これにて長篠の戦は落着
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織田信長様は口を開いて話し始めた。
「石田佐吉、鉄華団の戦果は期待はずれだった上に高価な管打銃を多数損壊したことは甚だ遺憾である。
しかし、真田兄弟を討ち取り、穴山・一条を撤退に追い込み、更には土屋昌続を自ら討ち取った功績は大きい。特に穴山隊を壊滅させて武田の軍勢全体を撤退に追い込んだ事はこの戦の趨勢を決めるものであった。
よって佐吉こと石田三成に、佐和山城を与える。」
「佐和山城は私に内定していたはずでは?」
胃の痛みマックス、という感じの丹羽長秀様が訊ねる。
「長秀には若狭一国8万3千石に加えて周辺の丹後、近江などで加増し、13万3千石とする。また若狭の小浜の地に新規で築城することを許し、天守を上げる事を許す。
これで勘弁してくれないか?」
おお、大幅な加増…天守を赦されるとは…と諸将から感嘆の声が上がる。
「ならば致し方ありません。殿の仰る通りに。」
長秀様は納得してくれたようだ。
「私に佐和山19万4千石を与えていただけるので…」
俺が口を開くと信長公はププッと笑いだして言った。
「19万4千石はどこから出てきたのだ?そんなにはやらんぞ。お前、三成だから三万石な。」
なんか仙石秀久さんが仙石だから千石な、みたいな話だそれ。
それでも城持ちの大名だからすごい出世ではあるのだが。
「残りは秀吉と長秀と儂で分ける。独立した領主ではなく、これまで通り秀吉の組下として仕えよ。城持ちとしたのはこれからも銃などの開発・改良を行う本拠地として与えたまでよ。当然、わしが許すまで天守など建てるなよ!所領の三万石は兵器等の開発費な。よほど危急の事態でなければ今度はわしの城の金蔵からは使うなよ(笑)」
と念を押される。はいはい。なるべくは手を出さないで済むようにします(汗)
多分無理だけど。ごめん、丹羽様、丹羽様の胃は守れそうもない。
「では馬場の件はどうなさるので?」
「三成には大名以外の捕虜は好きにして良い、と御免状を与えてある。当然馬場も三成の好きにさせる。
これにて評定は終わりだ!三成、励めよ。」
そう言って信長様は退出した。秀吉様は
「ホッとしたわ。どうなるかと思ったわ。汗が止まらんかったわ。下手に擁護すると儂共々処されてしまいそうだったからの。黙っていて悪かったの。」
と涙ながらに手を握ってくる。ありがとう、秀吉様。その人懐っこい笑顔にノックアウトされるわ。さすが歴史上有数の人たらし。
信忠様や勝家様は苦々しそうに去っていったが、佐久間盛政様や森長可様は
「よかったな!」
とか言って肩をたたいてくれたり、抱きしめてくれたりした。
「ふふふ、佐吉君、これからも楽しませてくださいよ。」
と竹中半兵衛様はニヤニヤしながらこちらを眺めている。
こうして、俺、石田三成は史実より10年以上早く佐和山城主になったのだった。
……領地は(予定)の六分の一だけどね!!
今週の更新はこれまでです。次回月曜日再開予定です。次回はまた開発絡みの話から開始となります。今後ともよろしくお願いします。




