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その5


 学園に通っているのでもちろん試験がある。


 ヒロイン特需なのか普通に授業を受けているだけなのに中の上程度の学力はあるのだけど、魔王様に「なかなかやるな」と思ってもらえるようにある程度の点数を取りたい。


 なので、恋愛ものあるあるの「一緒に試験勉強」を提案してみたらすんなりOKしてくれた。


 まあ、監視という名目で休みの日にはいつもうちに来てソファに座って仕事の資料っぽいものを読み、軽食を食べて帰って行くので、魔王様にとっては普段とあまり変わらないのかもしれない。


 そうそう余談だけど、あのデートの日以来、お茶と一緒にハンバーガーのようなものやサンドイッチなどをお出ししたらそちらもとても気に入ってくれて、やはり作り方を聞かれた。

 魔界でも作るつもりなのかもしれない。



 というわけで一緒に勉強をしているのだけど、魔王様の教え方はとても分かりやすかった。


「魔王様が先生なら勉強好きになれそう」


 そう言うと、魔王様は呆れたように言った。


「単純なヤツだな」


「はい、恋する乙女は単純なのです!」


「……」


 魔王様の眉間にシワが寄った。


 ふふっ、照れているのかな?

 なんてね。


 そう思っていると、私の膝の上に魔王様の黒猫が乗った。


「……降りろ」


 いつもより低い声が聞こえた。


「えっ? 全然問題ないですよ? 私猫大好きなんで」


 魔王様の眉間にさらにシワが寄った。


「魔王様、この猫ちゃんの名前はなんて言うんですか?」


「教えるわけないだろ」


 なんだかとても機嫌が悪い。


「でもそれだと呼ぶ時に不便だし……クロって呼んでもいいですか?」


「何っ!?」


 久々に魔王様が大きな声を出した。

『魔王様は絶対に倒されます』って言った時以来。


 そんなに驚く事?


「前世で私が住んでた国ではこの猫ちゃんの色を『黒』って言うんです。だから──」

「駄目だ。そんな安直な。別のを考えろ!」


 そんなに怒る事?


 まあでも好きな人が嫌がる事はしたくないし……


「じゃあ、ノッテはどうですか? 私の国の言葉ではないんですけど『夜』って意味なんです」


「……まあ、いい」


 良かった。


「ノッテ、いつも馬車に変身して送り迎えしてくれてありがとうね」


 ノッテはにゃーと鳴いた。


『どういたしまして〜』と言っている様な気がした。



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