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経験をスキルにする万能な能力を手に入れて、最強の探索者になりました〜JKと一緒にダンジョン探索で成り上がる〜【コミカライズ】  作者: わんた


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先客がいるじゃねぇか

 アイアンアントを倒した一行は、巣の奥に進んでいく。正人の索敵スキルに赤いマーカーは浮かんでいない。通路の途中に横道を発見すると、中をのぞいてみる。行き止まりの小部屋だった。


「ここで少し休もうか」


 戦闘が続き歩き疲れていることもあり、休憩する場所として利用すると、決めたのだ。

 罠がないか正人がスキルを使って入念に確認する。問題がないとわかると、里香たちと一緒に中に入った。


 小部屋は学校の教室ぐらいの広さがあり、四人がくつろいで休むには十分だ。地面はゴツゴツとしてて座り心地は悪いが、周囲にはモンスターの姿はないので十分な休息は取れそうである。


「ふぅ」


 正人の隣に座った里香が小さく息を吐いた。初めて訪れた階層で緊張が続き、思っていた以上に疲労していたのだ。ふくらはぎをもみながら、双子の姉妹を見る。仲良く武器の状態を確認していた。


「ヒナタの方は大丈夫だったよー。お姉ちゃんは?」

「大丈夫。傷一つついてない」


 先ほど戦ったアイアンアントの外殻は金属のように固い。ダンジョン産の鉱石を使って作られた武器だとはいえ、刃こぼれがないか確認は必要なのだ。


 武器の不安がなくなってようやく一息つけた冷夏は、正人を見る。里香と楽しそうに昨晩に食べた料理の話をしていた。その光景がなんとなく気になって眺めてしまう。心がざわつく。もっと近づきたい。そういった想いが膨れ上がっていくのを無理矢理押し込めると、気分を変えようとして、冷夏はヒナタに話しかけようとする。


「二人ともこっちに来て」


 警戒するような声を発した正人によって止められた。


「何かありましたか?」


 移動しながら冷夏が質問をした。

 後ろにいるヒナタも状況が飲み込めず困惑している。

 正人は立ち上がりながら口を開いた。


「索敵スキルに反応があったんだ。探索者が近くにいる。念のため近くにいて欲しいんだ」


 若く、女性の多いパーティーだ。男性の探索者パーティーであれば、ちょっかいを出してくる可能性もある。社会の常識、法が通用しないダンジョン内だからこそ、同じ人間でも油断は出来ない。


 双子の二人は里香と合流して地面に座り、正人は立ったまま前に立つと索敵スキルが示す青いマーカーの動きに注目する。細い通路を歩きながらまっすぐこちらに向かっていた。


 通り過ぎてくれと正人は願うが、探索者のパーティーは小部屋に入ってきた。


 全員男性で四人いる。鍛え上げられた肉体と使い込まれた装備から、彼らがベテランの探索者だとわかった。


 先頭を歩くのは三十台半ばの男性だ。ドレッドヘアーで髭が生えている。肌は浅黒く片手斧を持っていて威圧感がある。後ろに続く三人は長髪の金髪、短い銀髪、そしてセンター分けの黒髪といった、カラフルな髪をしたパーティーだ。


「先客がいるじゃねぇか」


 ドレッドヘアーの男が言ったのと同時に視線が里香、冷夏、ヒナタの順に移動する。ニヤリと口元を上げた。


「しかも若い女ばかりだ。珍しいな」


 決して好意的な視線ではない。


 危険なダンジョンに珍しく若く美しい女性がいた。少しちょっかいをかけてやろう。上手くいけば九階層にある補給所で楽しむことも出来るだろう。四人とも、そんな浅はかな考えをしていた。


「男もいますよ」


 視線を遮るようにして正人が立ちはだかった。男性のパーティーには似つかわしくない甘い香りが漂っているのに気づいたが、今はそんな些細なことに気にする余裕はない。


 両手には抜き身のナイフを持ち、いつでも動き出せるように構えており、少しでも事を荒げよとしたら遠慮なく戦える姿勢をとっていた。


「荷物持ちが出しゃばるじゃねぇか」


 正人の行動が気に入らず、ドレッドヘアーの後ろにいた三人が威嚇した。それをドレッドヘアーの男性が止める。動きからして弱くはないと察したのだ。戦えば無傷ではすまない。リスクを冒す価値はないと判断する。


「無駄な争いは止めろ。休むぞ」


 納得がいかない三人はドレッドヘアーの男性に抗議しようとしたが、睨まれてしまい言葉は出なかった。仕方なく後を追って部屋の隅に座る。


 衝突を回避した正人は警戒しながらも、里香たちと合流した。


「なんだか、怖い人たちですね」


 里香の言葉に冷夏とヒナタが無言でうなずく。

 一階層や二階層で遊んでいるような探索者や烈火のような男子高校生とは全く違う。裏稼業をしているような人が発する圧力があって、恐怖を感じていた。


「まあ、まあ」


 狭い空間だ。これ以上話題が広がったら、四人に伝わってしまい一騒動起こってしまうかもしれない。正人は三人をなだめながら、リュックからお菓子の袋を取り出した。


「飴だけど食べる?」

「たべるーー!」


 最初に声を上げたヒナタは正人から袋を受け取ると小分けされた飴を手のひらにのせる。


「何味にする?」


 甘い物に惹かれた二人はお互いにどの味が美味しいか話し合いながら選んでいく。その姿は学校の教室でおしゃべりをしている女子高生のようにも見えた。


 穏やかな雰囲気になって正人はようやく安堵する。しばらくはおしゃべりと楽しんでいると、先ほどの甘い匂いが部屋の中に充満していることに気づく。


 原因を探ろうとした正人だが、索敵スキルに新しい反応があったので中断する。部屋に突如として赤いマーカーが浮かんだのだ。さらに小部屋に向かう赤いマーカーの集団もいる。モンスターが襲ってきたのだ。


「みんな、警戒して!」


 声を発する前から事態の急変に気づいていた三人は、それぞれ武器を持って立ち上がっていた。


 正人が周囲を見ると、新しく小部屋に入った四人のパーティーの近くにアイアンアントが出現していた。地面や壁、天井から次々と襲いかかり、ドレッドヘアーの男性が中心となって撃退している状態だ。


「こいつら、しつこいんだよッ!!」


 斧を振るうとアイアンアントが吹き飛ぶ。さらに残りの三人も連携して、一匹ずつ的確に倒していく。安定した動きをしていて、戦況は人間側に有利に進んでいるように見えた。

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