豊臣秀吉
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ついに『正式に』徳川家康様から督姫様輿入れの話が来てしまった。
俺は混乱して妻のうたさんに
「どうしよう。」
「良いではないですか。徳川様のご息女ともなれば私が側室に下がります。」
「それは俺が嫌。うたさん愛してる。」
「愛してくださるのは良いですが、徳川様に恨まれては。」
「それも困る。」
秀吉様のところに行くと、
「佐吉ぃ!よくやった!これでお前の所に家康が娘を嫁に出したら、家康は俺の部下であるお主と同等になる!
姉妹の朝日を家康に嫁に出そうと思っていたがわざわざ離縁させるのも気の毒でな。」
とノリノリである。
しばらく考えてから名案を思いつき、秀吉様の所に行った。
「縁談はお受けしようかと。」
「お、うた殿を側室に下げるのか。」
「いえ下げません。」
「まさか家康のご息女を側室に?」
「それもいたしません。」
「それはいかなることに?」
目をぐるぐる回す秀吉様に俺は説明する。
「遠く西の方に回教という教えがありまして。」
「ふむふむ。」
「回教はデウスの代わりにアッラーという尊い神を拝んでいるのです。」
「で?」
「回教の聖人、モハメットは4人の妻を娶ることを認めました。」
「それは本邦でも複数の妻を娶れるから同じだな。」
「いえ、同じではありません。」
「と申すと?」
「妻には第一夫人、第二夫人、と付きますが、全て正室でその扱いに差をつけてはならないのです。」
「なんと。ではお主回教徒になるのか?」
「いえ、流石に。しかし我が国は八百万の神の国です。」
「ふむふむ。」
「ですから八百万の神として現れている姿はその根源であるアッラーのお姿の一つ、としてアッラーの教えにも従うのは良いと思うのです。ちょうどキリスト教を信じていなくとも聖書の教えの良いところは取り入れるのと一緒です。」
「なんか煙に巻かれている気がするが、まあ徳川殿が納得してくれるならよかろう。」
「さすがに第一夫人の称号は督姫様にいたします。しかしうたも私には同格、ということで。それで聞いてみます。」
徳川家康様も激しく面食らったようだったが、『第一夫人は督姫様』と確約したこともあり、
「まぁ三成殿が言い出すならなにか考えはあるのだろう…」
と了承してくださった。
こうして我が家に督姫様が輿入れしてきて、盛大に花火を上げて祝ったのである。
そして督姫輿入れの祝とお礼に徳川家康様は上洛してきて、ついに羽柴家と徳川家の融和がなったのであった。
「お義父様、今後もよろしくお願い申し上げます。」
と俺は家康公に平伏する。
「うむ。これで三成殿もわが徳川の一族、どうかこれからもよくして下されよ。」
「おいおい、三成、お前の主人はわしじゃよな?」
と秀吉さまがニカっと笑う。
「はっ!わが主は秀吉様でございますれば、これからも誠忠を尽くしてまいります!
そして我が岳父、徳川家康様の恩為にも力を尽くしてまいり、両家の鎹となれるように働いて参りたいと!」
「よしよし。」
秀吉様が頷く。
「ところで三成、お前最近奥羽の諸侯ともやり取りをしているとか。」
「はっ。出羽の最上義光様には西国で人気の鮭を融通していただくために親しくやり取りをさせていただいております。また同じく出羽の安藤愛季様には『しょっつる』を作り送っていただくよう、津軽の津軽為信様にはホタテを生産するようおすすめしました。」
「水産物ばかりだの。」
家康様が目をくるくるさせる。
「特産品はその地を豊かにできますれば。」
「それらのものが増えれば食も豊かになり楽しそうだな。ぜひ今度鮭とホタテで天ぷらを作ってほしい。」
と家康様。
「三成ぃ…鮭にかこつけて上杉と最上の和議も調停したとか。お主日本海側はほぼ交友関係となったな。」
「出過ぎた真似でございますれば。」
「よいよい。」
「はっ。」
「これからは親族として仲良くしていこうぞ。」
と家康様。
「さすれば上州沼田を治めている真田昌幸が嫡男、信幸はひとかどの者にございましてもしよろしければご家中のどなたかのご息女を娶せるというのは?」
「それほどのものか。」
「小勢で北条の大軍を相手にせず沼田を守りきるほどのもので。」
危うく『上田で徳川様の兵が殺到してくるのを一人で退けた。』と言いそうになったけど、今回は俺が信濃を押さえてしまったから『第一次上田城合戦』は起きていなかったのだ。危ない危ない。
「おお、それならば本多忠勝の娘小松を嫁がせよう。」
「ご配慮誠にありがとうございます。」
こうして督姫と俺の婚礼は無事に成り立ち、徳川家と羽柴家の間柄も良好となったのであった。
そして翌年、羽柴秀吉様は豊臣の姓を賜り、ついに関白太政大臣豊臣秀吉となられたのであった。
ところで督姫はとても美人で頭も良い素晴らしい女性なのだが、
「私の子に石田家宗家を継がせます!」
と言って夜も超積極的なのでちょっと燃え尽きた。督姫さんも愛しているがやっぱ時々うたさんに癒やして欲しい、と思う今日このごろだった。
ちなみに本来督姫が未来に嫁ぐはずの池田輝政殿なのだが、まあ後の世に名君で知られた長男光隆殿は督姫様の子ではなかったので、『ま、良いか。』と気楽に考えていたら、秀吉様からちょっと、と呼ばれた。
「本当は督姫の相手は池田輝政が良いと思っていたのだが、お主の所に嫁いだので代わりにもっと家柄の良い姫を輝政に嫁がせておいたぞ!安心せよ。ははははは。」
と仰っていた。なんのことかと思ったら…「とく」は「とく」でも織田信長様のご息女で元の松平信康(今うちで長七郎って名乗っている)の嫁さんの五徳姫が池田輝政さんに嫁ぐことになった。五徳姫のほうが年上だけど、いいのか、それ。
明日は九州攻めの始まりです。よろしくお願いします。




