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徳川家康、ついに包囲される。

 徳川家康が、関ヶ原の戦いの後、宇喜多秀家を「家康が最も恐れた男」に入れなかった

理由を聞かれた時にこう答えたという。


 「いや、小早川秀秋や立花宗茂は人そのものが怖かった。

 小早川もおぼっちゃま、と侮っていたが朝鮮戦役で陣頭で戦った、という噂は本当だったと思い知った。

宇喜多はやっぱりおぼっちゃまだった。宇喜多隊は恐ろしかったが恐ろしかったのはほとんど明石全登のためであった。だから明石全登は最も恐れた男で次点、ぐらいになるけど宇喜多は入らない、な?」


 後では余裕で振り返っているが、徳川本陣は厳しい戦いを続けていた。


立花宗茂の見事な戦っぷりも厄介なものだったが、小早川秀秋こそが最大の恐怖であった。


「あははは!人面獣心か。なら我が隊は野獣として内府を食い破る!」


秀秋は却って気に入ってしまったようで、うぉおおおお!とか遠吠えのように

奇声を張り上げながら襲ってくる始末であった。


「家康様!」


伝令が走り込んでくる。


「良い知らせか悪い知らせか?」

「悪い知らせでございます。浅野幸長、池田輝政殿奮戦しておりますが、

押され気味で、毛利勢の一部の部隊が突破してこちらと接触いたしました。」


これで徳川家康の本陣は小早川秀秋、宇喜多秀家、立花宗茂の軍勢に加えて

毛利(の一部だが)とも戦うことになってしまった。その総勢4万強。

ついに家康本陣の3万を上回ってしまったのだ。

また切腹、と言いかけた家康に本陣に戻っていた本多忠勝が声をかけた。


「三方ヶ原の戦いの時に比べたら戦力差は少ないですな。」

「三方ヶ原か。武田信玄は恐ろしかった。」

「そうそう。いくら立花宗茂が西国無双、と言われても山県昌景ほどでは

ありませんな。」

「山県は本当に恐ろしかったからなぁ。のう、直政。」

松平忠吉の軍勢から戻っていた井伊直政に声をかける。

「みっともない姿をお見せして申し訳ありません。が、その武田直伝の

赤備えは健在ですぞ。」

 「兵数の差も小牧・長久手に比べたら無いようなものですな。」

 「小早川秀秋は豊臣秀次に比べたら勇猛な大将ではありますが、あちらには

あの時は恐ろしい堀久太郎(秀政)がいましたからなぁ。それに比べると

小粒もいいところでしょう。」

 「良し!ひとまず持ちこたえてみよう!」


気を取り直した家康が声を上げた。


 「ひとまず、といいますと。」

 「いつまでかはわからんよ。でもここを凌げばなんとかなるような気がするのだ。」


殿の勘は当たりますからなぁ!と群臣がみな声を上げて笑った。


「各方、高度に軍事的独立思考を持ってこの状態を打破せよ!」

「はっ!」

重臣たちはそれぞれの持場に戻った。


そして昼をだいぶ過ぎても徳川家康の本陣が崩れることはなかったのである。


 えー。こちら笹尾山の石田三成です。もう、内府殿の軍勢は錚々たるメンバーに

よって完全に包囲されています。史実じゃ昼頃片付いたはず(こちらの負けだが。)

なのに昼を過ぎてもまだあちらの本陣はほとんど乱れておりません。

もう、こちらは弁当食べちゃいました。戦の途中に食べるとは、と左近にすごく叱られましたが。

あとちょっとで家康さん仕留められると思うので小早川さんたちには頑張ってもらいたいのです。もう毛利まで頑張ってくれているのでホントあと一歩なのです。

 でも実はこっちもヤバいのです。他の部隊どんどん前進していてこちらは笹尾山の野戦陣地に引きこもっているのですが、先程からの黒田・細川・地味加藤連合軍の攻撃に加えて、毛利に抜けられちゃった池田・浅野の一部まで向かってきています。


ヤバいことにこの後生涯唯一の武功を上げちゃうかもしれない織田有楽斎とか有象無象までいます。こっち7000、あっちなんだか2-3万はいそうです。

さすがの塹壕トーチカ作戦も弾も不足してくるわ、向こうの突撃で徐々に陣地が崩されたり奪われたりするわ、でジリ貧になりつつあります。


 「左近!どうにかする手はないか?」


と聞いたけど左近がいません。


 「左近殿なら正面陣地が黒田隊に奪われそうになった時に突撃されて、

銃撃された後行方不明です…。」


 黒田隊が戦後悩まされた「かかれぇ!かかれ!」フラグ、今回は左近、

みごとになしとげてしまったのね。

こうなってくるとこちらが先か家康が先か、という感じになってきた。


 しかし家康の本陣にも疲れが出てきたようで、ついに小早川隊や立花隊が内側に入り込むようになってきた。

 あと一歩だ、がんばえぇぇ!と思わず声をかける。もうミラクルライトを振りたい。

後少し、後少しこちらの攻勢をしのいだら、今夜は狸鍋パーティーだ!

お願い頑張って私のビースト!


 とか念じていたら、中山道方面からなんか巨大な軍勢が現れた。

あれは何だ、窓に!窓に!(窓無いけど陣幕の切れ目から。)

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― 新着の感想 ―
[一言] 窓に!窓にってクトール神話かい!ここは神国日本ですぞ!
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