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90話:解決

すいません、遅くなりましたorz

「ふむ・・・貴様か。私を貴族と知ってながらこの家に要件とは何事だ?」


「ドラゴンの宝玉を存じませんか?」


「そんなもの知るわけなかろう?何をバカな事を言ってるんだか・・・」


 愁のストレートな質問に顔色1つ変えずに答えるゲブ。しかしこの世界の住人はやはり『アホ』であった。


「それではあそこに見えるキラキラ青色に光っている宝玉は何なのですか?」


「な!?馬鹿な。おい、ちゃんとこっそり運べと言っただろうが。しっかりせんか・・・」


「す、すいませんでした!」


(この貴族・・・やっぱりアホなのかー・・・。)


 そう、愁が来ている真ん前で貴族の雇ったと思われる荷物運びが堂々と宝玉を馬車に乗せていたのであった。


「ところでドラゴンの宝玉を知りませんか?」


「先程も言ったであろうが。私は知らないと・・・」


「それではあの青い宝石のような玉は何なのですか?」


「あれは世にも珍しいドラゴンのほうgy・・・ゲフゲフ。失礼。あれは宝石だよ」


(あ、こいつ言っちゃった上にまだごまかそうとしてるよ・・・。これはアホの領域を超えてるな・・・)


「ではあれがドラゴンの宝玉でないと証明できますか?俺からするとドラゴンの宝玉にしか見えないんだが・・・」


「そんなの簡単であろう。私がドラゴンの宝玉でなく宝石と言っているのだからあれは宝石だ!」


(何この人・・・あれなの?頭の中脳みそじゃなくてカニみそでも詰まってるの?てかこの世界にカニみそないのかなー・・・?食べたいなー・・・)


 ゲブの言っている事は支離滅裂であった。そんな論理が通じる事もなく愁はとある方法を試すのであった。ん?愁の思考に突っ込まなくていいのかって?そんなの気にしたら負けだよ?


『ドラゴンさーん、それっぽい物が見つかったので来てくれませんかー?』


 愁は出来る限りの大声でドラゴンに対して古代語で話しかけた。突如愁が古代語を話したことに驚きを隠せないゲブとその横にいた門番。ちなみに愁の言葉が聞こえたのか、遠方で青いドラゴンが空に向かって羽ばたいていた。そのタイミングでディアから念話が届いた。


[御主人様、ドラゴンが飛び立ったのですが放っておいていいのですか?]


[あー、ディアか。うん。構わないよ!]


[畏まりました。それでは継続して待機しています]


 ディアとの念話が終わるとちょうど近くに青いドラゴンがやって来た。


『人間よ。宝玉を見つけたとは真か?』


『正確にはそれらしきものです。俺は宝玉と言う物を見た事が無いので確認をして貰おうかと』


『ふむ・・・確かにそうであったな。すまない』


『いえいえ、気にしないで下さい。ところで宝玉とはあそこに見えるあの青い玉ですか?』


『おぉー!そうである!あれが我らが宝玉の竜玉じゃ』


「ところでそこの貴族の人、今ドラゴンに確認をしたらドラゴンたちが探していた竜玉に間違いないとの事。どうする?」


 愁がそう尋ねる事によってドラゴンが来たことによってフリーズしていたゲブと門番が再起動を果たし言葉を発した。


「そんなわけないだろう。そこのドラゴンの間違えだよ。あれは私が竜の巣で手に入れた宝石なんだからな!」


「ところであの宝石の名前なんて言うんですか?」


「聞いて驚くなよ?竜玉と言うドラゴン達のひh・・・ゲフゲフ。なんでもない!」


(言っちゃったよ、こいつ・・・。なんだか自分があほに思えてきた)


「今竜玉って言いましたよね?と言うわけであれをドラゴンに返してください。出ないと実力行使に出ますよ?」


「ふ、ふん。高々1人と1匹に何が出来るんだか・・・出てこい」


 ゲブのその声と共に屋敷の側にある別邸の中から私兵と思われる騎士が30人と歩兵の60人、魔術師10人の計100人ほどの人間が出て来た。ちなみに別邸は3階建てのアパート的な感じの物を思い浮かべてくれると分かりやすい。ちなみに1階ごとに部屋が10部屋づつ存在しているので1部屋に約3人で生活をしているようだ。


「ふふふ、これで貴様らも終わりよのぉ」


『あのー、ドラゴンさん、ここで暴れられると後々がめんどくさいので任せてもらっても良いですか?』


『構わぬ。しかし我も待ちきれなくなったら参加するからな』


『あぁ、大丈夫です。一瞬で終わりますんで』


 そして愁は邪幻心眼の黒炎を発動する。その瞬間、目の前にいる100人と屋敷が黒き炎に包まれる。黒炎自体もとんでもない温度のせいなのか、100人が使っている武具は瞬時にドロドロに溶けてしまい、人間たちも皮膚が温度に耐えきれず爛れてきた。


(うえ、グロい・・・)


 案の定10秒もしないうちに100人の人間は何の抵抗もすることが出来ずに灰すらも残さずに燃え尽きてしまった。屋敷は綺麗に燃え尽きて屋敷のあった場所には地面しか見えていない。


「な・・・」


 ゲブは目の前の現象が信じられないのか、口をポカーンと開けて呆気にとられている。その他近くにいた人達全員フリーズしている。


『ドラゴンさん、これで良いですか?』


『うむ。人間でも強い者はおるのであるな・・・とりあえず我はワイバーン達の下へと竜玉を持って戻るとしよう。後始末を任せても良いか?』


『もちろんです』


「さて・・・どうしましょう?」


 愁がこの世界に来て一番の黒い笑みを浮かべながらゲブと門番に尋ねる。2人は直感した。


((あ、俺たち終わったわ))

最後まで読んで頂きありがとうございます!


次回は4月9日を予定しています。


感想の御返事は落ち着き次第活動報告にて行います。

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