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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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それがお前のユニークスキルか

「そんな時は、永遠にこない」


 白いアラクネと隼人の間に、突如として仮面を着けた男が現れた。手には真っ赤な短槍がある。金髪で肌が白い。人相まではわからないが、正人には武田ユーリだという確信があった。声や体格が記憶とほぼ一致したからだ。


 ――復讐者。

 ――短槍術。


 姿を現してすぐにスキルを発動させたユーリは、一歩前に踏み出して短槍を突き出す。『復讐者』のスキルで能力が大きく向上していることもあり、隼人は回避どころか反応すらできなかった。右肩に穂先が突き刺さる。ユーリはすぐさま短槍を横に振るって遠くに飛ばす。


「うぁああああ」


 助けようとして正人が走り出そうとするが、ユーリに血が付着したままの穂先を向けられてしまい、止まる。


「あれ、見逃して良いのか?」


 白いアラクネは回復しながら糸を巧みに使い、木を登っていた。太い枝の上に乗ると、再生したばかりの足を使って跳躍。正人たちから離れており、誰の目から見ても逃げ出しているとわかった。


 数秒だけ悩んだ正人ではあるが、ユーリの言葉に従うようにして白いアラクネを追う。すぐに姿は消えていった。


 この場に残ったのはユーリと隼人、そしてスマホを強く握って実況を続けている配信者の三人のみだ。


「隠れている男は出てこい!」


 ユーリは声を張り上げて、ビルの柱の裏から配信を続けていた男に向けて叫んだ。


 姿は出してないが、視線によって居場所は特定されていると理解させられてしまう。逃げられないと諦めた配信者は、両手を挙げながら建物から出てくる。


 二人は離れた場所にいるが、探索者にとっては即座に攻撃できる距離だ。間合いに入っている。瞬きした瞬間に殺されてしまうかもしれないという緊張感が、配信している男を襲う。喉がひどく渇き声は上手くだせない。


「名前はジュンジュン。有名な配信者らしいな」

「ええ、そうですが……」


 話しかけてくるユーリの目が恐ろしい。何で名前を知っているのかと不気味に思ったが、ジュンジュンは素直に返事をするしかない。気に入らない回答をすれば殺されてしまうと、絶望にも似た諦めがあった。


「特等席で配信させてやる。もっとこっちにこい」

「…………」

「嫌なら俺がそっちに行ってやるよ」


 返答に悩んでいたジュンジュンの隣にユーリが来た。

 肩を組まれて無理やり別の場所に顔を向けられる。


「自称、日本最強の男をちゃんと撮影しろよ」


 嗤いながらジュンジュンの腕を掴み、スマホのレンズを隼人に向ける。


 短槍で開けられた傷は『自己回復』スキルによって癒えているが、顔に土がついており、身につけている革製の防具は傷だらけだ。怒りによって顔が歪んでいて、メディアで見せていた爽やかで余裕のある印象はない。だからといって野性的な強さや魅力を感じることはなく、負け犬という表現が近いだろう。


「てめぇ! 何者だッ!」


 警戒しながら立ち上がった隼人は、構えを取りつつスキルを発動する。


 ――凍結結界。


 蒼いガントレットが強く光り、周囲の気温が下がる。近く壁や地面に転がっている瓦礫や石は瞬時に凍りつく。離れているユーリの体温を奪うほど冷気は強い。配信者は寒さによってカチカチと歯を鳴らしていて震えていた。


「凍結系のスキルか。これほど強力なものは、協会のスキルブックにはなかったな」


 探索協会にはスキルカードの情報をまとめた本がある。非公開情報であるため簡単には閲覧できないのだが、ユーリは『透明化』スキルを駆使して保管場所に侵入、情報を手に入れていた。


 内容は全て頭に入っているが、隼人が使ったような効果を発揮するスキルは発見されていない。


「それがお前のユニークスキルか」


 スキルブックに掲載されていないのであれば、それはレベルアップ時に覚える特別なスキルとなる。日本最強とまで言われた道明寺隼人であれば、ユニークスキルの一つや二つ持っていても不思議ではない。むしろ当然であると、ユーリは納得した。


「効果は教えねぇ。何をされたわからないまま死ねッ!」


 隼人が飛び出す前に、ユーリはジュンジュンの頭を掴むと前に突き出す。


 肉の盾として使ったのだ。


「一般人も殺すつもりか?」

「卑怯だぞ!」

「そんなこと言っている間に、ジュンジュンは凍死するが、いいのか?」


 この場がダンジョンであれば秘密裏に殺すこともできただろう。だが今はスマホで実況されており、数十万人が画面を食い入るようにしてみている。


 隼人の反応を固唾をのんで見守っているのだ。


 周囲からもてはやされることに慣れてしまっている隼人は、一般人を巻き添えにしてまでユーリを殺す判断はできない。プライドが許さないのだ。


「ちッ」


 軽く舌打ちをしてから隼人はスキルを解除した。


「何が目的だ?」

「自称、日本最強の探索者である道明寺隼人の素顔を広める手伝いをしてやろうと思ってな」

「そんなことをして、お前は何を得るんだ?」

「何もねーよ。お前が嫌いだからやるだけだ」


 損得勘定ではなく感情で行動するあたり、探索協会に深い怨みを持つ復讐者らしい発言だ。探索協会が築きあげてきたものを潰すためなら、ユーリは手段を選ばない。


「俺がお前になにをしたってんだ!」

「何もしてない。探索協会の顔として活躍しているのがムカつくだけだ」

「それだけか? 本当は別の理由があるんだろ? 言ってみろよッ!!」


 ユーリの説明に納得できなかった隼人が叫んだ。


 探索者の実情を知る良いきっかけだと思い直したユーリは、一呼吸置いてから配信を見ている視聴者に向けて語り出す。


「みんな、知っているか? 道明寺隼人は探索協会の依頼を無視して好き勝手に活動をしているんだ。日本最強の探索者でしか達成できない危険な依頼は全て断り、他の探索者に押しつけることも多かった。その結果、何が起こったか分かるか?」


 配信のコメント欄には続きを催促するような内容が書き込まれる。有名人の暴露話ほど民衆の興味を引くものはない。配信の状況はSNSで拡散されており、視聴者数は急増していた。

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― 新着の感想 ―
復讐者のスキルは隼人には適用されないよね、ユーリが言った通りに協会には属して無いからね、好き勝手にやってると言ってるやん。矛盾してるよ
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