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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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私の言葉分かりますか?

 日本で最も有名な探索者になった正人は、休日という概念が存在しない日々を過ごしている。


 重要人物の護衛、モンスターの討伐、居住地付近の警備、メディア対応など、仕事は山のようにあるのだ。特に最近はモンスターの活動が活発的になったこともあり、以前のようにスーパーに食料の買い出しをする、なんてことはできない。里香や冷夏、ヒナタにすら会えないぐらいだ。


 身の回りのことは転校したばかりで忙しい二人の弟に頼ってばかりでいる。


 そんな仕事漬けの日々を送っている正人は、ニュース番組に出演した後、外に出てスマホで配車していたタクシーに乗り込む。


 後部座席のドアが自動で閉まると、目的地を告げることにした。


「渋谷の探索協会までお願いします」


 対モンスター会議を開きたいと探索協会から申し出があり、これから向かうのだ。


 行き先は伝えたので後は運ばれるのを待っていれば良いと思い、力を抜いた正人は背もたれに寄りかかった。


 移動中ぐらい寝ても良いか、なんて正人が思い始めたとき、異変に気づいた。


「出発しないんですか?」


 二度もモンスターに襲われた場所として、渋谷の探索協会は有名な場所だ。プロであれば誰でも住所は知っているだろうし、道が分からなくてもカーナビを使えばすぐにわかる。


 すぐに走り始めても不思議ではないのだが、数分待っても動く様子はない。


「場所が分からないのであれば教えますよ。とりあえず、そこの大通りを走ってもらえませんか?」


「…………」


 乗客の言葉に反応しない。


 まさかモンスターが人に化けて車を運転しているのではないか。そんな疑問が思い浮かび、正人は腰に付けているナイフに手を伸ばす。


 素顔を確認しようとしてフロントガラスに映り込む姿を見たが、メガネとマスク、そして運転手用の帽子をかぶっているためよくわからなかった。


「私の言葉分かりますか?」


「…………もちろんです」


 声で運転手が女性だとわかった。正人は珍しいなと思いつつも人間であることに安堵する。


「でしたら早く出発してもらえませんか?」


「乗客がもう一人いるのでお待ちください」


「え?」


 驚いている間に一人の男が乗り込んだ。後部座席のドアを閉めながらタクシーは出発する。


 危険を感じて正人はナイフを抜きかけるが、入ってきた人物が誰なのか分かって動きが止まる。


「ユーリさん……」


 死んでいった仲間の無念を晴らすため、地上にモンスターを放った張本人だ。


 ダンジョン出現後で最大の犯罪者と言っても過言ではないだろう。


 即座に取り押さえて探索協会に突き出すべきなのだが、何をしにきたのか直接確認したい欲求には勝てず、対話を選ぶことにした。


 ナイフから手を離してユーリをじっと見る。


「話ぐらいは聞いてくれそうだな」


「質問に答えてくれるのであれば」


「いいだろう。知りたいことがあれば何でも言ってくれ」


 正人の脳内にはモンスターを地上に放った理由、次に何を狙っているのか、道明寺隼人をなぜ殺したのか……聞きたいことは山のようにある。


 だが一つ一つじっくりと話す時間がないことぐらい分かっているので、どうしても確認しなければいけないことを質問すると決めた。


「今、どうして私と会おうとしたのですか?」


 探索協会にとって重要な人物の一人である正人と接近するのは、ユーリといえども非常にリスクは高い。捕まる可能性だって十分にある。


 そんなこと彼にも分かっているはずなのに、なぜ会いに来たのか。それも通話ではなく対面で。誰にも知られたくない緊急度の高い案件があるのではないかと、正人は感じていた。


「ダンジョンが、どうしてできたのか知っているか?」


 誰にも言えなかった真実をユーリが気づいたかもしれない。


 期待と驚き、喜びが混ざり合い、正人は目を大きく開きながらも返事ができずにいる。


「その顔からして知っているようだな」


「地球侵略の足がかりに使う、ですよね」


「やはりそうか。俺の予想は間違ってなかったようだな。正人はどうやって知ったんだ?」


「発生したばかりのダンジョンに入って最奥まで到達したんです。その時に知りました。ユーリさんは?」


「俺も似たようなもんだな。最奥の部屋に日本語で書かれた本があって、そこで断片的な情報を手に入れたんだ」


 嫌悪感をあらわにしたユーリは眉間にシワを寄せていた。


 侵略者との全面戦争になれば多くの探索者が死んでしまう。負ければ人類は支配されてしまい、探索者たちは報われることなく終わってしまう。


 それではダメだ。探索者を使い捨ての駒として扱ったヤツらに復讐した上で、確固たる地位を築かなければならない。今は外敵なんて求めてないのだ。


「なぁ。もし他にも知っていることがあったら教えてくれないか?」


「詳しいことはわかっていませんが、自分たちの居場所をこの世界に作る計画みたいです。ダンジョンから生まれる魔石などの産出をコントロールできるようで、魔石に頼り切った社会を脅すには十分な武器になるかと思います」


 大昔にあったと言われているオイルショック。それの現代版が起こる可能性はあると、正人は指摘した。


「さすがだな。謙虚なこと言っているわりには、俺よりも詳しいじゃないか」


 侵略してくることしか知らなかったユーリは、具体的な計画まで掴んでいる正人を高く評価した。


「この話は探索協会にもしているのか?」


「侵略という言葉を使うモンスターがいたと伝えて、計画の大枠までは教えています」


「だが動いていない。そうだろ?」


「ええ。地上に出たモンスターが暴れているので身動きが取れないんですよ」


 ちくりと嫌みを言うと、ユーリはばつが悪そうな顔をした。


 自分の行動が結果として足を引っ張ることになったと気づいているからである。

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