96話:裏切りの後も裏切り
キリをよくするため少し多めです!
愁達は閻魔の眼の完全解析の能力で発見したブラックウルフの群れに向けて進みだした。愁の中では北門から森に入り徒歩約20分程度かかると頭の中では思っていた。案の定歩いて23分が経過するとブラックウルフが1体現れた。
「とりあえずこれは依頼にあったブラックホーンウルフの手下だと思う。ある程度傷付けて仲間を呼ばせようと思うんだが皆構わないか?」
「「「「構わないです」」」」
「そんじゃ・・・」
そう言って愁はアイテムボックスの中からクイックチェンジのスキルを使ってグランアックスを取り出す。何故強力な武器を使わないのか、それは闇魔槍レークスハスタや紅鴉を使えば瞬殺は確実だ。しかし傷を付けるだけであれば最初の頃に買った武器がちょうどいいと言える。案の定手加減をしてグランアックスで攻撃をすると致命傷とまではいかないが戦闘を続けられない程度の傷を負わせることに成功した。
『アオオォオォォォォン』
ブラックウルフが遠吠えを行う。しばらくすると足音が聞こえてきて、遠吠えから1分もしないうちにブラックウルフの数が傷ついた個体を含めて6体まで増えた。
「フィア、ルナ、ディア、ハク、華奈。1人1体ずつブラックウルフを仕留めてくれ」
愁がそう言うと皆ブラックウルフ達に向かった。ハクはボックスから聖銀の剣を取り出しブラックウルフの首を難なく斬り落とした。ルナもブラックウルフを上回るスピードで攪乱して短剣で仕留める。フィアは少し離れた位置から弓を使った。まず足を狙い動けなくして、急所の眉間を難なく打ち抜いた。華奈は光魔法のライトアローで仕留める。ディアは他の4人に比べて苦労はしたが短剣でしっかりとブラックウルフを仕留めた。
愁達がブラックウルフを仕留めてからさらに1分もするとブラックウルフの数が再び増えてきた。今度は愁が目にも止まらぬ速さで増援としてやって来たブラックウルフを全て瞬殺した。ちなみに使った武器は紅鴉である。増援のブラックウルフがやられてさらに1分もすると今度はブラックウルフ4体とブラックホーンウルフ1体が現れた。これで依頼を完遂できる。愁はそう思った。
「ハク、ルナ、フィア、華奈。とりまきのブラックウルフ達は任せる。ブラックホーンウルフは俺に任せろ」
そう言って愁はとりあえずブラックホーンウルフを閻魔の眼の完全解析で鑑定することにした。
ブラックホーンウルフ ♀
レベル:34
スキル:威圧Ⅲ・咆哮Ⅳ・影縫い
影縫い。ワープと同じような移動系のスキルである。ワープとの違いは魔法であるかどうかと移動できる範囲が主に違う点である。ワープは魔法であるのに対して影縫いは魔法ではない。つまりワープはMPを消費するのに対して影縫いは特に何も消費しないのである。しかしながら移動できる範囲が極めて狭いと言う難点が存在する。ワープは1度行った場所であればどのような場所に行けるのに対して影縫いは精々自分を中心とした半径10m以内にしか移動できない。
(影縫いか・・・持ってて損はしないかな)
そう決めた愁はとりあえずスキルアブソープションを使い影縫いをブラックホーンウルフから奪った。すると影縫いが使えない事に気が付いたのか、ブラックホーンウルフはきょろきょろと辺りを見回して狼狽している。そんな隙を愁は見逃すはずもなく愁は紅鴉で瞬殺した。その頃には他のハク、ルナ、フィア、華奈の戦闘も終わっていた。
「よし、特に苦労はしなかったけど帰るか」
愁がそう言うとドロップアイテムを回収した後に6人が来た道を辿って帰り始めた。この時愁は気付かないでいた。周囲に感じる微かな人の気配を・・・
―――…――…―――
愁達が歩いていてようやく街道が遠くに見えたと思っていた頃、突如目の前にニックとサイモンがやって来た。
「やぁやぁ、冒険者のシュウ殿、依頼は終わったのかな?」
「わざわざお越しいただきありがとうございます。えぇ、問題なく終わりました。ブラックホーンウルフの方も問題なく片付けました」
「おぉ!貴殿に依頼を頼んでよかったよ。さてとシュウ殿・・・貴殿にお別れの言葉を告げに来た」
「ほぅ。つまりはそういうことですか?」
そう、ニックとサイモンの後ろには騎士団が500人控えていた。しかも完全武装でだ。
「うむ。貴殿とは良き関係を築きたかった。惜しい人材だったよ。ではさらばだ」
サイモンのその言葉と共にニックとサイモンの2人はこの場を後にした。残るのは完全武装の500人の騎士団であった。もちろん騎士団は愁達を敵とみなしている。
「この人数でどうにかなると思われていたのか・・・心外だな」
愁はその言葉と共にとあるスキルを発動させた。
(自重する必要はない・・・ああいう奴には思い知らせなくては・・・)
愁が発動させたスキル、それは森羅万象の3つの能力であった。
「ビブラシオン」
愁がそう言うと地面が大きく揺れた。そう、地震である。しかし都市の部分の地盤は一切揺れていない。揺れているのは愁達と騎士団がいる場所だけであった。もちろん地震が来ることを知らないでいる愁以外の人間はバランスを崩して地面に手を突く形となった。
「アビス」
愁が次にいうと騎士団達がいる場所が漆黒の闇で覆われた。闇の中から叫び声や悲鳴、何も見えないと言った意味合いの言葉、様々な言葉が聞こえてきた。そして騎士団は気が付いた。自分たちが闇に捕まっているせいで動けない事に・・・それに気が付いた騎士団500人は完全にパニックに陥った。そして愁はとどめを刺す。
「サンダー」
すると上空から幾多もの稲妻が闇の中に降り注いだ。一言言おう、完全にオーバーキルである。目の前には騎士団がいた場所であった場所、今現在は巨大なクレーターが存在した。騎士団達の防具と思わしき黒焦げの金属の破片がちらほらと存在する。愁は高々10秒程度で500人の騎士団を瞬殺してしまったのだ。
「ふぅ・・・終わっ『グシャッ』・・・」
愁は最後まで言うことが出来なかった。何故なのか、それは愁の腹部から伸びている1本の刃が原因である。愁は腹部から血を流し、自らの口からも血を吐きながら後ろを振り向いた。そこには片手剣を愁の腹部に刺しているディアの姿とそれを見て顔色を真っ青にしているハク、ルナ、フィア、華奈の姿があった。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
次回は本日中か明日に投稿する予定です!
個人的に良い所で終わってるのでどうせならキリが良い所まで突っ走ろう!と言う魂胆です(笑)この展開・・・読者の皆様は予想できてたのかな・・・?個人的には少し気になるところです(笑)
そして『シミュレーション』を『シュミレーション』としていました(笑)俺どれだけ書いているときに焦っていたんだろう・・・指摘して下さった方、ありがとうございます!




