ウォーリスギルド
遅くなりました。
ノゾミが目を覚ました翌日、ウォーリスのギルドに向かった。
「うぉ、でっか」
ギャルンも大きい方だと思ってたけど、やっぱり首都のギルドはレベルが違うな。
「まぁでも木造なのは変わんないな」
「クァ」
頭の上のノゾミが鳴く。もうそろそろノゾミを頭に乗せるのは辞めよう。重い。
「おぉ中も全然ちげぇ。へぇ休憩区画がもはや喫茶店と化してるな」
しかもバルコニーもある。あれ?中二階って言うんだっけ?
「すげぇカウンターも依頼受託と完了報告、換金所が全部分かれてる」
首都ともなると冒険者の数も桁違いなんだろうな。
ロビーのど真ん中で惚けていると、後ろに誰かが来た。
「おい餓鬼、邪魔だ」
「?」
後ろを振り向くとそこには無精髭の巨漢とその取り巻き①②がいた。
うわっでかっ!絶対190はあるな。
「こんなに広いんだし邪魔になってねぇと思うけど」
「俺様の通り道につったってんじゃねぇよ」
なんだこいつ。めんどくせぇ。ん?
「あ、そこの。昨日は神殿までありがとな」
「「え?・・・・・・あぁぁぁぁ!」」
そんなに喜ぶなってぇ。ほらもっと近くに来いよ。そんなに後ずさるなって。
「おい、てめぇら!何餓鬼相手にびびってんだよ」
「あ、兄貴。こいつヤバイです」
「そうでさぁ、俺等こいつに殺されかけたんでさぁ」
いや、殺そうとした訳じゃないから。あれは交渉だよ交渉。
「おめぇらが油断しただけだろ」
明らかにこちらを見下しなめているご様子。すげぇむかつく。
「こんな餓鬼、試験待ちBランカーの俺にかかれば瞬さ」
「じゃあやってみる?」
わざと重ねるように言い挑発する。
「こんのぉ餓鬼ぃ」
「『クァ』」
あぁれ、俺なんでこんな事してんだっけ?時間の無駄じゃね?
「あ、そうだ依頼受けるんだった」
髭面をほっぽってカウンターに向かう。
今すいてるカウンターで俺好みは・・・・・・おし、あの真ん中の青髪碧眼の子かな。
ちなみにこの世界において髪の色とは、属性との親和性を示している。そして原色に近づくほど親和性が高い。
「ねぇちょっといい?」
「はい。整理番号23番の方ですか?」
え、整理番号?何それ
「えっとぉ、初めてここに来たんですけど、整理番号って何ですか?」
「あ、そうでしたか。その場合は2つ右隣の新規登録受付に列んでください」
「え、いや。ギルドカードはあるんですけど、ちょっと山に籠もってまして」
「あ、更新の方でしたか。それはすぐ左隣のーは、対応中ですしすいていますからこちらで受け付けましょう」
「あ、お願いします」
「ちょうど1ヶ月前からギルドの仕様が少し変わりまして、それによりギルドカードの機能がいくつか増えました。まず、預金制度の開始です。簡単に言うと、ギルドにあなたの口座を作りそこにあなたが依頼を完了し稼いだお金を預けるというものです」
へぇ~、ていうか“口座”って単語こっちにもあったんだね。知らなかった。
「ある程度規模の大きいギルド限定になりますが、預金していた場合、対応ギルドであればどのギルドでもお金を引き出すことが出来ます。まぁ限度がありますが」
「お金を預けることによる利点は?」
「え?あ、はい。まず、大量のお金を持つことによるリスクが消えます。また、預金額によって買い取り額が上昇します」
う~ん、1つ目はどうでもいいけど、2つ目は魅力だな。
「預金してあるお金をギルドはどう使うの?ただ貯めとくだけじゃないよね」
たぶん預金制度は勇者発案だろう。まぁ勘だが。もしそうだとしたら何かに使うはずだよね。
「はい。まず預金制度を始めたのはギルドに勇者の登録が認められたことが原因なんです。その登録した聖鎌の勇者様が登録初日にアグアドエルマータを大量に持ち込みギルドの金庫が一時的に空になるという事態が発生したんです。これを防ぐためにこの制度が開始されました。まぁ何が言いたいかというと預金してあるお金はギルドの買い取り金が足りない時、使わせて頂きます」
あぁ~勇者の登録認められたんだ。そして初っ端からやっちゃったかぁ鎌の人。少し自重してくんね?
「ま、だいたい分かった」
「ほっ」
え、何、俺ちょっと面倒な客みたいな感じなの?あぁやっと納得してもらえたわぁ~みたいな?
ノゾミの「『クァ』」は沈静術式です。
あ、髭面巨漢は出しますんで、今怒りをぶつけようとした相手が急に消えて硬直中です。
アグアドエルマータの説明はまた後日。巨大なGとお考え下さい。




