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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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助けてって叫びますね

「私の後ろにいて下さい」


 影倉を降ろした里香は剣を構える。ゴブリンであれば一瞬で倒す自信はあるが、特殊個体となったら話は変わる。


 通常のゴブリンは錆の浮いた鉈を持っており、黒い特殊個体は年代を感じさせる槍だ。穂先は一直線に長く伸びており、戦国時代に使われていたような見た目である。里香は農村の倉から見つけた物だと判断した。


「ギャギャ!!」


 黒い特殊個体のゴブリンが叫ぶと二匹のゴブリンは左右に分かれて走り出した。里香を迂回して影倉を狙っている。


 近づかせるわけにはいかない!


 ――エネルギーボルト。


 スキルを使い、周囲に五本もの光の矢を浮かべた。邪魔をしようと黒い特殊個体のゴブリンが槍を突きだしてきた。慌てることなく『エネルギーボルト』を二本、放つ。頭と腹を同時に狙われいるため、槍での攻撃を中断して横にステップして回避。再び里香に向けて走り出そうとする。


「グギャァァッ!!」

「ギャグァッ!!」


 僅かに稼いだ時間を使って、待機させていた『エネルギーボルト』をゴブリンに向けて放ち、頭を貫く。即死だ。走っているゴブリンを狙い撃ちする技量に、黒い特殊個体のゴブリンは驚いている。


 女だからと思って甘く見ていた。

 前に襲ってきた探索者とは強さが違う。


 警戒心を最大に上げ、黒い特殊個体のゴブリンは後ずさりする。


 重要なのは勝つことじゃない。敵の情報を仲間に知らせること。


 欲望のままに動くゴブリンという種族らしくない判断能力だ。


「逃がしませんからね」


 剣を構えながらも里香は、すぐに襲うことはしない。周囲にゴブリンが隠れ潜んでいないか気にしているのだ。


 黒い特殊個体のゴブリンと戦っている間に影倉を殺されては困る。今回は守るための戦いなのだから生き残れば最低限の目標は達成する。だが、逃がしてしまえば情報を持ち帰られてしまうことも、里香は分かっていた。


 お互いにじりじりと動きながらも睨み合いが続く。


 緊張感が高まっている中、影倉が声を上げた。


「周囲に敵はいません! 私のことは気にせず、あの黒いゴブリンをヤって大丈夫です!」


 気がつくと周囲にドローンが浮かんでいた。動きが止まっている間に偵察していたのだ。


 影倉のことを足手まといで邪魔な存在だと思っていた里香は心の中で謝罪した。一方的に守られる存在ではなく、彼もまた人食い山の依頼をこなす仲間だと思い出したのである。


「分かりました。何かあったら大声で教えて下さい!」

「もちろんです! 助けてって叫びますね」


 成人男性が女子高生に助けを求めるなんて面白い、なんて思うぐらいの余裕が影倉にはあった。


 人の言葉までは理解できないが、状況が変わったと察した黒い特殊個体のゴブリンは背を向けて逃げ出す。


 待機させていた最後の『エネルギーボルト』を放つが、当たる直前に木を盾にされてしまい、攻撃は失敗する。


 悩んだのは数秒。里香は黒い特殊個体のゴブリンを追うと決めて走り出す。地面をえぐるほどの勢いで足を動かすと、すぐに背中が見えた。足の長さ、肉体の能力は上回っている。すぐに追いつけそうだと思っていると、黒い特殊個体のゴブリンが横に回転しながら跳躍した。


 槍を構えている。

 穂先が目の前に迫っているが、急には止まれない。


 避けるのは不可能だ。このままだと穂先が心臓を貫く。被害を最小限に抑えようとして、里香は体を横に動かして狙いを肩に変えた。


「ぐっ」


 肩から強い痛みを感じた。骨を突き抜けて貫通している。正人のように『苦痛耐性』のスキルを持っていないため、泣き叫びたくなるほどつらい。


「グギャギャァァ!」


 奇襲が成功して喜んでいる。すぐにトドメを刺さないところは、ゴブリンという種族らしい行動で特殊個体となっても抜けきれない。


「ああああっっ!!」


 痛みに耐えて後ろに下がり、里香は乱暴に槍を引き抜いた。神経や筋肉が切れてしまい、力を入れても動かない。さらに血も流れ出ているため死ぬのは時間の問題だ。


 バカな獲物が力尽きるのをただ待つだけでいい。黒い特殊個体のゴブリンは、そんなことを考えつつ穂先に付いた血をペロリと舐めた。


「最悪……」


 トロールのイチモツを見たときか、それ以上の嫌悪感をあらわにした。知恵を付けたモンスターは、どうしてこうも気持ち悪い行動を取るのか。里香は、どこか偉い学者さんが調べてくれないかななどと、痛みで全身から脂汗を浮き上がらせながら考えていた。


 血が肩から腕、指を伝って地面にぽたり、ぽたり、と落ちる。


 片手で剣を構えているが刀身は揺れていて力が入っていない。


 チャンスだ。


 血を舐め終わった黒い特殊個体のゴブリンは、笑いながら槍を構えた。久々に若い女の肉を食べるか、それとも子供を産ませるための腹として使うか、いや、瀕死なのだから食べる方を優先しよう。鮮度は重要だ。


 舌を小さく出すと唇を舐めた。


 ――自己回復。


 スキルによって里香の傷が瞬時に治る。

 食事のことを考え、頭がいっぱいだった黒い特殊個体のゴブリンは動けない。


 ――剣術。


 剣を振るうと槍の柄が切断された。黒い特殊個体のゴブリンは驚いて手を離す。ようやく事態に気づいて逃げようとするが遅い。無防備になった頭に淡く光る刀身が突き刺さる。致命傷だ。里香が剣を引き抜くと、どさりと音を立てて倒れた。

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