67話:白雪華奈
再び遅くなって申し訳ないです(´・ω・`)
愁と華奈のお互いの状況を報告した次の晩、ハク、フィア、ルナが眠っているのを確認して隠秘を使い外に出る愁。そしてその先には華奈がいる。朝の約束である。この日は華奈の再登録、フィアの新規登録を行ってフィアのランク上げを行っていた。おかげでフィアのランクはGからFへとなった。そして明日にはEにまでする予定でいた。
そんな1日を終えた愁は華奈との約束を果たすためにも冒頭の行動に出たのであった。
「待たせた?」
「いえ。で、私がなんで奴隷になったのかってのが知りたかったのよね?」
「うん。出来たら聞かせて欲しいな」
「わかった」
そう言って華奈は彼女が奴隷になった経緯を話し始めた。
―――…――…―――
時は遡って愁がまだ現代を高校1年生として生きている頃、白雪華奈は突如死亡した。そして神によって異世界転移を行った。そこで華奈は冒険者となり自らのスキルを活かして瞬く間にランクをCまで上げた。Dになるとダンジョンに入れるようになるが武器等の事も考えてCまで上げた。彼女のパーティーは華奈を含んで4人パーティーであった。前衛が2人、魔法使いが1人、それに華奈の4人だ。華奈達のパーティーは破竹の勢いで迷宮を制覇して行った。華奈が30層を突破した頃、1つの依頼を受けるためにとある辺境の村へと向かった。その依頼とは村の付近に現れたジェネラルアントの討伐依頼であった。
ジェネラルアントはソルジャーアントを従えた1~2m程の巨大な蟻で、山に巣を作ってクイーンアント1体を中心としたコミュニティーを作成して生きる。
そんなジェネラルアントが村の付近で目撃されて、辺境の村では太刀打ちできるはずがない。そこで彼女達が討伐を行う事になったのだ。そしてその村へと向かうと村長と面会を行った。村長に言われてジェネラルアントがしょっちゅう目撃される場所へと向かった。そこにはジェネラルアント1体、ソルジャーアント3体がいた。華奈達はそれを難なく討伐をして村へと戻った。その際に村に入ってくるときには気が付かなかったが、何人かの怪我人がいる事を華奈は知った。ついでと言う事で華奈は怪我人を治すことにした。そして怪我も治し終えると日が暮れていたため、村長の心意気で村に泊まる事となった。そしてその際に村長の一人娘、ピアニカと出会った。ピアニカは華奈に対して憧れを抱いていて『いつか自分もカナさんみたいになるんだ!』と言っていた。そして仲が良くなった2人であったが村を出発しようとすると森の方が騒がしい事に気が付く。
森から10体はいるであろうジェネラルアント、30体を超えるソルジャーアント、そして1体のクイーンアントがいた。それを見た華奈は村の人に近くの街、ターナに援軍を呼びに行くように指示した。そしてピアニカと村の若い衆3人がターナの街へと向かって馬を走らせた。その間、華奈とそのパーティー、村の者達で何とか襲撃を押さえようとした。結果から言うとなんとか襲撃を阻止することに成功した。
村の者達は最初は10人いたのだが終わった頃には半分以下の3人になっていた。そして華奈達のパーティーからも前衛の1人が帰らぬ人となった。逆に相手側はソルジャーアントが27体、ジェネラルアント5体を討伐した。再びやって来る可能性がある。そう感じた華奈はしばらく村に滞在することを決める。
そしてピアニカ達が貴族とその近衛隊を連れてやって来た。そう、この貴族こそがデュランであった。彼は華奈を見て一目で気に入った。しかし華奈は冒険者。奴隷ではない。ではどうするか?ここからデュランの策略が始まった。
迷宮に行ってる華奈達を盗賊を雇って襲う、街中で人攫いに依頼しての拉致、様々な方法を試すも華奈の持つギフトスキルの『テリトリー』によって全ての作戦は失敗に終わった。
時間も過ぎて蟻たちの襲撃から2年経った頃、愁が此方の世界にやって来た時、華奈は迷宮の89層にいた。そしてボス部屋へと続く階段を発見した。意を決した華奈達3人はボス部屋へと足を進める。しかしそこから始まったのはあまりにも一方的な戦闘とは言えない出来事。言い換えるのであれば蹂躙。ボスの名前はエンシェントクイーンドラゴン。エルフですら魔力が足りず扱う事の出来ず、古代のユニーク種のドラゴンのみが使える魔法、古代魔法を使ってきた。この時出て来たエンシェントクイーンドラゴンはユニークモンスターであった。本来出てくるのはエンシェントドラゴン、レベルは90。華奈達でもなんとか倒せる程度であった。しかし中へと入るとそこにいたのはユニークモンスター。逃げる暇すらなかった。華奈達パーティーは一瞬で死へと誘われた。
しかし華奈の持つギフトスキル『クラウン』によって華奈は蘇生した。指定していたのは迷宮の入り口。華奈だけは事なきを得たのだ。それ以来冒険者をやめて彼女は以前お世話になった辺境の村へと向かって平和に暮らしていた。しかし彼女が住んで半年後、流行病が村を襲った。その特効薬はターナの街に存在した。その際病にかかっていなかった華奈は急いでターナの街へと向かった。そして買えるだけの薬を買おうとした。しかし薬は存在しなかった。デュランの策略である。デュランの提示してきた条件はこうだ。『君が奴隷になって王都に売られるのであれば村の人たちを助けてやる』。
華奈は迷わなかった。自らを売ることにより村は救われた。そして王都にて身を売った華奈は奴隷オークションへと参加させられた。
―――…――…―――
「とまぁ、簡単に言えばこんな感じよ。ここからは愁も知っているでしょ?」
「うん。デュランか・・・いつか機会があったら華奈の仇をとらないとね。そう言えばその村に行きたくない?」
「え?行っても良いの?」
「聞いたところだとサスティアナの近くみたいだし、あそこの王女様が俺に会いたいとも言ってたし、機会があれば行けるよ?」
「・・・ありがとう、愁」
そう言って空を見つめる華奈。その彼女の瞳に溢れていた涙の存在を愁はこの時気付かないでいた。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
次回は、本日中、遅くても明日には投稿する予定です。
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