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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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日頃の行いって大事ですよね

「正人さん! 大変です!!」

「何がありましたか?」

「渋谷の探索協会がモンスターの大軍に襲われているんですッ!!」

「どうしてそんなことに! 詳細を教えてください!」


 目の前にたどり着いた谷口の肩を掴んで、早く答えろと迫っている。呼吸を整える余裕すら与えないほど、正人は驚き焦っていたのだ。


「原因はわかりませんが大蜘蛛やゴブリン、アラクネたちが、建物を狙って攻めてきているようです。探索者たちはバリケードを作って迎撃しているようですが、いつまでもつか……」


 都内でも安全な場所と言われている場所はいくつかある。


 警察署、軍事基地など戦える人たちが集まる場所だ。その中でも対モンスターのスペシャリスト集団を束ねている探索協会は、日本において最も安全だと思われていた。


 だがそれも数時間前に安全神話は崩れている。襲い来るモンスターを処理しきれずに、負けてしまいそうなのだ。


「他の探索者たちはなにをしているんですか!! 道明寺隼人がいれば逆転できるでしょ!」

「彼は埼玉のダンジョン付近にいたので到着まで時間がかかります」


 一通り状況を話し終えた谷口は、肩に乗った正人の手をどけた。


 ポケットからスマホを取り出すと、指をなめらかに動かしてライブ配信アプリを立ち上げる。


 動画の公開からライブ配信まで楽しめ、世界中で使われている有名なアプリだ。日本でも利用者は数百万人を超えている。都内にも配信者が多く、偶然にも渋谷にいた一般人が、襲撃されている探索協会をライブ配信していたところであった。


「これを見てください」


 谷口がスマホの画面を正人たちが見えるよう前に出した。


 四人は食い入るように見る。


 数え切れないほどのモンスターが探索協会を襲撃していた。


「すごい! すごい! 探索者たちが殺されているッ!!」


 同時視聴者数が十万を超えていることもあって、配信者は興奮していた。目の前で探索者がモンスターに殺されていても気にしていない。むしろ、もっと派手に死んで配信に貢献しろとまで思っているほどだ。


 だが、そのことについて配信者だけを責めても意味はない。画面越しから惨劇を見ている視聴者も、安全な場所から危機的な状況を楽しんでいるのだから。


『よく見えないから、もっと近づいて!』

『入り口のバリケードが何分持つか賭けようぜ』

『10分!』

『いや三十分は持つね』

『バリケードが壊れる前に道明寺が来てアラクネ倒すんじゃね?』

『俺は間に合わないと思う』


 探索協会を心配するようなコメントもあるが、正人にはモンスターの襲撃を楽しんでいるコメントばかりが目に入る。視聴者は完全に他人事として不幸を楽しんでしまっているのだ。


 ライブ配信を見ている間にも事態は深刻になっていき、探索協会の前に作られた鉄製の柵が半壊してしまう。探索者たちがモンスターの進行を止めてはいるが、圧倒的な量の違いによって負け続けている。


 先端が鋭くとがった蜘蛛の足に腹を貫かれて絶命する探索者や、手足を糸で縛られて生きたまま食われる探索者が画面に映る度に、コメント欄は大いに盛り上がる。


 現代の処刑ショーともいえる状況に、正人は強い嫌悪感を抱いていた。


「助けに行ってもらえませんか?」


 重苦しい空気の中、勇気を出して谷口が言った。


 探索協会の職員という責任感があっての発言でもあったが、それ以上にオフィスで共に働いていた仲間を助けて欲しい気持ちの方が強い。モンスターと戦っている探索者よりも心配しているのだ。特に建物に恋人が残っているため必死であった。


 正人の不興を買わないように谷口は言葉にしなかったが、そういった心境は四人にしっかりと伝わっている。


「私たちが戦わなくても逃げれば良いじゃないですか」

「囲まれていてできないんです」

「だったら他の探索者を集めて戦えばどうです?」

「それができたら、やっています! 多くの探索者が参戦を拒否しているんですよッ!」


 冷夏の言葉に谷口は声を荒げて反論した。


 できる手は全て使っている。近くに滞在している探索者に声をかけているのだが、探索協会を恨んでいる人も多く救助を拒否する人たちが後を絶たない。仲間を助けるために参戦する探索者もいたが、圧倒的に不利な状況が分かった今、数は少ない。


 頼りにしている道明寺隼人はヘリコプターで移動する予定だったが、埼玉の天候が悪く計画より遅れている。どうしても時間を稼ぐ人が必要だ。


「探索者を使い捨ての駒として扱い続けてきたのだから、当然の結果です。日頃の行いって大事ですよね」


 お人好しでもある正人が見放すような発言をして、谷口は絶望した。


 道明寺隼人ほどではないが、日本でもトップクラスの探索者が参戦すれば、依頼を拒否していた探索者も参戦すると見込んでいたのに。その計画が全て崩れてしまったのだ。


 谷口は手に持っていたスマホを落とすと、芝生の上に膝をつく。


「また探索者が食われた! もうそろそろ落ちそうですねッ!」


 不快な実況が聞こえてくる。


 芝生の上にあるスマホの画面には、正人と一緒にアラクネ退治した探索者が殺されている場面が映っていた。


 人の不幸を嘆き悲しむ人もいれば、嗤い楽しむ人もいる。


 なぜ誰も助けようと動かないのか。直接モンスターと戦う力がなくても、静観している探索者を動かす力はあるのに。


 人々の心は一つにならない。地球が侵略されているというのに、誰も気づかず人間同士で潰し合っている。


 正人にとって、それが気に入らなかった。


「ですが、今回は特別に助けに行きます」


 大量のスキルを覚えていると知られてでも、人類はモンスターや侵略者に負けないと伝えたい。一緒に戦った仲間を助けたい。


 覚悟を決めた正人はスキルを使う。


 ――転移。


 敷地内から正人の姿が消えた。


「一人で前に出るなんて! 自殺をしにきたのか!?」


 実況者が興奮気味に解説をしている。残された里香たちがスマホを見ると、消えたばかりの正人が立っていた。

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