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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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どんな下品な命令にも従ってあげます

「これ、現地の映像ですよね」


 ユーリからスマホを受け取ると、レイアはディスプレイをじっくりと見る。


 ちょうど、蟻人族の出現している場所が映し出されていた。


「大きな建物が倒れている。柱を囓ったあとは……なさそう。自然に倒壊した? あ、地面に穴がいくつもある。やっぱり地面を掘ってきたみたい。あとは他に……」


 独り言をつぶやきながら状況を整理して、レイアは推測が当たっていたと確信を得る。


 あとは目的の蟻人族が見つかれば動きのほとんどがわかるのだが、映像に映っているのは一般兵タイプのみである。これだけでは情報が不足している。


「このカメラを別の場所に動かせませんか?」

「無茶言うなよ。国内の放送局が流しているとはいえ、俺らがお願いして言うことを聞くはずないだろ。無視されて終わ――」


 言葉を途中で終わらせ、ユーリは正人を見た。


「いや、お前が副会長経由で依頼すればいけるか? 敵の情報を集めたいから他の映像も欲しいと言えば変な疑いはかけられないだろう」


 探索協会の豪毅であれば政界や経済界にも強いコネクションはある。可能か、不可能か、で言えば可能だろう。


 しかし相手を動かすのであれば相応の根拠が必要となる。


「できるかもしれませんね。レイアさんは何が知りたいのですか?」

「新しく出現した場所に蟻人族の精鋭、もしくはキング、クイーンと呼ばれる個体がいないか知りたいのです。もしそれらがいた場合は移住が確定となります。他の地に拡散する心配は大きく減るでしょう」

「逆に見つからなかった場合はどうなりますか?」

「新大陸を探している尖兵になりますね。恐らくここ以外にも蟻族が出現する可能性は高まります」


 レイアは新しい土地を求めて他の大陸を目指すケースを懸念していた。


 もしよりよい土地を探すために世界中へ広がろうとしているのであれば、各国は対応を迫られ、地上に出てきたモンスターへの対処は大幅に遅れてしまう。


 もし蟻人族の動きに呼応して鳥人族も本格的に動き出ししたりでもしたら人類側はさらに不利になり、世界は大きなダメージを受けるだろう。下手すれば人類は半減、最悪は滅亡だ。


「それだったらカメラの位置を変えてもらうよりも、目撃情報を集めた方が良さそうですね。精鋭、クイーン、キングの見た目を教えてもらえませんか?」

「精鋭は一般兵よりも二回り大きく、キングは倍ぐらいの大きさですね。クイーンはお腹の部分が膨らんでいて非常に大きいので、見ればすぐ分かるかと思います」


 話を聞いた正人はスマホを取り出す。


「一応、豪毅さんにメッセージで情報を伝えておきます」

「出所を聞かれたらどうするんだ?」


 指摘されて、スマホの画面を触る指がピタリと止まった。


 情報をこのまま伝えればユーリが懸念しているとおり情報源を聞かれてしまうだろう。自分、そしてレイアたちの安全を考えれば言わないという選択をとるのもありだ。


「……教えませんじゃダメですかね?」

「お前ならそれで押し通せると思うが、確実に疑われる。マンションを強引に調べようとしてくるかもしれないぞ」


 鬼人族のレイアとサラを匿っていることは、絶対にバレてはいけない。


「鳥人族についても分からない状況で協会にまで睨まれたくないだろ? ここは大人しくしておくべきだ」


 自分一人ではなく仲間全員に迷惑をかけるかもしれないと考え直し、正人はスマホをしまった。


「そうですね。今回は静観することにします」

「良い判断だ。何でもかんでも正人が解決しなければいけないわけじゃない。たまには他のヤツらに任せようぜ」


 ユーリだって蟻人族の動向は気になっている。できれば目的を知りたいと思っているが、飲み込めないリスクだったので諦めるように言った。


 背中をパンと軽く叩いたユーリはレイアからスマホを返してもらうと、トレーニングマシーンの方へ歩く。


 重量のあるダンベルを片手で持ち上げる。


「やることもなく暇だ。一緒に筋トレしないか?」


 身動きが取れずモヤモヤとした気持ちを吹き飛ばしたくなって提案した。


「いいですよ。せっかくなら勝負しましょう。負けた方が暴露話を一つするってのはどうですか?」

「あら。それは楽しそうですね。私も参加して良いですか?」


 二人が勝負する雰囲気を見せるとレイアが割り込んだ。


 鬼人族の身体能力を確かめるにはちょうど良い機会でもある。正人は受け入れて良いと思った。


「私は良いと思います。ユーリさんは?」

「俺も賛成だ。鬼人族の力ってのを期待しているぜ」

「もちろんです。力では人間には負けませんから」


 見下されたように感じたユーリは、カチンとスイッチが入ったかのように瞬時に怒りがわいた。


 舐められっぱなしではいけない。絶対に勝ってやると誓う。


「言ったな。負けたらどうするつもりだ?」

「何でも言うこと聞きますよ。どんな下品な命令にも従ってあげます」

「良い度胸じゃねぇか。後でなかったことにして、なんて言うなよ?」

「ええ。その代わり私が勝ったら、お願いを一つ聞いてくださいよ」

「わかった。その条件でいい。勝負はバーベルで最も重い重量を持てた方でいいか?」

「望むところです!」


 勝負心に火のついた二人は正人を置いて行ってしまった。無理してついていくこともできるが、競うことにそこまで興味がないため静観すると決める。


 ユーリとレイアは鉄の棒――シャフトに円盤のプレートを付けていきお互いに持ち上げていく。レベルで強化された体であれば100kgは余裕でクリアしてしまい、さらにプレートを追加して負荷を高めていく。


 勝負に熱中していて正人のことは忘れられている。


 全力で競っているので決着がつくのはしばらく先だろう。

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