74話:整地
本日3話目です。
朝、愁が目を覚ますとハクがキスをしてきた。もちろん舌も入れてくる。あぁ久しぶりのこの感覚素晴らしいわ~
「おはようございます、御主人様」
今度は立て続けにルナがキスをしてくる。積極的なハクとは少し違い、どこか淡泊なルナのキスも悪くはない!
「シュウさん、おはよ~」
これで終わりかと思うと今度はぎこちない動きで舌を入れてくるキスをしてくる人物がいた。フィアである。
「御主人様、おはようございます」
そして他の3人とは違い舌を入れてこない非常に淡白なキスを華奈がしてきた。え?華奈ってこんなんだっけ?
「ご、御主人様?おはようございます?」
何故に疑問形?まぁ良いか。愁はそう判断して言った。
「みんな、おはよう」
こうして愁の朝は始まった。
―――…――…―――
それから愁達は朝ご飯を食べて皆でゲヘナ草原へとワープを使い移動した。
そこには昨日と変わらない風景がある。
「ここ、今から整地するから俺の前には絶対出ないでねー」
愁はそう忠告して草原全体を範囲として腐食のスキルを使う。すると見る見る草が枯れ果てて、気が付けば10秒もかからず地面が見えた。ちなみにこの際に消費したMPは約180。もちろん横で見ていたハク、ルナ、フィア、華奈は唖然としている。
「ふ~、後は丘をどうにかしないとね!」
そう言って今度は丘を範囲に森羅万象、ビブラシオンと念じて地面に手を置いた。するとあっという間に丘が崩壊をした。ちなみにこの際に消費したMPは約100。ハクやルナ、フィア、華奈は目玉がポロリと落ちそうな具合に目を見開いて口をポカーンと開けている。
次に愁は結界を展開する。この時土を対象として結界から抜けられないようにする。それを窪地に運んで結界を解除する。この作業を繰り返して愁は30分もかからないうちにゲヘナ草原をある程度平らにしたのであった。ちなみに使用したMPは合計すると約500程度ですんだ。
「よーっし、終わった!」
愁のその言葉に唖然としていたハク、ルナ、フィア、華奈が再起動をする。そしてハクが天使の如き笑みを浮かべて愁に言う。
「御主人様?人間からまた1歩大きく遠ざかりましたね!おめでとうございます!」
天使の笑顔で毒を吐くハク。愁は大ダメージを受けたようだ。
「シュウさんがめちゃくちゃだとは思っていましたが、まさかここまでだったとは・・・シュウさんは本当は人の皮をかぶった神様か聖獣だったりしますか?」
グサグサッ。愁のダメージを受けた心に追い打ちをかけるかのように棘が刺さる。
「ご、御主人様が人間でなくてもボクは頑張って御奉仕します。なので・・・いじめないで下さい?」
ウルウルした瞳で訴えてくるフィア。愁のガラスのハートはヒビだらけになった。そこに彼女がとどめを刺す。
「愁?あなたって本当に人族なの?愁って本当に規格外な存在なのね」
パリーン。愁のガラスのハートは粉々に砕けてしまった。
―――…――…―――
愁のガラスのハートが砕けてしばらくして、愁は再起動を果たす。そしてハクにお願いして開墾終了の報告を商人ギルドのキヌアに報告を頼んだ。そしてハクはワープのスキルを使ってパーマナリアの街へと向かっていた。その間愁とルナとフィアと華奈で辺りの捜索を開始した。周りに盗賊や魔物がいないかを確認するためだ。
結果として言うとミニゴブリンとプチファンゴが複数確認された。プチファンゴは少し大きなイノシシ程度で、突進攻撃を行う魔物でスモールゴブリン同様Eランクの魔物である。こうして周囲が片付くと都合よくハクが戻ってくる。
「御主人様、よろしいでしょうか?」
「ん?ハクどうした?」
「報告に伺ったら商業ギルドの皆様が驚いて土地の調査団が明日の御昼の鐘の頃に来ることになりました」
「了解。それじゃあ今日はこの辺で切り上げてギルドに行ってフィアのランク上げをするぞ」
愁はそう言ってワープを使い家までワープした。そしてギルドへと向かいフィアのランク上げのために依頼をこなす。ちなみに行った依頼としてはスモールゴブリンの討伐の依頼と薬草採取の依頼の計2つをこなした。そしてフィアのランクがDランクになる条件を満たしたのでランクアップの試験を受けさせた。試験官は愁の時同様リムが務めるかと思いきや、遠距離攻撃を主体とするフィアの試験官はカリンであった。試験内容としてはお互い弓だけで試合をするという事であった。結果としてはフィアは負けてしまったが試験には合格した。その時愁は考えた。
(今度フィアの弓術のスキルレベルをあげないとね)
こうしてこの日を終えた愁達であったが、次の日に大きな問題が待っていた。
―――…――…―――
愁は起きて朝ご飯を食べた後にゲヘナ草原へとワープで皆を連れて行った。そうして整地した場所に迷い込んだ魔物達、スモールゴブリン、プチファンゴ、昨日はいなかったプチオークまでいた。そして全ての魔物を片付けた愁達の目の前にそいつは現れた。
オーガ。日本で言う鬼に近い容姿をした魔物である。角とたくましく鍛え上げられた体が特徴の魔物で、肉弾戦の強さだけで言うと最強クラスである。討伐ランクとしてはA、魔法を一切使わないせいでAランク止まりであるが充分危険な存在である。
「ギィアアアアアアアアア」
ゲヘナ草原にオーガの咆哮が響き渡った。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
次回は早ければ本日中、遅くても明日の夜には投稿できるかと思います。




