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Bランク

途中、形式を変えてみました。カリナの印象アップのつもりです。


※次から学校があるので更新速度が遅くなります。

最新※文章を少し変更しました。

えぇこの度、わたくし、佐藤慶明は、最下位とはいえギャルンギルド支部の幹部に就任いたしました。


なんか危ない匂いがプンプンする。事の発端は、3日前の朝。


◆◆◆


クルガ村の件からもう1週間が経っていた。


目的は、従魔師レベルを上げるためだ。調べたところ従魔師がLV.20になると『念話』というスキルが使えるらしい。


ノゾミとの触れあいのためにも是が非でも取らねばならない。


従魔師に求められるのは、いかに従魔と心を交わしながら敵を倒し、いかに喜怒哀楽を共有するか、ということ。


それは、ただがむしゃらに敵を倒しまくれば良いというわけではない。


そうかといって、


「おぅノゾミ、こっちおいでぇ」


「ノゾミは可愛いなぁ」


「おぉ!もう飛べるのか。ノゾミは天才だなぁ」


「ほらぁ、こっちだよぅ。はい、ジャンプ!」


本来、従魔のレベルを上げる方法として、一緒に過ごすだけ、というのは間違いだ。


基本的に従魔師は従魔と一緒に過ごし触れ合うことでレベルが上がる。普通の従魔は敵を倒してレベルが上がる。だから、今の従魔師は従魔と一緒に敵を倒すことを重要視している。


対して霊獣は使命を全うすることでレベルが上がる。


ノゾミの“守護”という使命は、対象と一緒にいるだけで使命を果たしていることになり、この方法でレベルが上がるのだ。


無知な事が幸いした、ということだろう。


「おぉ、もうレベルが30近くになってるじゃないか。この方法を考えた俺、天才だな」


自画自賛をしつつ、念話を行使する。・・・が、ノゾミからの返答がない。


「なぜだぁぁー!ノゾミ、病気なのか?くそっこの世界に獣医なんていないし。どうしたら」


この日、一日中喚いていた。その後、念話に応答するほど知性が発達していないと言う結論に落ち着いた。


「あぁもうここに来て1ヶ月は経つな」


宿屋のベッドでノゾミの毛繕いをしながら独りごちる。


「そろそろ別の街に行ってみるか?」


「クルルル」


「おぅおぅそんなに俺のゴッドハンドが気持ちいのか?うりうりうり」


「フシュッ」


「あぁ」


ちょっと強くやり過ぎて拗ねてしまった。でも可愛い。


「よし、明日次の街に向かって出発しよう」


2度目の壁ドンをされ、情けなく謝った後、寝た。


翌日、旅のついでに遠出の依頼でも受けようとギルドに来た。相変わらずセナーテだった。そろそろ休めよ!ギルドってブラックなの?


「ねぇ、別の街に行くから遠出の依頼無い?」


「え、マジですか?」


あ、いつものゆったり口調が消えている。


「ちょ、ちょっと待ってて下さいね」


行くなよ、待ってろよ、と念を押し奥へダッシュしていった。


結構長くなりそうだったので、休憩スペースでノゾミと戯れていたらセナーテがカリナさんを連れてきた。


「サトー君、ちょっといい?」


「え、あ、はい」


地味にセナーテがノゾミに手を伸ばしたので阻止しておいた。


「サトー君、君が試験待ちBランカーであるのは知っているよね」


「はい、この前の勇者の件で」


「ギルド側としては、あなたに正真正銘のBランカーになってから別の街に行ってもらいたいと思っています」


「それは個人の自由では?」


「それを言われたらお終いよ。ギルドの経営事情を少し教えて上げる」


「え、いいんですか?そんなの」


「いいのよ。まず、ギルド本部があるでしょ?場所は秘密よ。それから各国の首都に一つずつ。そして各街に一つずつ。ギルドはね首都にあるギルドを頭とした塊で運営しているわ。毎年初め、運営費として幾らか来るんだけど、その金額がその年にBランク以上を何人だしたか、なのよ。だからといって有象無象をBランカーにしているわけではないわ。このことを踏まえた上でもう一度お願いするわ」


ギルドの内情とか別にどうでも良いんだけど、カリナさんに免じて受けてやるよ!


「分かりました。では、Bランクの試験は何ですか?」


「えーっと、少しまってねぇ」


あ、まさか用意していないとか。そんなことあるわけ無いよね。


「あ、これよ。双頭巨狼の番討伐」


「ふむ、オルトロスってやつね。いいですよ。受けましょう」


ノゾミには悪いが、速く先に進むため、ここはドラキルヤーンを使わせてもらおう!


◆◆◆


慶明が依頼に行った後、緊急幹部会議が始まった。


幹部A「さっき行ったばかりだろう。もう暫く時間があるはずだ」


カリナ「そんなことは言っていられません。早急に片を付けるべき事案です」


幹部B「ふむ、どっちにしろ、この支部からBが出るのは確定している」


カリナ「サトーはSランクに届きうる存在ですよ。ランクが上がるごとに支援金の額が上がるのを知っているでしょう」


幹部A「君は最近、彼に傾きすぎではないか?まさか、あの氷結が惚れたか」


カリナ「そんな下世話な話をしているのではない。これは超重要案件だ」


カリナの周囲に冷気が漂いだし、ギルドマスターに勝るとも劣らない威圧感が会議室を支配した。


ギルマス「カリナ、落ち着け。処遇は決めた」


カリナ「どのように」


ギルマス「彼に幹部の末席を与える」


幹部多数「「「「えっ!?」」」」


カリナ「それでは・・・」


ギルマス「では、他に何か良い案があるのか?色仕掛けも成功しないとこの前言ったであろう」


カリナ「いえ、ありません」


ギルマス「決まりだ。任命状を作るように。これは命令である」


幹部一同「「「「「ヤー」」」」」


◆◆◆


Bランク試験を終わらせて帰ってきたのはあの日から1日半後、だが討伐時間は30分もない。


これにはギルドマスターも驚いていた。


「これで俺もBランカーですね」


「はい、おめでとうございます」


Bランクからは特別製の記章があるようで渡された。営業スマイルとはいえカリナさんの笑顔は綺麗だ。


「もう、行っていいですか?なんか恥ずかしくて」


「あ、もうちょっと待って下さい」


「なんでしょう」


「Bランカー、サトー殿。貴方をギャルンギルド支部、幹部会第9席に任命する」


「え!?」


頭の上のノゾミが、疲れたとでも言いたげにクァァと鳴いた。

今更ながら慶明はギルドにサトーと登録しています。モロバレですが。

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