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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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どうしてここにっ!?

 春の発言を聞いた冷夏とヒナタは、非難するような目をしている。


 女性と遊びたいから彼女を作らないという言葉は、二人にとって不純だと判断されたのだ。最近にしては珍しく潔癖な考えではあるが、憧れている人が純粋なので自然と似てしまったのである。


 珍しく女性から否定的な感情をも持たれてしまった春は、この場では失言だったかなと思いつつも、肩を震わせている弟を見る。


「烈火、どうした?」

「ずるい。俺だって女の子といっぱい遊びたいのに! どうして紹介してくれないんだッ!」


 モテるという現象に憧れているだけで、女性をもてなすテクニックはなく、またその先を考えていない男に紹介なんてできない。


 だいたいこの場で春が失言したというのに気づけてない時点で、コミュニケーション能力を鍛えたほうが良いと、春は心の中でアドバイスをしていた。


 言葉にしないのは、過去に何度言っても理解しなかったからだ。


「紹介してもよいと思える魅力的な男になれば?」

「そこをなんとか! 誰でもいいからさッ!」


 この場に女性がいることを忘れて、烈火は拝むようなポーズで頼み込んでいる。


 冷夏とヒナタの冷たい視線が彼に移った。


「うぁー。烈火君、その発言はさいてーだよ」

「さいてーだね!」

「うっ」


 双子からの一斉攻撃で、烈火はようやく失敗に気付いた。


 異性の前で誰でもいいから女性を紹介してほしい、なんて発言は軽蔑されてしまう。避けるべきであったと。


 だがもう遅い。吐き出してしまった言葉を飲み込むことはできないのだ。


 甘んじて非難を受けるしかなく、烈火はこれから続くであろう言葉に覚悟を決める。


「きゃぁ! なにあれ!?」

「お母さんーーっ!」

「モンスターだ!!」


 カフェの外が急に騒がしくなり、予想していた非難はこなかった。


 声を聞いた冷夏が立ち上がる。


「私が様子を見に行くからヒナタは二人を守って」

「何かあったらすぐに報告だよっ!」

「もちろん!」


 脳内のスイッチがカチッと切り替わりプロの探索者の思考になった冷夏は、カフェを飛び出す。


 制服姿で武器は持っていないが、絶望したときに救ってもらえる嬉しさを知っている彼女は、たとえ他人でも見捨てるようなことはしない。


 買い物に来ている客が外に出ようと逃げ出しているので、人をかき分けて逆方向に進む。


 予定よりも時間はかかってしまったが、吹き抜けのある通路までつく。


 眼下にモンスターがいた。


 身長は人間をゆうに超えていて、三メートル近くある。獰猛な顔をした牛の頭をしており、上半身は鋼のような筋肉に覆われている。黒く光る眼には殺意と嗜虐といった感情が宿っていて、低いうなり声をあげていた。下半身は人間の形をしているが、足元は牛の蹄だ。


 周辺には、惨殺された人間の死体が広がっている。


 血の付いた巨大な斧を片手で振り回し、近くにある柱を破壊していた。


「ミノタウロスっ! どうしてここにっ!?」


 あれはギリシャのダンジョンで出てくる有名なボスモンスターだ。日本での出現例はない。


 はやくヒナタに報告して避難誘導しなければ思い、冷夏はその場から離れようとする。


「助けてっ!」


 生存者なんていないと思っていたが、死体の下にスーツを着た男性がいた。泣き叫んで怯えており、まともに動けそうにはない。


 声に気付いたミノタウロスは建物の破壊を止めて、じっと見る。


 にやぁと、笑った。


「ひぃっ!?」


 死体からはいずり出た男は、立ち上がろうとして失敗する。腰が抜けて動けない。


 ミノタウロスは獲物をいたぶるように見下しながら、よだれを垂らしている。


 冷夏がいる場所は三階だ。階段を使って下りたら間に合わない。『ファイヤーボール』は男性を巻き添えにする可能性もある。


 ミノタウロスが斧を振り上げてしまい、考える時間なんてない。


 助けたいという衝動にかられて、手すりに足をかけると飛び降りた。


「たぁあああああっ!」


 声を出してミノタウロスの注意を引く。


 予定していた通り顔を上げた。


 ――怪力。


 スキルによって全身の力が増加し、耐えられるように体の強度も上がる。


 迎撃しようとミノタウロスは斧を横に振るおうとした。


 ――ファイヤーボール。


 極小の火の玉を顔に直接ぶつけると行動が止まった。


 怯んでいる間に牛の顔面を殴りつける。


「ブホォ」


 思いもしなかった衝撃を受けたミノタウロスは吹き飛んでしまい、ショップのガラスを割って店内に突っ込んでしまった。


 冷夏は無事に着地する。


 スカートが上がってしまっているが、体操着をつけているため下着は見えていない。男の方を見た。


「今のうちに逃げてっ!」

「はいーーーッ!」


 転がるようにして逃げ出したのを見ると、周囲を確認する。


 ミノタウロスの持っていた斧が落ちていた。


 手に持って振るう。


 風を切る重い音がした。


「片手で使えるけど大きくて邪魔かな」


 まともには使えないと思って床に突き刺した。


 一連の戦いは、二階や三階にいる人たちがライブ配信を通じて世界中に流しており、チャット欄に怪力JKという不名誉な名称が流れてしまう。

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