はバレてしまったので次が発射される前に移動する必要がある。正人は姿を隠せそうな岩を見つけると『短距離瞬間移動』を数回使って場所を変えた。


 直後、先ほどまで隠れていた岩がバリスタの矢が突き刺さり破壊された。


 判断が少しでも遅れていたら、体が四散して終わっていただろう。


「ギリギリだった……他の国はもっと楽に進めているのかな、それとも全滅……いや止めよう。今は目の前のことに集中するんだ」


 嫌な想像を振り払った正人は次の移動先を探すが、隠れられるような場所はなかった。


 蟻人族の攻撃はピタリと止まっている。最後の攻撃で正人を殺したと判断したのだ。超長距離攻撃だったので死体を確認するにしても時間はかかる。


 猶予はあるので急ぐ必要はない。


 時刻は夕方だ。夜になるまで、正人は『索敵』『隠密』スキルを使用して身を潜めることにした。


 ◇ ◇ ◇


 何事もなく夜になった。

 

 天候は晴れで星が見える。街灯はないので真っ暗ではあるが『暗視』スキルによって視界は確保できている。


 顔を出して攻撃が来ないか確認してみるが反応はなかった。『索敵』スキルで警戒を続けているが、マーカーが浮かび上がることはない。


 今が行動するチャンスだ。


 正人は無線で状況を伝えてから隠れて居た岩から飛び出し、走りながら山を下っていく。『索敵』スキルにマーカーがいくつか浮かんだので確認したが、すべて動物だった。蟻人族はいない。


 だからといって安心はできない。


 隠れられる場所がないため、移動を続ける。


 長い間歩いているが下山すらできず、周囲が明るくなってきた。正人が生きているとバレてしまえばバリスタの攻撃は再開する。


 せめて数人が身を隠せる場所を見付けなければ。


 急いで探しても木々どころか大きな岩すら見つからない。時間だけが過ぎていく。内心で焦りは高まっていくなか……ついに崖についてしまった。前に道はない。


 どこかに移動できる先がないか探してリウと、崖の途中で横穴を見つけた。


 歩いて行けるような場所ではないが、正人には『短距離瞬間移動』がある。何度かスキルを使用して入った。


 ――索敵。


 脳内に赤いマーカーが複数浮かんだ。人間ではない存在がいる。北海道のときように未発見のダンジョンを見つけたのかと思い、『隠密』スキルで隠れながら様子を確認すると、蟻人族の姿があった。


 正人はダンジョンではなく、蟻人族の巣を発見したのだ。


 見つからないよう後退して横穴の出口まで戻る。衛星利用の携帯電話でユーリに連絡をした。


『蟻人族の巣に入りました。出入り口付近に敵はいません。臨時の集結ポイントにしたいと思います』

『了解。飛行機の燃料がキツイから助かったぜ』


 日本への帰還距離を考えると、そろそろ巡回を終えなければいけないタイミングであった。


 飛行機が日本へ戻ったところで、正人の『転移・改』があればパーティメンバーを巣まで移動させることも可能ではあるが、探索協会に集団で移動できるスキルの存在を気づかれてしまう。


 拠点襲撃後のことを考えれば、短距離の転移もしくは単体の転移しかできないと勘違いしてもらった方がよかった。


『それでは、一度戻ります』


 スキル『転移』は移動先をイメージする必要がある。蟻人族の巣はどこも景色が似ているので、正人は念のため目印となる傷をつけておいた。これで発動もスムーズになるだろう。


 ――転移。


 一瞬にして正人は機内に戻った。


 ユーリたちは全員揃っており、添乗員は意識を失って倒れている。


「スキルがバレないよう気絶させておいた」


 探索協会とつながっていると睨んだユーリが先手を打っておいたのだ。


 意識が戻った頃には誰もいない。移動方法は推測できるだろうが、絞り込むのは難しい。『転移・改』の存在を確信するまで時間がかかる。その間に、探索協会の手が及ばない場所へ逃げればいいのだ。


「それじゃ、みんな手を繋いでください」


 里香と冷夏が正人の手を取って、残りのメンバーが順番につながって輪になった。


 集中するために正人は目を閉じて魔力を広げて他人を包んでいく。時間にして10分ぐらい経つと準備が完了してスキルを発動させた。


 ――転移・改。


 8人全員が機内から姿を消して、蟻人族の巣へ移動した。


 正人はすぐにナイフを抜いて警戒するが敵の姿はない。『索敵』スキルを使っても赤いマーカーが現れなかったので、安全だと確認するとランタンの電源をつけて光源を確保した。


「これが集団転移ってやつか。個人が持つには強すぎる」


 短槍を振るって体の調子を確かめながらつぶやいた。


『転移』だけでも様々な犯罪が可能となるのに、集団で行動できるならやれる幅が広がる。それこそ、国家転覆だってできるようになるだろう。


 利便性よりも危険性を重要視すれば、美都のように軟禁されるのではなく、暗殺の対象にもなりえる。


 添乗員を気絶させておいて良かった。少なくとも即座に危険物として正人を排除する動きにはならないと、ユーリは内心で安堵していた。

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