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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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わかるよ。私には

 ――毒霧。


 先頭にいた正人が前方に向けて紫色の煙を放出すると、モンスターの肌を溶かしていく。近くにいた個体は骨まで溶けてドロドロの肉となり即死である。大量の魔力を込めていたこともあって広範囲に広がっており、約半数は戦闘不能。残りも重軽傷を負っている。


 上空にいた鳥人族は被害を逃れているが、里香と冷夏が放った『エネルギーボルト』と『ファイヤーボール』が直撃してしまい、次々と落下している。羽を狙っているため衝撃で骨折しているが息はある。戦闘が終わった後に正人が『復元』のスキルでも使えば、生き残るだろう。


「ォォオオオッ!!」


 二本足で立ち上がったビッグエイプが胸を何度も叩く。慎重に周囲を見渡しており怯えているようにも、また威嚇しているようにも見える。実際は恐怖を落ち着かせようとしているのだが、周囲にいる手下のモンスターには伝わっていない。


 攻撃の命令だと思い込み、ゴブリン、サソリ、スケルトン等、多種多様の敵が正人に殺到する。


「みんな後ろに下がって!」


 何を狙っているのかすぐに察知した里香たちは命令に従って距離を取ると、正人は『氷結結界』を使う。


 体が凍てつくほどの冷気が自身を中心に発生した。


 パーティメンバーの三人は効果の範囲外にまで離れているが、襲おうとして近づいているモンスターの集団は大きな被害が発生する。


 外殻が凍り付いた巨大なサソリは無理に動こうとして関節から足が取れてバラバラになってしまう。スケルトンも似たようなものだ。骨にヒビが入ると粉々に砕け散って、光を反射してキラキラと輝く欠片をまき散らす。


 即死した二種類はまだマシな方で、ゴブリンといった動物に近しいモンスターは、空気中に含まれる水分が氷、肺に侵入して激しい痛みを感じさせる。逃げようにしても冷気によって筋肉が硬直して動かない。意識を保ったまま拷問のような時間を経験して窒息死してしまう。


 ボス個体でもあるビッグエイプすら例外ではなく、寒さに耐えるように体を丸めながら息絶え、黒い霧になって消滅してしまった。落下していった鳥人族まで巻き添いになってしまったが、少数の生き残りが上空にいるので正人は問題ないと判断している。


 モンスターの集団が瞬く間に倒されてしまい、驚き敵の動きは止まってしまった。


 攻撃がこない。好機である。


 ――ファイヤーボール。


 爆発力を強化した火球が正人から放たれた。向かう先は戦車だ。キャタピラが動いて後ろに下がって一発目は回避したが、続けて放たれた二発目が衝突。爆発によって横転してしまう。余波で砲台部分も破壊されてしまい使い物にならなくなった。


 ハッチが開くと頭から血を流している人間が数人できてきた。見た目からして日本人だとわかる。


 逃がすわけにはいかない。


 正人は『短距離瞬間移動』で仲間の三人に近づくと、『転移・改』によって戦車がある場所まで移動する。


「私は他の敵を探す! みんなはあの人たちを捕まえて!」


 指示を出すと正人は『短距離瞬間移動』を使って、他の敵を探しに行ってしまった。


◇ ◇ ◇


 指示に素早く反応して飛び出したのは里香だ。双子は少し遅れて、戦車から出てきた人たちを押さえつけていくが、ラオキア教団の信者たちは歯に仕込んでいた毒を飲み込んでしまう。体が痙攣すると口から泡を吹いて動かなくなった。身内を裏切るぐらいなら死を選んだのだ。


 心が弱り、大教祖を盲信した結果、命を絶ってしまったことを里香は愚かだ思うが、哀れだとは感じない。


 異世界人に操られていることを知らず、社会に復讐するためという大義名分のために戦い、死ねた彼らはある意味幸せだったのだろうと共感できてしまったのだ。


 里香は正人に捕まるぐらいなら死ねと言われたら、喜んで同じことをするだろう。


 そう考えるとラオキア教団の信者と大きな違いはないようにも思えてくるから不思議だ。


 捕獲に失敗したとわかると、里香は精神的な支柱とも言える正人の姿を探す。


 近くにはいない。


 見える範囲に姿がなく不安になると、爆発音が聞こえた。黒煙がいくつか上がっている。


「正人さんが守ってくれているんだ」


 狙撃やロケットが飛んでこない。敵の攻撃が完全に止まっていることから確信を持っていた。


「危ないから隠れよっ!」


 ラオキア教団の信者が死んだ後も、ぼーっとしている姿を見てヒナタは里香の腕を引っ張って戦車を盾にして隠れる。


「里香ちゃん! さっきのは危なかったよ! スキルで回復できるからといって油断しすぎ!」


 頭を弾丸が突き抜ければ、『自己回復』を使うことなく死んでしまう。先に隠れていた冷夏は泣き出しそうな顔をしながら、心配していたのである。


「大丈夫だよ。正人さんが敵を倒してくれているから」

「姿が見えないんだから、そんなことわからないじゃない!」

「わかるよ。私には」

「…………」


 さも当然のように言ってのけた友人に、冷夏は言葉が出ない。お互いに正人を想っていることはわかっているが、強さが違う。深いところまで落ちてしまっているのだ。


 恋は盲目とはよく言うが、もしかしたらそれを超えているかもしれない。短い会話でそう感じ取ったのだった。

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