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魔王side4


 冬のある日、魔獣狩りが行われる事になった。


 人間が結界を壊した事で魔界の魔素が漏れ出しその周辺の生き物が魔獣に変化してしまった。


 人間の尻拭いに付き合わされるなど不本意だが、あいつが「これはイベントだから、他の人と行くと好感度が上がって聖女に覚醒してしまう」と言うのでついていった。


 それなのにあいつは覚醒してしまった。


 とうとうこの時がきてしまった。


 でも、空間に閉じ込められた時から覚悟はしていた様な気がする。

 強制力からは逃れられないのだろうと。


 未だに光に包まれているあいつをただただ凪いだ心で見つめた。


 そして俺はその場から去った。


 そのまま国に帰るつもりだったが、何故かクロードがいない。

 探しているとクロードがあいつを連れて来てしまった。


 あいつは何か方法を考えようと言ったが、もうこれ以上側にいるのは危険だと俺の本能が警告していた。


「婚約者の設定を忠実に守っていただけだ。お前に対して何の感情もない」


 昔、迷い込んだ弱い魔獣に名前をつけて世話をした。

 でも1年足らずで消えてしまった。

 心に穴が空いた。


 名前は執着を生む。


 だから俺はあいつに名前を教えなかったし、俺はあいつを名前で呼ばなかった。


 なのに……どうして離れるのを躊躇してしまうんだ……



「魔王様……私の息の根を止めてください」


 俺の為に命を差し出そうと言うのか?


「魔王様、もうループを止めちゃって─!?」


 笑いながら涙を溢したあいつを、気づくと抱きしめていた。



「……なん、で?」


 わからない。


「もう婚約者のふりは必要ないんですよ?」


 わかっている。


「本気になられたら困るんでしょ?」


 そうだ。


「どうして?」


 やめろ。


「ねえ、なんで?」


 認めるなっ!


「魔王様……」


「っっ、くそっ!」


 あいつの唇を奪った。

 何度も何度も、深く深く、息もできなくなるほど……


 魔法であいつを眠らせた。


「クレア……」


 最後に絞り出すように名前を呼んだ。

 クレアの耳には届かないとわかっていたから。


 クレアを部屋に連れて行き、俺は国に戻った。


 俺の魔法の効力が消えた事で、俺が伯爵令息と偽って過ごしていた事がバレて騒ぎになるかと思っていたが、俺の存在事態がなかった事になっていた。


 これもゲームの強制力というものなのか?


 ずっと苦しめられて来た「強制力」というものに、この件に関してだけは助けられた様だ。



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