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織田信長様

信長様を魔王と喚んでしまった、じゃ召喚しているから間違いで呼んでしまった俺はまさに切腹しようとしたその時に


「良い!待て!」


と信長様に声をかけられた。手が止めきらなかったのと名刀正宗の切れ味の良さにちょっぴり切れてしまった。少々腹から出血している俺を周囲が抱きとめて、秀吉様が聞いた。


「佐吉を赦されるので?」

「うむ。佐吉とやらの音に聞こゆる切腹の作法、そして死を前に覚悟した心構え、見事であった。」


…信長様、もしかして先の虎ノ助や市松を前にやった切腹の話を聞いていたのか?


「これ、佐吉刃が当たったようだが大丈夫か?」

「皮下が少し切れただけでございます。ひと針縫えばこれぐらい。」


と応え、典医が呼ばれて腹の傷を縫ってもらった。数限りなく腹切り斬首をこなしてきた俺にとっては縫われるぐらいまあ大したことではないのだ。痛いことは痛いけど。


治療が落ち着いて、俺は改めて信長様に呼ばれた。


「佐吉よ、お主魔王、といったのは信玄入道が叡山焼き討ちに対して天台座主を自称したのに対抗して戯れに第六天魔王、とわしが名乗ったのをしっていたのだろう?」


…分かっているなら切腹させないでください。このリアル魔王。


「ふふふ。悪かったな。しかしそなたの切腹があまりにも評判が高かったゆえ、一度見てみたかったのだ。」


と人懐っこい笑顔をこっちに向けてくる。もうひとりのサタン秀吉様もなんかホッとしたようで、さらに人懐っこい笑顔を向けてくる。ものすごい迫力のオッサン二人がニカニカこちらを向いてくるから爽やかというよりはなんか怖い。


「さて、本題に入ろう。佐吉よ、鉄砲の運用についてだが…」


俺は半兵衛様に話した内容を信長様に話した。テルシオやそれに対抗する大隊編成、戦列歩兵の辺りまで。


「ふむふむ、大筒を銃兵とともに運用することで攻撃力を増しつつ、弱点を補うのだな。」

「そのためには大友が用いているようなフランキ砲ではなく、カルバリン砲などが望ましいかと思います。打撃力のみを考えるならばガレオン船で用いているカノン砲もよいと思いますが、山がちな我が国では搬送のことも考えた大きさに収めたほうが現実的かと。」


「素晴らしい!」


信長様が声を上げた。


「さっそく大筒の入手や研究もしなければならないな。国友衆に作らせるか。」

「ありがたき幸せ。ならばその流れでお願いしたいことが。」

「なにをだ?」

「火縄銃、といいますか小銃の改良の研究もお願いしたいのです。」


「わははははは。半兵衛、お前の言ったとおりだな。この佐吉、戦列歩兵の話の先も隠し持っていたぞ!」


信長様と半兵衛様にはお見通しだったようだ。


「よい!バテレン共の話を聞くのよりも面白いかもしれぬ。」


そしてこちらをちらっと見て


「ここから先は人払、だな?佐吉よ。」


本当に信長様にはお見通しなようだ。


信長様、半兵衛様、秀吉様だけ残して話をすることになった。広めていいことや必要なことはお三方がよく検討してから外に話を通してくださる、と。

それから俺は話し始めた。


「まずは銃の形状の変更をしたいのです。今の形では銃床をうまく押さえられず、狙いがぶれてしまいます。そこで…」


と言って俺はボルトアクションライフルの絵を書いた。だってあまり絵は得意じゃなくて書き分けできないから最終形でいいじゃない。


「このような形状にして肩に当てますと安定して狙いをつけやすくなるのです。また今でも使っていると思いますが紙で火薬を包んだ早号を標準化し、先に弾を予め組み込んで薬莢がついた銃弾にします。そして火縄の方に使う火薬は紙を切るのではなく、別に持っておいてそちらから注げばより装填が早くできるかと。」

「よいの!よいの!早速作らせよう!しかしまだそれだけではいのだろ?」

「はい、最も大事で研究したいのは雷汞と雷管です。」


雷汞を用いた雷管は極めて爆発しやすい雷汞を金属キャップに詰めて、それを撃針で叩くことで発火する方法で、現代の重火器はほぼ全てこの方式になっている。理想的には真鍮で薬莢を作ってボルトアクションライフルまで行きたいが、ひとまず火縄の代わりに雷管で発火するパーカッションロック式の銃ができれば悪天候にも強く、十分世界を変えられるだろう。ウヒヒ。


「雷汞とは?」

「非常に発火しやすい薬剤でそれを金属に詰めて叩くことで火縄で火を付ける代わりにするのです。硝酸水銀の硝酸溶液に酒を蒸留したものを用いて作ります。南蛮の秘伝書をバテレンから盗み読んだのですが(嘘です)。実際に作ったわけではないので申し訳ありませんが研究をしなければ…」

「うむ!良い!これも国友衆にやらせよう!しかしまだあるのだろ。」


信長様怖すぎる。


「もう一つだけ試したいものがあります。」

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― 新着の感想 ―
[一言] 叩くまでもなく幾らでも出て来る…あっ、これは悪い方か。 絞るまでもなく触れるだけで幾らでも出て来る。
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