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渡辺勘兵衛

投稿始めてから2週間5万字強で14万PV,評価111人、700人近いブックマーク、評価ポイント2300!

日間歴史〔文芸〕ランキング3日間2位、日間総合ランキングで一瞬82位とベスト100入りしました!

望外な非常な高評価いただき本当にありがとうございます!励んでまいります!

どうかこれからもお付き合いいただけましたら本当に嬉しいです。

この度ダインスレイヴ、じゃなくて第六天魔王の織田信長様に鉄華団長に任命されました石田佐吉あらため石田三成です。


考えたら鉄華団って二つの勢力争いに巻き込まれて戦った挙げ句、責任を押し付けられる形でぼぼ全滅しているから、実は同じように西軍の首謀者の立場を押し付けられて処刑された俺、石田三成に似てなくはないんだよね。悪い意味で。


本当に鉄華団の運命にはあやかりたくないので(多分先に進み続けたら足元は断崖絶壁)、せめて負けるにしても慈恩ジオン軍、を名乗りたかったのだけど、これ以上信長様に逆らうと次は切腹を完遂させられるのは目に見えているので鉄華団の名称を受けることにしました。嗚呼。


 その新生鉄華団、これまで織田軍団(というより日本)で行われてきた銃の運用とは全く違った、銃の集中運用を主体とする部隊で、銃そのものもパーカッション式で近代的な銃床を持つ管打銃(名称が長いので火縄銃に対してこれでいいか、と言うことになった。)を装備したこの時点ではまだ世界のどこにもない部隊なのである。俺の異世界チートついに始まった(嘘)


でも今は『鉄華団』を率いて一大鉄砲部隊を任されているが、なにせ俺は『あの』戦下手の石田三成である。運用方法が確立されたら鉄華団は没収されて、きっと他の指揮の上手い武将に任されるに違いない、と思った俺は俺自身の家臣も募集することにした。


 そうしたら槍で高名な渡辺勘兵衛さんが、なんと他からも誘いが来ていたのに石田家に来てくれたのである。なんか岐阜城での切腹騒ぎの話を聞いて、俺のことを『真の侍』とか思ってくれたというのだ。正直現段階の銃兵で全盛期の侍を防ぎきれるかどうかは自信がなく、槍隊は現状では防御の要として重要なので俺は飛び上がって喜んだ。それで秀吉様に与えられた500石全て勘兵衛さんの取り分にしたい、と申し出たところ、


「殿、それでは殿の分は大丈夫なのですか?」


と聞かれたので秀吉様や信長様から新しい銃兵を取りまとめる役職分で他に頂いているから大丈夫、オッケーオッケーと応えた。

オッケーオッケーは通じなかったけど、勘兵衛さんはいたく感激してくれて、


「殿に終生忠実に仕えまする!しかし、全部もらうわけには行きません。将来殿が十万石を得られるようになったら知行をくだされば。」


などと言ってくれて居候の客分として仕えてくれた。渡辺勘兵衛さん、史実通りの熱くて義理堅い男で本当に良かった。その御蔭で数十人と数は少ないけど、うちの家臣たちの槍隊などもなかなかいい練度に仕上がってきたのであった。



そうこうする内にまた国友衆の親方がやってきた。


「佐吉さん!じゃなくて三成殿か。ついに大筒ができましたぜ。三門ですが。みつなり、だけに三門、わはは。」


 と言って梱包を解いたのが…うむ!よい!フランキ砲じゃない!


 あれ国崩しとか派手な名前がついていて、一見未来的な後装式なのはいいのだけど、簡略な構造でガス漏れしちゃってロクに威力でないのよね。親方が持ってきてくれたのは、まともな青銅(砲金)製鋳造前装砲だ。兵器は枯れた技術も大事よ、とパーカッションロックマスケット作らせた口で言ってしまう俺。車輪もついている。狭い我が国でも比較的運用しやすいもの、と考えたので幕末の四斤野砲と同じぐらいの大きさだ。(ナポレオン砲よりはだいぶ小さい。)ただし本物の四斤野砲は滑空砲でなくてライフルついているから、そちらに比べると射程や威力は数分の一だろうけど。


「しっかし国友さん、よく大砲まで作れましたね…」

「三成殿の構想が面白すぎて頑張っちゃいましたよ。雷管や大筒で真鍮を使う際の技法は仏師を雇って研究しましたぜ。大体の構造は三成さんの図と注釈で見当が付きましたし。」


おお、お主はハイファンタジーのノームのおじさんか。こんなことならラインメタル120mm滑空砲か8.8cmFlak36でも作ってもらえばよかったぜ(無謀)

なにはともあれ、ついにちょっとした数の銃兵部隊と大砲が揃ったのだ。目指せナポレオニック。俺皇帝じゃないし島流しで死ぬのは嫌だからダヴーを目指したいが。


 次の問題は銃兵の『鉄華団』の訓練だった。俺も一応構えたり、実包を詰めて発火用の火薬を入れ、雷管を取り付けて狙いをつけて発砲する、という動作自体はできるのだけど、何分火縄銃でもそんなに経験あるわけではないから、今ひとつしっかりと兵たちに教えたり鍛えたり、ということができないのだ。


 まあガチで戦列歩兵として運用するならなんとなく並んでなんとなく発砲してもらってもいいのだけど。


 でも銃兵密集の運用できるのが銃の数的にうちの隊だけで、信長様や秀吉様としては鉄華団で銃術(ってなんだよ。ガンカタでもすればいいのか?)を極めてもらったら他に行って教えてもらいたい、という希望があったので、肝心の銃を明後日の方向に発砲されても困るのだ。できればそれ(鉄華団の運用)とこれ(新型銃兵の育成)とは話は別!にしたかったのだけれど、


「新しい銃の運用はお前が責任を持て。

これだけ好き勝手に金使って城の金蔵空っぽにしておいて、できないとは言わないよな?」


と超怖い顔で信長様に言われたので。非常に不本意ではあるのだが、どうにかしないとまた切腹だ。

次回からちょっとファンタジーというか伝奇的な要素入ります。

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