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いいご身分だな、俺にくれよ  作者: nama
第二十章 大陸統一編 二十三歳~

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814 三十一歳 婿入り先の候補

いいご身分だな、俺にくれよ ~下剋上揺籃編~ 2

2026年2月14日発売!

特典情報などは活動報告でご確認ください!

肝心の学園編まで続けられますよう、恐れ入りますが本をご購入いただけますと幸いです!

 道中、アイザックは気付いた。


(そういえば、こいつらは弟とか一人っ子だったな)


 マイク達は兄や姉はいるものの弟や妹はいないので、ザック達にかまっているのだろう。

 事あるごとに、ザック達に知識をひけらかそうとする。

 自分の子供はまだ赤子なので、兄貴面するにはちょうどいい相手だったのかもしれない。

 アイザックも気持ちはわかるので、温かく見守ってやる事にした。


 アーク王国の王都グローリアスに到着すると、アイザック一行は統治を任されているセオドアと会う事にする。


「お爺様、お久しぶりです!」

「おお、大きくなったなぁ」


 久々に孫のザックと会えた事で、彼の頬が緩む。

 他の子供達も挨拶をしていき、ロイなど同行者の番となった。


「父上、ご無沙汰しております」

「ロイも久しぶりだな。もう跡継ぎが生まれたそうじゃないか! お前もまだ子供だと思っていたのに時が過ぎるのは早いものだ。お前の子にも会いたいから、早く戦争が終わってほしいものだ」


 セオドアは、チラチラと視線を送ってアイザックに「戦争を終わらせるか、交代要員を送ってくれ」とアピールする。

 アイザックは笑みを返した。


「半ば隠居生活を送っていたウィンザー公を使者に出さねばならないくらいなのです。急激な勢力範囲の拡大のせいで人材が不足しています。義父上にはもう少し頑張っていただかねばなりません。頼りにしています」

「……そうか」


 アイザックがまだ休ませてくれないとわかると、セオドアは落胆する。

 だが孫の前なので、なんとかギリギリ表情に出さないように我慢した。


「戦争が終われば正式な統治者が決まります。それまではよろしくお願いします」

「ならもう少し頑張るとしよう。子供達が平和に暮らせる世の中にするためだからね」


 セオドアがロイやザックを見て優しい笑みを浮かべる。

 微笑ましい光景だが、その光景から目を背ける者もいた。

 アイザックは彼のもとへ向かう。


「ハーミス伯、前から確認しておきたかった事があります。親族から養子は取れそうですか?」


 ハーミス伯爵は家族をアーチボルドに殺された。

 他の貴族は親族から養子を取っているが、彼は養子をまだ取っていない。

 その事を確認しようとする。


「生き残っている親族には女児しかおらず、跡継ぎを取る事はできません。それにアーチボルドの首を取るまでは将来の事を考えられません」


 彼の意思は固いようだ。

 だからアイザックはゴールが近い事を教えようとする。


「アーチボルドは帝都スタリオンで囚われているそうです。アルビオン帝国の内戦のせいで引き渡しが遅れていましたが、後日私が引き取ってきます。だから、そのあとの事を考えておいていただきたいのですよ」

「アーチボルドを処刑したあとの事ですか……」


 ハーミス伯爵は乗り気ではないようだ。

 彼の様子を見て、アイザックはとある人物を思い出していた。


 ――ロバート・フォスベリー子爵。


 これまで様々な道を考えていたようだが、結論を出したのだろう。

 今のハーミス伯爵は、フォスベリー子爵の思いつめた表情を思い出させる。


(復讐を終えたら、すべてを終わらせるつもりか……)


 彼の働きにはアイザックも感謝している。

 だから、伝えるかどうか迷い続けてきた提案をする事にした。


「親族に女児しかいないというのならば、ハーミス伯爵家に見合った婿を迎えてもよろしいのでは?」

「内乱による影響で、どこも男児を出したがらないのです。それにほどよい年頃の男児は婚約者も決まっているところが多いので……」

「年頃の男児が多く、婚約者も決まっていない家を一つお忘れでは?」


 ハーミス伯爵は、アイザックの言葉をすぐに理解できなかった。

 だが一度ザック達に視線を動かすと、彼の言葉の意味を理解する。


「殿下を婿にいただけると? 身に余る光栄感謝いたします。ですがそのようなご配慮をしていただかなくとも……」

「あの子達を連れてきたのは教育のためだけではなく、婚約者候補を探すためでもあるのですよ。何人か候補をリストアップしていますが、そこにハーミス伯爵家を入れてもかまいません。ハーミス伯爵家は国家のためを思って行動した忠臣の家柄。絶やすのはもったいないと思いませんか?」


 アイザックの言葉で、ハーミス伯爵はハッとした顔を見せる。


「さすがは陛下、気付いておられましたか」

「以前、今のハーミス伯と同じ目をしている方と会った事がありましてね。あの時は救えませんでしたが、今回は救えるかもしれない。余生を後継者の育成に費やしながら過ごすのも悪くはないと考え直していただけると私も嬉しいです」

「陛下がそこまでおっしゃるのなら……、一度考えてみます」

「ありがとうございます」


 ハーミス伯爵は、アーチボルドへの復讐が終われば、家族を追って命を絶つつもりだった。

 本当は男児を迎え入れる養子のあてもあったが、そのどれもがハーミス伯爵の死後、伯爵家を乗っ取って領地を我が物にせんとする欲深い者達ばかりだった。

 彼はそんな者達の欲を満たすために戦ってきたわけではない。

 だから自分の代で終わらせるのも悪くはないと考えていた。

 そんな時、アイザックが新たな道を示してくれた。

 エンフィールドの血を引く皇族は、かつてのアーク王家の血と比べるまでもないほどの価値があるものだ。

 その子供の一人を婿に出してもいいという。

 アイザックの気前の良さは、アーチボルドと比べるまでもなかった。


 しかも養子(・・)ではなく、婿入り(・・・)である。

 養子であれば、ハーミス伯爵の血縁者と結婚しなかった場合、家は残るが血は残らない。

 だがハーミス伯爵が親族の娘を養子にし、婿入りするという形ならばハーミス伯爵家の血も残る。

「後継者がいないのだから息子を養子にしろ」と命じて、ハーミス伯爵家を乗っ取る事もできた。

 しかし、アイザックはそれをしなかった。

 ハーミス伯爵家の血を残す事を考えてくれている事に、彼の胸中は感謝の気持ちでいっぱいだった。


 もちろん、アイザックにも考えがある。

 ハーミス伯爵達、アーク王国の反乱に関わった者には国の三分の一を領地として与える予定だ。

 ハーミス伯爵領、もしくはハーミス侯爵領は相応に大きなものとなるだろう。

 我が子に領地を与えて一から運営させるよりは、元々あった領地を引き継ぐほうが楽になる。

 もしハーミス伯爵が命を絶つつもりなら、ただ死なせるのはもったいない。

 婿入りするのが誰になるのかはわからないが、その子は爵位だけではなく、それなりの規模の領地を継承する事ができるはずだ。

 どこかに婿として出すなら、まだ功績がある家に出すほうがいい。


 当然ながら、アイザックは好んで婿に出すと言ったわけではない。

 できる事ならば婿になど出したくはない。

 だが今は子供達も聞いている。

「やだやだ、ずっと手元に置いておくんだ」と駄々をこねては失望される。

 ギリアムの時は失敗したので、立派な父の姿を見せるため、涙を呑んで提案したのだった。

 それに養子であれば、ハーミス伯爵に子供を譲って育てさせる事になる。

 しかし婿に出すという形ならば、成人までは子供を手元に残す事ができるのだ。

 このような状況でも、アイザックはギリギリのところまであがいていた。

「さすがに命を懸ける事になるとは思っていなかったでしょうが、両国の友好のために尽くしてくださったのです。そのような方を無下には扱わないと誓いましょう」

「陛下……」


 家族を失った事はいまだに悲しい。

 だがアイザックの言葉で、少しだけ報われたような気がした。

 この光景を見ていた子供達の頭の中は「父上カッコイイ」と「誰がハーミス伯爵のところに婿入りする事になるんだろう」という二つの考えと不安が入り混じっていた。

 とはいえ、婿に出される候補のアルバイン達はアイザックほど強く嫌がってはいない。

 まだ子供とはいえ、彼らは自分の立場を理解している。

 敵対勢力を懐柔するための政略結婚に行くのに比べれば、身の安全が保証されているハーミス伯爵のところへ行くのはどうって事はない。

 政略結婚に関しては、子供達のほうがアイザックよりもずっと大人の対応ができていた。

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いいご身分だな、俺にくれよ ~下剋上揺籃編~ 2
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『いいご身分だな、俺にくれよ 〜下剋上貴族の異世界ハーレム戦記〜』(三章終了時までの予定)
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― 新着の感想 ―
アイザックは子供の数が多いから、気が付いたら名前のある主要キャラのほとんどが親族になっているかもしれませんねw
とはいえ、婿に出される候補のアルバイン達はアイザックほど強く嫌がってはいない。 まだ子供とはいえ、彼らは自分の立場を理解している。 あれぇ?親父よりも子どもたちの方がよっぽど大人だぞ?ww
婿入りは双方の利益になるような道筋をつけつつ子供を傍に置きたいという道筋もつけるのが上手いですね、単なる暴君や暗愚の後先考えないわがままとは違いますよね。 セオドアは娘と孫が最高の地位それも王国から…
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