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68話:奴隷と我が儘

投稿が遅れて申し訳ないですorz


遅れた理由についてはあとがきにて書きます。


それではちょっと違和感を感じる文章ですが本編を楽しんで頂けると有難いです。

 華奈の話を聞き終えた愁は家の中へと入って行った。華奈はどうやらもう少しだけ外の風に当たるようだ。家の中に入った愁を迎えたのは寝ていたと思っていたハクとフィアであった。


「御主人様、昨日同様秘密のお話ですか?」


 ハクが尋ねてくる。この質問、一見何の変哲もない質問であるが、愁からすると怪しく感じる箇所があった。まず第1に昨日同様と言う言葉だ。そしてもう1つ秘密のお話と言う言い回しである。


 1つ目の昨日同様と言う言葉、つまり昨日フィアと異世界転移について話していた事をハクは知っていたという事になる。つまり寝ていたと思っていたハクは実は起きていたという事になる。


 そして2つ目であるが、秘密のお話、普通の言い方のように聞こえるが、話しているだけであれば昨日同様二人でお話ですか?と言う言い回しになる。それをあえて『秘密のお話』と言う言い回しをしていた。


 これらの事から2つの仮説が浮上する。


1つ目の仮説としてはただ単に愁の読みが深すぎるという仮説。もう1つはハクが昨日の会話もしっかりと聞いていたという仮説。


 愁は瞬時にこれらの事を考えた。そして尋ねる。


「ハク、もしかして昨日の話聞いてた?」


「申し訳ないとは思っています。しかし眠ったと思われてた御主人様が突如いなくなれば奴隷である私も気になって辺りを探します」


「なるほどね。昨日は華奈と2人で俺たちの境遇について話してたんだ」


「愁、そんな事この子に話していいの?」


 外から戻って来た華奈がもっともな疑問を口にする。フィアは知らないだろうが、ハクにはほぼ全ての事について話している。


「ハクは知っているから問題ない」


「はい。御主人様の事情に関しては説明を受けています。とても真実とは思いませんでしたが・・・しかしカナさんとの話を聞いて真実だと確信しました。そのうえで御主人様に尋ねます。御主人様は元居た世界に帰りたいのですか?」


「今は帰りたくないかな。それに多分帰ること自体が無理だと思う」


 ハクの疑問に対して即座に否定をする愁。愁と華奈は異世界転移を行ってこの世界にやって来たのだ。異世界召喚であれば元の世界に帰りたいとは思うだろう。しかし異世界転移や異世界転生では元の世界に帰れないのは明白である。


「差支えなければ理由を教えてもらってもよろしいですか?」


 ハクが愁に尋ねる。フィアの方は突然の出来事に頭が着いて来ていない。華奈の方は完全に愁にまかせっきりな状態である。


「俺達がこの世界にやって来たのは異世界転移だ。異世界召喚であれば元の世界に帰ることは出来るだろうが、異世界転移でやってきた俺達が元の世界に帰るのは不可能だ。つまり俺達はこの世界を第2の人生として楽しむためにやってきた。おそらくハクが危惧しているだろう俺がいなくなるという事態は起きないぞ」


 突然の自分の思っていることを言われたハクはアタフタし始める。奴隷と言う身分の自分。御主人様と言う身分の愁。結ばれることはほとんどないと思われる恋。


 この世界において待遇の良い若い男の主の下で働く女性の奴隷が主に対して恋をするという話はざらである。そんな中結ばれるのは極めて少ない。むしろ報われない事の方が多い。なぜならば主に対して恋をする奴隷を持つような主人であれば普通の女性からも好意を持たれるのがほとんどだからである。


 現に愁もこの世界では珍しい黒い瞳に黒い髪、顔も普通に比べるとイケメン、冒険者として申し分のない能力、傍から見てもわかる奴隷に対する優しい扱い。これだけでもアイリスの女性からすると優良物件、つまりは条件が良いという事が容易に察することが出来る。


 少し話がそれてきたので元に戻そうと思う。愁に対してある程度の好意を抱くハクからすると異世界からやって来た愁に対して本気で恋をしていいのか?もしかしたらいなくなるかもしれない相手に恋をしていいのか?そう思うのは自然な流れである。そんな不安を抱えていたハクに対して愁は自分がいなくなることはないと言い切った。しかも論理的に。


「私は御主人様を信じていいのですか?」


 恐る恐る尋ねるハク。それを察した愁はハクを抱きしめる。そして本人にしか聞こえない声で耳元で囁く。


「もちろん。俺もハクの事は好きだしね」


 ボンッ、と言う効果音がしっくりくるだろう反応をハクはした。わかりやすく言えば顔を真っ赤にして頭の上から徐々に湯気が出ているように思える程プルプルする感じの反応だ。


 それを見ていたフィアからすると物足りない感でいっぱいである。フィアはウサギの獣人の奴隷である。ウサギの獣人は愛玩用とされることが多い。それなのに愁は未だにフィアの事を抱いていない。オークションで大金を使って自らの事を買って貰えたのにそれに応じた対価を支払えていない。フィアからすると不安で仕方がない状況である。奴隷の自分は御主人様に対してハクさんのようにわがままを言っていいのか?非常に悩ましい。しかしフィアは勇気を持って尋ねる事にした。


「御主人様、ボクはどうすればいいのですか?御主人様に対して一切奉仕を行っていません。御情けだって未だいただけない状況です。ボクはダメな子なんですか?」


 ウルウルと瞳を潤わせながら愁に尋ねるフィア。


「ダメじゃないよ。フィアは僕の理想を一つ叶えてくれた良い子だよ」


 そう言って愁はフィアの頭を撫でてあげた。フィアからすると何も出来ていないと思っていた自分が少しでも愁の役に立っていた。それだけでフィアは嬉しかった。


「御主人様、ボクの最初で最後の我が儘を聞いてくれますか?」


「最後と言わずに言いたいことは言って欲しいんだけどなー・・・なんだい?」


「御主人様、もし良ければ今からボクに御情けを下さい」


 そう言ってフィアは愁に対して頭を下げた。

最後まで読んで頂きありがとうございます!


次回は明日、遅くても明後日には投稿する予定です。



最近就活が激化してきました(´・ω・`)あぁめんどくさい(え


けどこれで人生が決まるようなものなのである程度頑張ろうと思います。なので小説の更新が少し遅くなり、時間も少ないのでミスがこれまで以上に増えそうです。3月になるとある程度おさまるはず・・・


今まで1日に2話か3話投稿していましたが1日1話も少しきつい所です。出来る限り話は進めていきたいとは思っていますので楽しみにして下さってる皆様には申し訳ないですが事情の方をある程度加味してくれると非常に有難いです。

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