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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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上の者と相談させてください

 アラクネ退治は無事に達成された。


 多摩地区に残っているのは、繁殖能力のない大蜘蛛の残党のみ。探索者たちは毎日山に入って討伐を続けることもあって、多摩地区の多くは人々が安心して住める場所に戻った。


 モンスターが地上に出てから、初となる大きな成果だ。探索協会はここぞとばかりに宣伝を行い、探索者たちをヒーローのように扱って信用の回復に努めている。


 その効果は劇的で、探索者になって日本を救おうとする若者が数多く出現するほどだ。


 モンスター退治のノウハウも蓄積されており、被害件数も減ってきている。


 一時期、もう日本は終わりだ。国外に脱出しようと主張する人々もいたが、今は意見を変えて「日本を救おう!」などと言っている。周囲を煽るだけの人間は信用できないという典型的な事例だろう。


 モンスターの騒動は落ち着いたのだが、正人たちは未だダンジョンに入れていない。


 探索協会に呼び出されて、渋谷にある本部を訪れていた。


◇ ◇ ◇


 打ち合わせ室には、正人を含めたパーティーメンバーの四人が座っていた。正面には探索協会の職員、谷口勝がいる。正人の担当職員として会議に参加しているのだ。


「で、話とは何でしょうか?」


 警戒しながら正人が質問をした。


 探索協会からの呼び出しによい印象がないのだ。無茶な依頼が来るのではないかと警戒しており、その判断は間違っていない。会話したログすら残したくないこともあって、探索協会は正人たちを呼び出したのだから。


「道明寺隼人さんと対等に戦えた正人さんに依頼したいことがあります」

「戦闘関連の依頼をしたい、と言うことですね」


 代表して正人が返事をした。


「ええ、実はちょっとした問題が発覚しまして、正人さんたちのお力を借りたいんです」

「そういうことでしたら、お断りいたします。道明寺隼人さんと戦ったことで己の力不足を実感いたしました。しばらくダンジョンに通って、実力をつけていきたいと思っているんです」


 断る口実として道明寺隼人の名前を使った。己の未熟さに気づいて修練を積みたいといえば、探索協会の面子を潰さずに済むと思ったのだ。


 また道明寺隼人のスキルを早く覚えたいという気持ちも、正人の言動を後押ししている。


「いやいや、ご謙遜なさらずに! 正人さんは十分な力を持っていると、探索協会が保証いたします」


 従順な正人が依頼を断ったことが意外で、谷口は慌てていた。


 道明寺隼人の代わりとしても期待されている正人は、探索協会にとって都合の良い存在であり続けなければならないのだ。


「そう言っていただけるのは嬉しいのですが、探索協会の直接依頼を受けられるほどとは思っておりません。戦闘に関しては道明寺隼人さんの方が上です。彼に依頼したらどうでしょうか? 私が無理だと断った依頼であれば喜んで受けると思いますよ」


 自分は未熟で依頼を受ける資格はない。この路線で断ると決めていた正人は同じことを言い続ける。


 さらに嫌いな道明寺隼人へ、自然と仕事をなすりつけることまでした。


 完璧な誘導である。


 正人との一件もあって、道明寺隼人は断れないだろう。


 手強くなった。先ほどまで油断してた谷口は気を引き締め直す。


 依頼を受けてもらえなければ彼の評価は大きく下がるので、必死だ。


「彼らには別の依頼をしておりまして、頼めるのは正人さんしかいないのです。私の権限が及ぶ範囲になってしまいますが、受けていただければ報酬を限界まで上乗せする他に、色々と融通を利かせることは出来ますよ」


 本来であれば伝える予定のなかった追加報酬まで提案した。


 正人達は金を必要としていることは把握済みであるため、この条件なら受け入れるだろう。谷口は確信していた。


 だがそれは、正人を甘く見すぎである。


 目先の欲望に目がくらんで飛びつくほど浅はかな男ではない。交渉相手に一歩譲歩させてから、正人は追加の要求を口にする。


「では、ユーリさんの捜索がどうなっているか教えてもらうことも可能ですか?」


 後のない谷口は、正人の提案は拒否できない。

 どうやったら実現できるかと、思考を巡らせていた。


「探索協会の極秘事項になります。いくら正人さんの願いとはいえ、難しいかもしれません」


 モンスターを地上に放った犯人だと確認している探索協会は、既にユーリを除名している。


 さらに極秘裏に処分しようと動いているため、探索者には伝えない方針をとっていた。


「ユーリさんの情報を定期的に共有してくれるのであれば、依頼の話を聞いて検討いたします。どうにかなりませんか?」

「どうしてそこまでユーリさんにこだわるので?」

「モンスターを地上に放った張本人。協会はそう考えていますよね」


 何も知らされていない谷口は、探索協会がひた隠しにしている事実を知っている正人に驚いていた。


 会議が始まってから押されっぱなしである。


 たった数ヶ月でここまで成長するのかと、尊敬の念すら出てくるほどである。


「私は真実が知りたいんです」


 現場で判断できる範囲を超えた。谷口は席を立つと口を開く。


「……上の者と相談させてください」


 スマホを取り出すと部屋を出て行った。


 数分後、谷口が戻ってくると、正人の条件をすべて受け入れるという結論を伝えるのだった。

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