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鉄華団

今週の更新ここまでです。週明けまたよろしくお願いします。

俺はその後国友衆のところにいくことになった。

「おう、お主が羽柴様のところの佐吉さんか。噂では切腹を極めているという…」


なんか変な伝説ができつつあるようだ。

俺は焦りながら銃床などのデザインの改良と、雷汞・雷管の開発と、鉄条網の開発をお願いした。


「これはけったいな形だな…まあ信長様の命とあればとりあえず作ってみるわ。雷汞は材料的には調達できそうだが、こちらは時間をくれ。」

「なにせ金には糸目をつけない、とお墨付きですからな。ぐふふ。」

「そう、糸目はつけなくていいからな、お主も悪よのう。ぐふふ。」


予算使い放題で新しい技術を試せる、というのが国友衆に面白がられたらしい。

有刺鉄線もダイスと水車を使う方法の概要を説明して、こちらはも鉄砲制作の合間に取り組んでいただけることになった。



そうして長浜に戻って本来石田三成に期待される輜重や内政の仕事の勉強をしたり、取り組んだりする日々だった。


しかし体が弱いままで武士を続けても、切腹の危険が増えるだけである。

そこで俺はトレーニングに取り組むことにした。


「…佐吉君、なんでそんな格好で動かないでいるんだ?」


不思議そうな顔をして仙石権兵衛さんが声をかけてくる。


「これはプランク、といって腹の力を鍛えているのです。そしてこれがスクワット。足腰の筋肉を鍛えます。」


そうやって俺は一通り筋トレのメニューを説明した。もちろん前後にストレッチをすることの大事さも説いた。


なんか感服してくれた仙石さんとその部下の方々、そして虎ノ助や市松と言った近習仲間と一緒に筋トレやトレイルランニングを仕事の合間にこなす日々が始まった。

薄着になって琵琶湖で水泳のトレーニングにも取り組んだ。おそらく歴史上世界で初めてクロールをマスターした集団になってしまったと思われる。(もちろん実用的な平泳ぎも練習した)

逆に俺は剣術や槍術、馬乗術、着衣水泳などを皆から教えてもらった。


 そうこうする内にトレーニングをする人の数は多くなり、秀吉様や弟の秀長様、浅野長吉様まで参加して城の広場で体操するのが日課になってきた。目付の堀秀政様はともかく、秀長様の部下で体格超立派な藤堂高虎様とか友人だから参加していいよな、とかいって前田利家様たちまで出てきた。


 そのうち、トレーニングはひとまとめのセットを集団でメニューをこなすようになってきた。織田信長様からも「利家に教えてもらったが、このキントレ、とか言うの面白いな。体が軽くなってきたようだ。」と喜びの手紙が届いた。


 広場での集団トレーニングはまさにブートキャンプ、と呼ぶのにふさわしいものになった。うろ覚えから作ったから多分元のほどよくできてないけど。


 そして俺は最後に皆で両手を上げてVサインを作り『ビクトリー!』と叫ばせるのを定番化した。秀吉様に


「このビクトリー、というの何?」


と聞かれたので


「ビクトリーというのはエゲレスの言葉で『勝利』という意味です。プロシアに攻められた時にエゲレスの丞相がこの「ビクトリー」という言葉と中指と人差し指を伸ばす、この「Vサイン」をすることで民衆を鼓舞し、プロシアに打ち勝って逆に都まで攻め込んだのです。」


と適当に史実を丸めて伝えた。

秀吉様は一応納得してくれたようで、その後、勝利を願う時に織田家中で秀吉様と仲が良い武将(信長様を含む)は『ビクトリー!』とやるようになった。


…実はこのVサインって、第二次世界大戦の時に英国首相、ウィンストン・チャーチルがヒトラー率いるドイツに空爆されて苦しかった時に、当代きっての黒魔術師、アレイスター・クロウリーに頼んで作った呪いだから、意味はあっているけどこの天正時代にやってしまってよかったのは神のみぞ知る、だけどな。あはは。


 そうして鍛錬に勤めていたら、俺もそれなりにムキムキマッチョな感じになり、槍も軽々振るえるようになった。おー、結果にコミットしたぜ。


でも元の素性が良かった虎ノ助市松権兵衛さん高虎さん利家さんとか超ムキムキになっちゃったから手合わせしたら負けるんだけどね。でも、


「佐吉さん!前よりずっと強くなってますよ!大丈夫!雑兵とか相手なら絶対負けませんって!」

とか言って市松が励ましてくれるだか慰めてくれるからまだいいの。



そうしている内に天正2年は暮れて、天正3年になった。


そこに国友衆の親方がやってきた。


「ぐへへへへ。佐吉さん。金に糸目をつけず、元々の予算どころか岐阜城の金蔵からこっそり予算横流ししてもらったかいがありましたぜ。」


おいおい、それバレたら俺もお前も命がヤバいって。


(実は信長様にはバレていて、「佐吉のやることには金はいくら使われても文句を言うな。」と言い含めてくれていた、と後日聞いた)


「ほら、できましたぜ。管打式、雷管使った火縄・・・はないから佐吉さんが言っていた小銃ですな。あまりに面白くて予算もあるんで千丁作ってきました。」


 パーカッションライフル千丁ゲット。鉄条網も準備済みだってさ。大砲は流石に試作に時間かかっていてまだできてないけど、もう少しお待ち下さい、と。


 国友衆すげー。マジプロジェクトX。脳内に中島みゆきが響き渡る。


信長様の所に早速報告に行くと、


「佐吉、ひとまずお前が管打銃の部隊を率いてみよ、流石に佐吉じゃカッコがつかんな。

そうだ、お前の兄がお前が三成という名前が気に入っていたと言っていた。石田三成と名乗れ。」


石田三成爆誕しました。えー。そんな重要な部隊半兵衛様とかに任せましょうよ。


「そうだな、新しい鉄砲の部隊だからなにか名前があったほうがいい。


そうだな、『鉄華団』、というのはどうだ。」

「鉄華団!それはなかなか花がありますな!佐吉、じゃなくて三成!」


と秀吉様も同調してくる。でも鉄華団じゃ最後全滅しちゃいますよ。ヤバいですよ

あまりにもヤバいと思うので

「平家物語から取って慈恩軍、というのはどうですか?」


と提案してみたが鉄華団のほうが言い、と三傑のうちの二傑に押し切られ、俺は鉄華団長に就任することになった。将来不安だわ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] アハハハ!! こう、なんどもセプクの憂き目に合ってるのに文体は軽やかで、とても面白い気持ちで読めますね
[一言] そういえば鉄血の漫画描いてた作者が完結した後に 「機動戦史ガンダム武頼」という戦国時代の世界観で 巨大な鎧武者・鉄機に乗り込んで戦うというのを描いてたのを思い出した。
[良い点] 切腹熟練して、思い切りが良くなった所 [一言] 団長!何やってんだよ!団長!
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