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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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小娘は黙ってろ

 最上階につくとエレベータから降りる。大きな窓ガラスがあった。


 少し前までは渋谷が一望できる素晴らしいロケーションだったが、モンスターが暴れ回った痕跡から、どうしても蛇神の存在を思い出してしまう。特に「異界化」スキルによって別世界に引きずり込まれた感覚は、時間が経った今でも忘れられそうにない。


 空間をねじ曲げるのではなく世界を書き換える能力。もしそれを永続的に発動させることができたら、日本そのものがなくなってしまうかもしれない。そんな危機感が正人の頭から離れずにいた。


「何かありました?」


 立ち止まったまま動かない事を疑問に思い、里香が聞いた。


「いや。何でもないよ。会議室に行こうか」


 頭を軽く振ってから正人はパーティメンバーを連れて細い廊下を歩き、会議室に入る。


 ドアを開くとコの字に机が並べられて、壁には大きなモニターがつけられている。手前の席に探索協会の職員である谷口が座っていた。奥には白いアラクネ討伐時、テレビに出演していた埼玉支部長の山田、その隣には副会長の豪毅がいる。


 山田は年齢不詳の見た目をしていて、歳はわからない。正人は恐らく三十から四十だろうと予想しているが、実際は違う可能性もある。一方の豪毅はわかりやすい。八十前後の老人ではあるが、体は鍛えられていて服の上からでも筋肉の盛り上がりがわかる。強くなった正人ですら強者の圧を感じるほどの実力者だ。


「待っていた! 好きなところに座ってくれ!」


 大声で笑いながら豪毅が言うと、山田の眉間にシワが寄った。


 隣にいたからうるさかったのだが、立場が違うので何も言えず耐えている。


「はーーい!」


 最初に返事したのはヒナタだ。お互いに波長が合うらしく、意外と仲が良い。


 スタスタと歩いて豪毅の隣に行こうとしたので、慌てて冷夏が止める。


「そっちはダメだって」


「なんでー?」


「奥は偉い人が座る場所だから、私たちは手前に座るんだよ。ほら、谷口さんだってそうしているでしょ」


 双子が一斉に彼を見る。


 遠回しに立場が低いと言われてしまったので、複雑そうな顔をしていた。


「ほんとうだー! だったら谷口さんの前に座るね」


「そうしましょ」


 ヒナタと冷夏が椅子に座った。その隣に里香も続く。


 正人も席に着こうとしたが、山田が手招きしていることに気づく。


「あなたは、私の隣にどうぞ」


 ピクリと里香、冷夏の方が動いた。年上でさらに探索協会のお偉方と何かが起こるとは思っていないが、それでも正人に近づく異性がいることに嫉妬心を覚えたのだ。


 そんな感情の機微を山田は気づき、挑発するように微笑む。


 ピシッと音が鳴ったような気がした。


『おばさんが調子に乗るな』


 と里香と冷夏が目で伝えると、


『小娘は黙ってろ』


 と言い返す。


 この無言の戦いに正人や豪毅は気づいてない。女性であるヒナタも同様だ。哀れなことに調整役としての察する力が動いてしまい、顔を青ざめさせた谷口だけが静かな戦いをしていたと勘づいてしまった。


 呼ばれてどうするか悩んでいた正人だが、探索協会が何を考えているのかわからないため、距離を取ると決める。


「私はこちらで大丈夫です」


 山田の誘いを断ると、入り口に一番近い席に座った。


 勝ち誇った顔をした里香と冷夏だが、山田は無視している。一敗した程度で決着が付いたなんて思うなよ。そのようなことを言っているように見えた。


「さて、会議を始めようじゃないか! 谷口、電源をつけてくれ」


「かしこまりました」


 モニターが点くと、上空から神津島を撮影した映像が映し出される。


 遠目からは異変を感じない。『異界化』してないようだと、正人は胸をなで下ろした。


「神津島の現状について知っていることは?」


「鬼のモンスターに占拠されて、二千人弱の島民と連絡がつかないぐらいです」


 代表して正人が答えると、里香を見た。情報収集の得意な彼女なら補足事項があると思ったのだ。


「他に知っていることある?」


「付け加えるなら救援に向かったヘリが撃墜されたことでしょうか。木が飛んできたと噂が流れています。本当ですか?」


「間違いない。地上五メートルほどの高さでホバーリングしているヘリに引き抜かれた木が突き刺さった」


「うへー。お姉ちゃんと同じぐらいの怪力だぁー」


「ヒナタっ!」


 怪力をネタにされて冷夏が大きな声を出してしまった。すぐに手で口を塞いで申し訳なさそうな顔を豪毅に向ける。


「気にせんでいい。若者は元気なぐらいがちょうどいい」


 また豪毅は大声で笑うと、谷口は珍しいものを見たような驚いた顔をした。


 話が遮られるのを嫌うあの男が、ヒナタたちには異様に優しいのだ。優秀な探索者というだけでは、このような扱いにはならない。冷夏……いや、この場合は騒動のきっかけとなったヒナタを特別気にいっているのだろう。谷口は、そういった結論を出した。


「ありがとう!」


 小さく手を振ってから豪毅は話を続ける。


「というわけで、占拠されてから神津島に上陸できた人間はいない。近くに船を泊めてドローン偵察を継続しているが、近づけば撃墜されるので詳細はわかっていない」


「住民が生きているかもわからないのですか?」


「いや、そのぐらいはわかっている。首輪をつけられて、強制労働させられているようだ」

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