57話:黒き野望再降臨
妙に文章がスラスラ出て来たので更新しました(笑)
「国王様-!一大事でございます!」
「騒がしいな、どうしたのだ?」
国王と呼ばれた男がグラスを傾けながら答える。ここはパーマナリアの都市にある王宮で、今話しているのはパーマナリア大国の国王である。
「3日後に商業ギルドで開かれるオークションにて・・・ゴ、ゴブリンキングの秘薬Ⅲが出品されます!」
「ぬぅあんどぅえすとぅおおおおおおおおおお!」
手に持っていたグラスを無意識に放り出した。それと同時に鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔で尚且つ、すっとんきょんな声で答える国王。これを国民が見ていると確実にこの国の信用にかかわっただろうな。報告をした衛兵がそう思う。
「出品者の名前はわかるか?」
「冒険者のシュウと申す者らしいです。以前隣のメリリアナで行われたオークションにて土の魔石を出品した冒険者です」
「ふむ・・・魔石をも出品する冒険者か・・・ゴブリンキングの秘薬Ⅲは何としても欲しいな。よし、使いの者をシュウとやらに送るのだ!」
「よ、よろしいのですか?こk「構わーん!わしが許可しよう!とにかく何としても呼んでくるのだ!」・・・畏まりました」
せっかちな国王である。そんな事を思いながら衛兵は自らの部下に冒険者のシュウを呼び出しに行くように言った。
―――…――…―――
時は同じくしてここはサンティアスと言うパーマナリアの隣に位置する小国である。このサンティアス国はパーマナリアやアスタリア帝国同様子宝に恵まれなかった国王のいる国であった。この国は国土が現代で言う琵琶湖程度の大きさしかない。さてそんなサンティアス国が順当にオークションでパーマナリアやアスタリアに勝てるはずがない。そしてサンティアスの王族はある情報を得ていた。
冒険者のシュウ クホウインはCランクでレベルが13しかない。
「これはチャンスかもしれませんぞ?」
宰相らしき男が国王らしき男に問いかける。
「ふむ・・・確かに言えてるな。見込みはあるのか?」
「えぇ、もちろんです。なんとしてもゴブリンキングの秘薬Ⅲを手に入れて見せましょう。どうかこのニックにお任せください、サイモン国王様」
「うむ、ニック。頼んだぞ」
サイモンと言う名の国王とニックと言う名の宰相が愁の事を一切知らない状態で話を進めている。それを横で聞いていた1人の侍女と1人の王女、この2人は前々から国王と宰相の動きに関して不服であった。国王と宰相の2人は自らの懐具合しか考えておらず、民のための政治と言うよりも自らの私腹を肥やすための政治と言った俗にいう腐った国政である。貴族に関しては私腹を肥やす事しか考えていないこれまた腐った貴族。民達は圧政に耐え続けてる善良な市民と圧政にくじけず頑張る素晴らしい農民。
簡単に言うと上層部が腐った国である。さてそんな国の王女であるサーシャとその御付の侍女ニーナ。彼女たちは国王や貴族が横暴に振る舞っているのが許せないでいるが、行動を起こそうにも相手はこの国の上層部と言っても過言ではないようなものである。
「ニーナ、頼みがあるわ」
「サーシャ様、どうなさいましたか?」
「私、その冒険者のシュウと言う人に会ってみたいですわ」
「畏まりました。それでは少しお話を付けてまいります」
そう言うとニーナはサーシャと別れた。後程宰相の部屋へと向かい自らが冒険者のシュウを迎えに行くと言った。すると宰相は手間が省けたとばかりに許可を出した。
ちなみにニーナはエルフである。彼女はサーシャの幼いころよりの知り合いであり、尚且つ親友であった。それ故にサーシャがニーナに頼み込んで今現在の状況であると言える。
こうしてゴブリンキングの秘薬Ⅲに関する陰謀が始まろうとしていた。
―――…――…―――
衛兵はギルドへと向かった。ギルドにて愁の居場所を調べるためである。衛兵はギルドに入るとカウンターにいる受付嬢に尋ねた。
「冒険者のシュウ クホウインに会いたいのだがどこにいるかわかるか?」
「それでしたらリムさんが知っていると思われます。猫の獣人の受付嬢です。今は御昼に出ておりますのでもうしばらく待っていただければ来ると思われます」
受付の人にそう言われて待つ事数分、ギルドの入り口から猫の獣人がやって来た。
「そなたがリムか?」
「はい、そうです。私にどういったようでしょうか?」
「シュウ クホウインと言う名の冒険者を探しておるのだがどこにいるかわかるか?」
「シュウさん達でしたら今は迷宮に行っている最中です。多分後1時間もすれば帰ってくるかと思われます」
「わかった」
そう言って衛兵は愁の帰りを待った。リムに言われたとおり1時間もすると1人の少年と2人の美女が現れた。そして受付での手続きが終わったところに衛兵が声を掛けた。
「君たちがシュウ クホウインのパーティーか?」
「そうです。一体どういった用件でしょうか?」
「今から王宮まで足を運んでほしいのです」
(・・・は?王宮?王宮ってあの王宮?)
「それは私1人でしょうか?それともパーティーメンバーも一緒にでしょうか?」
「お好きな方で大丈夫です。そこはシュウ殿にお任せします」
「わかりました。準備をするので少しばかしお待ちください」
そう言って愁はハクとルナに事の次第を話して準備をした。そして衛兵と共に王宮へと足を運んだのであった。
―――…――…―――
ニーナは馬を走らせていた。サーシャのためにも急いでいた。計画としてはこうだ。まずはニーナがシュウを迎えに行く。そしてサンティアス国の中で宿をとる際にサーシャに面会を行ってその際にこの国について話す。そして出来ればこの国の上層部を潰すという依頼を受けてもらう。それがサーシャとニーナの考えであった。
しかし何故レベル13と言う事を聞いているのに愁に対して依頼をするのか、種としては簡単な話である。
サーシャは『隠蔽Ⅱ』のスキルを所持しているからである。つまりそこから愁は『隠蔽』のスキルを所持していると考え、実際のレベルは13ではなくゴブリンキングを倒せる程度に高いのでは?と予想したからである。
「サーシャ様、もうしばらくお待ちください。なんとしてもシュウ様をお連れ致します」
そう呟くとニーナはさらに速度を上げた。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
次回は明日に投稿する予定です。友達の家に行くのが1日遅れました。なので明日は平常通りの更新となります。




