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九州平定 III

感想頂いて返信できておらずすみません。ちょうど主にこの話と続く話の内容でしたので返信しておりませんでした。どうかこれからもよろしくお願いします。

 島津四兄弟の義久、義弘、家久が降伏した後も最後まで肥後で抵抗していたのは残る島津歳久だったが、他の三兄弟の降伏を伝えられ、これ以上抵抗するなら兄弟の命も保証できない、と脅されついに降伏した。


 ここに豊臣秀吉様による九州平定は成し遂げられたのだ。


「さて…戦後の論功についてだが…」


 関白太政大臣豊臣秀吉様が話をはじめられた。


「立花宗茂は筑後柳川を安堵。島津は約定通り薩摩・大隅と日向佐土原を安堵、だな。」

「島津歳久は本領に置いておくと関白様への敵愾心が強く、また家久が島津家を辞して…そのよくありがちな例の家に転がり込んだので、佐土原に移って出家し、根白坂の戦いで討ち取られた島津忠隣殿の菩提を弔うことになりました。」

「島津義久も出家をして一線から身を引くとのこと。」

「となれば島津は島津義弘の差配となるな。」

「はっ。」

「肥後は相良は本領安堵で良いと思うが、阿蘇などは道向定まらず、改易で良いな。肥後は佐々成政殿にお任せしてみようと思うが。」

「恐れながら関白殿下。」


 佐々成政殿が返答する。


「肥後には阿蘇山しか登る山がございません。私その様な土地に参っても生きがいがありません。」

「何、わしに逆らうというのか。」

「いえ、ただ、私にはまだ登りたい山がたくさんあるのです。その最たるものが天竺・吐蕃の境にあるという聖母峰、『チョモランマ』でございます。」

「天竺の山だと?」

「はい。三千丈もの高さがある世界最高の山です。ぜひ吐蕃を征服して関白殿下に献上し、私は聖母峰を征服してみたいと。吐蕃には他にも登りたい山が無数にございまして。」

「わしの将来の唐入りの夢を知っての事か。おそらく三成あたりにその山のことを聞いたのであろうが、その志や良し。将来の吐蕃征服に向けておのれを研鑽せよ。」

「はっ!早速まずは軽く霧島連山連続登頂で勘が鈍らないようにしてまいります!」


 と言って佐々成政殿は退出された。


「となると誰に肥後を任せるかだが…虎ノ助(加藤清正)、お前に決めた!しかし肥後は国人衆が一揆を起こすだろうからそれまでの手当てと島津が落ち着くかの監視も兼ねて宇土にしばらく伊勢松坂の蒲生氏郷が駐屯すること。」

「はっ!」

「それに加えて清正にあの男をつける…」

「あの男、とは?」

「父と喧嘩して徳川家から出ている水野勝成だ。」

「あの恐ろしい水野勝成が清正殿につくなら一揆など起こすほうが自殺行為ですな。」

「しかし国人衆はそれを知らないでしょうな…」


 実際清正赴任後行われた検地によって(そのやり方は史実の佐々成政と比べるとずっと穏当なものであったが)肥後の国人衆はやっぱり反乱を起こした。


 しかし国人衆の立て籠もった貧弱な城はあっという間に大砲で城門を破られ、


「俺、参上!(水野勝成)」

「同じく蒲生氏郷参上!」

「総大将加藤清正参上!」


 と戦国でも有数の戦闘力を誇る槍使いに乱入され、根切りの噂が広がる前に次の城が根切りにされ、降伏の相談すらする暇なく一揆勢は全て討ち取られて肥後の国人一揆はまたたく間に収束したのであった。一揆が収束したのを見届けた水野勝成は


「ここは平和になってしまって俺が戦うべき戦場がない。清正殿!さらばじゃ!」


 と言って虚無僧姿になり旅立ってしまったという。この人家康様の命令でわざと逐電して西国の情報収集をするスパイもやっていたっていう噂だからなぁ。すごいわ。


 話を論功の場に戻す。


「黒田孝高は今回の陣で多大なる功績を上げた。よって…」

「豊前ですか?」

「いや筑前一国を与える。博多の町の奉行も兼任してくれ。」

「筑前一国とは!そこまでの戦功は挙げていないかと。」

「三成の推薦でな。その当の三成が豊前を欲しがってな。島津三兄弟を生け捕りにしたとあっては言うことを聞く他あるまい。三成は筑前・豊前国境の山の『石炭』を筑前からも買い取りたいと申しておるが、良いか。」


 と秀吉様がニヤニヤする。そう。俺は秀吉様に『どこなりとも与えるが、大坂はなしな。』と笑いながら言われ、豊前を所望したのだ。(史実では筑前が小早川隆景、豊前が黒田孝高)これで筑豊炭田が手に入る!石炭を手に入れて八幡に高炉を建設し、北九州工業地帯を作ってついに蒸気機関、スチームパンクの時代を目指すのだ!ぐへへ。


「毛利吉就他諸将には豊後の一部と日向の内、島津の佐土原と都城の伊藤の分を除き、分配して与える。そして小早川隆景に豊後の大半を与える。」

「豊後を小早川殿に、となりますと我が大友は?」


 それを聞いた大友宗麟が悲痛な声を上げる。


「黙らっしゃい!」


 秀吉様が恫喝する。


「先手の総大将、仙石秀久を船に押し込めて追い払い、のみならず島津に大敗して長宗我部、十河を討ち死にさせたのは大友義統ぞ!仙石ほどの剛のものがたやすく捕らえられたとは思えぬが、仙石は監督不行き届きで改易じゃ。まぁ京で隠棲できるよう千石は捨扶持を与えるが。」


 秀吉様が続ける。


「聞けば宗麟は仙石押し込めの話、まったく関わりがなく相知らぬ、とのことであったので改易で許す。また大友家は頼朝公以来の名門であるので孫の大友義乗に100石を与え、大坂で御伽衆となることを許す。」

「なんと!100石!」

「一族族滅にするべきところを家名存続させたのだからとてつもない恩情と思え!そして大友義統は…当然斬首だな。」

「それは当然ですな。」

「全くもって自業自得。」


 と諸将から声が漏れるが当の大友義統見当たらない。


「ん?義統はどうした?」


「申し上げます!大友義統!脱走して長崎の教会領に逃げ込みました!」

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