漫才「空前絶後の相方」 コンビ名「ロンサム・ハンサム」
「はーい、どうも~! ロンサム・ハンサムのハンサムの方でーす」
「どうも、右手です」
ハンサムの方「ごめんなさい、いきなりビックリしましたよね?」
右手「よく、顔がチョキに似てますねって言われます」
ハンサム「右手がチョキを出してるので、当然なんですけど」
右手「皆さん、最初に思いましたよね? どうして左手じゃないのか」
ハンサム「それは2個目か3個目に思い付く疑問じゃないかな?」
右手「どうして右手が相方なのか? それは旧石器時代まで、さかのぼります」
ハンサム「そこまでさかのぼらないで」
右手「子供の頃の話です」
ハンサム「丁度いい時代だね」
右手「皆さんは『エクソシスト』という映画を知っていますか?」
ハンサム「ホラー映画の名作ですよね」
右手「ある日、いたいけな少女に悪魔がのりうつり、少女の意思に反して悪魔が少女の体を操り、自身を痛め付けるんですよ」
ハンサム「怖いですよねー」
右手「その少女に取り憑いた悪魔を取り払う神父こと、悪魔祓い師のお話です」
ハンサム「そうなんです」
右手「いやー、怖かった~」
ハンサム「ん? それだけ?」
右手「それだけ」
ハンサム「いやいや! その流れは、実は子供の頃に悪魔に取り憑かれて、悪魔の意思で右手が勝手に喋ってるって流れじゃん」
右手「別に関係ないよ」
ハンサム「関係ないの? それ映画を観たただの感想じゃん」
右手「寒い時期だとカッサカサなのよ」
ハンサム「乾燥肌の話じゃない!! もうぉ、右手のクセにムダ口が多いなぁ」
右手「お前~、右手だと思ってバカにしやがって~」
ハンサム「怒った? 落ち着いて! 手首を曲げて、何をする気なんだ? グーをこっちに向けるな!」
右手「ニャー>ω<」
ハンサム「猫のポーズ!? 変な可愛さアピールするな。バカにしてじゃなくて、バカじゃん」
右手「おい、お前。今、なんて言った?」
ハンサム「バカじゃん、て言ったんだよ」
右手「そこじゃない」
ハンサム「可愛さアピールするな」
右手「そこじゃない。もっと前」
ハンサム「ん? ちょっと、どこのことを言っているのかわからない」
右手「ホラー映画の名作ですよねって言ったな? その通りだ!」
ハンサム「さかのぼり過ぎ! 映画の話はとっくに終わってるの!」
右手「ここまで話を引っ張って来ましたが、やはり皆さん、気になりますよね?」
ハンサム「そうだよ。気になるよ。理由を教えて」
右手「気になりますよね? なぜ、宇宙は広いのか?」
ハンサム「ん? 全然、関係ない! 右手の話じゃなかった」
右手「宇宙人は本当にいるのか? 本当に宇宙に果ては無いのか? 気になりますよね?」
ハンサム「壮大な謎だけど、今はその話じゃないから。なぜ相方が右手なのかを掘り下げてよ」
右手「宇宙と右手、関係あるだろ?」
ハンサム「あるの!? 本当に?」
右手「ほら? そのー、あの~……ね?」
ハンサム「無いじゃん!? とんちが浮かばないくらい関係なかったじゃん。あまり宇宙の話を広げないないで。話の収集が付かないから」
右手「宇宙を広げるなだと? 成長し続ける宇宙を、お前は止めると言うのか? お前は神か!?」
ハンサム「宇宙の話はやめろぉ!! 話が散らかり過ぎなんだよ!」
右手「まぁ、ここからが本題なんですよ」
ハンサム「やっとですよ。何故、右手が相方なのか? 皆さん、確信に迫っていきますよ」
右手「精神医学において人格の分裂という症例があるのです」
ハンサム「いわゆる多重人格というヤツですね」
右手「ですって!」
「ですって!? 近所のオバチャンか!!」
右手「そうだよ! ただのムダ話だよ!」
ハンサム「オバチャンの話はムダみたいな話にスリ変えるな!」
右手「オバチャンの話はムダだよ! 大抵、旦那の悪口か新人女優のダメ出し」
ハンサム「そんなことないよ! また関係ない話? 今の、どこが本題だよ!?」
右手「右手がドヤしながら知識をひけらかすのが本題だったんだよ!」
ハンサム「君、性格悪いな~」
右手「おい、忘れたのか? 俺はお前の右手だぞ」
ハンサム「性格が悪いのは僕の方か!?」
右手「そうだよ。自分で自分のことをハンサムなんて言うヤツは性格悪いよ!」
ハンサム「そ、そうだね」
右手「でもね、皆さん。カッコよくないのに自分でハンサムとか言って、おちゃらけていますけど、実は寂しい男なんですよ」
ハンサム「やめろよ」
右手「コミ症で友達がいない、他人と仲良くなる方法が解らない人間なんです」
ハンサム「や、やめろって」
右手「相方なんて誰もいない。だって、いつも一人。一人ぼっちの自称ハンサム」
ハンサム「本気でやめろ!」
右手「だから右手が相方として覚醒すことにしたんです。右手が相方で面白いことをやって、人を笑わせれば、みんな仲良くなれる。皆さん、面白い人は好きでしょ? こんな右手じゃなくて、ちゃんとした相方ができる訳ですよ」
ハンサム「やめろって」
右手「なんだ? お前は泣いてるのか?」
ハンサム「泣いてない…………」
右手「右手をパーにして、突然のフェイスハガー!」
ハンサム「やめ、顔面をつかむな!? 映画のエイリアンのマネするな!」
右手「ふぅー、楽しかった」
ハンサム「楽しかったじゃないよ!」
右手「ほら、宇宙の話は関係あったでしょ?」
ハンサム「無理矢理つなげるな! まったく右手とは、もう漫才をやってられないよ。どうも、ありがとうございました!」
右手「おい、勝手に話を終わらせようとするな」
ハンサム「終わりだよ! もう話すことないよ」
右手「いいや、まだ、アイツが話してないだろ?」
ハンサム「ん? 誰のこと」
??「ぼーくーだーよ~」
ハンサム「え? まさか、これは!」
??「ひーだーりー手ー、だよ~」
ハンサム「ウソだろ? トリオ漫才になっちゃった」
右手「じゃぁ、両手がそろったってことは、この後どうなるか、わかるな?」
ハンサム「な、何をする気なんだ?」
右手「左手、やるぞ!」
左手「いいーよ~」
ハンサム「や、やめろ! やめろぉー! 手首を曲げて、何をする気なんだぁああー!」
「「ニャー>ω<」」
ハンサム「両手で猫のポーズ!? 可愛さ2倍!」
右手「どうも、センキュー!」
ハンサム「まさかのセンキュー!?」
終




