53話:ストーカーと日本最強のあれ
今回少しはっちゃけました。いつもながら後悔はしていません!
感想の御返事は次話にて行います。
ハクやルナに人間卒業を言われて落ち込んでいたところ、とりあえず周りの警戒をと言う事で愁は完全解析のスキルを使い自らの半径100m以内の情報を集めた。すると人の反応があった。愁の背後70m程度の所に人が1人ポツーンといるのだ。
怪しい。愁は即座にそう実感してその人に対して集中してさらに詳しい情報を手に入れようとした。猫の獣人族、武器は双剣、愁達を観察。
(もしや・・・)
愁の頭の中に一つの可能性が思い浮かんだ。
―――…――…―――
時は愁達がギルドを出たあたりまで遡る。愁達を送り出したリムの行動は素早かった。
大体今日はリムは勤務外の日、つまり休みである。そんな日に何故ギルドに彼女がいたのか、その理由はいたって単純だ。愁の秘密を知るために愁の動向を知りたかったからである。そのためわざわざ休みでありながらギルドにて仕事を行っていたのである。すると都合よく今回のターゲットの愁が現れたのであった。
愁達が出た後にリムはカレンに頼み込んでギルドの仕事を抜けた。そしてそれから気づかれないように70m後方から愁を尾行していたのである。何故こんな事が可能なのか、それは彼女が持っているギフトスキル『尾行』のせいである。このスキルは簡単に言うと気配を遮断出来て尚且つ遠くのものを見渡すことが出来るのである。リムは猫の獣人であるため視力が良く、70m程度の距離であれば問題なく尾行できるのである。
尾行をしていると突如愁が地面に項垂れ始めた。しかもハクやルナが何かを言っている。
(あの人は何をしているんだ?)
リムの見たまんまの印象である。確かに突如野原で何かを言われて地面に項垂れるような人は変人である。それ故、どのように思われていようが仕方ないのであった。この時リムは一つ分かった。
愁=変人。この等式がリムの中で成立してしまった瞬間であった。
―――…――…―――
(さて、どうしたものか・・・)
愁はリムの処理に困っていた。ワープを使ってしまえばそれまでであるが、ゴブリンの巣を壊しに掛かる際にリムに監視されているとなるとなんだか嫌な気分である。リムをどうしよう・・・愁は2つほど考えを持った。
1:ワープをして巣を壊す際には周りを黒炎で囲んで中を見えないようにする。
2:捕まえる。
1のメリットとしてはめんどくさくない事である。わざわざ隠れている人を見つける必要もなく、見つけた際の生じるいざこざも回避できる。逆にデメリットは今後も追いかけられる可能性がある事である。
2のメリットとしては今後追いかけられる可能性を排除できる事である。逆にデメリットとしては非常にめんどくさい事である。
しばらく考えた後に愁は2番を選ぶことにした。大きな理由としては今後の事を考えると1もめんどくさいという事に気付いたからである。
「ハク、頼みがある」
「なんでしょうか?」
「俺の後方70m程度の所にある岩があるよな?そこにいるリムさんを捕まえてほしい」
「あの岩で間違いないですか?」
そう言ってハクはリムの隠れている岩を指さした。
「そうだ。ワープで後ろにワープして捕まえてくれ」
「畏まりました」
ハクはそう言うとワープを行った。
―――…――…―――
(シュウさんとハクさんは何を話しているんだろう?)
愁が考え事を始めてしばらくすると何か思い浮かんだのか、ハクに対して指示を出している。一体何を指示したんだろう?まさか私の尾行に気が付いているの?そんなはずはない。探知のスキルはスキル熟練度×10倍の範囲しか探知できないはず、そして私がいまいるのはシュウさんの後方70m程度。見つかるはずがない。そう信じ切っていた。すると突如後ろから私は縄を巻かれて身動きが取れなくなってしまった。一体どうなってるんだ?
そしてリムの疑問に対する答えを持つ人物が目の前に現れた。
―――…――…―――
「リムさーん、どういうつもりですか?」
「こ、これは・・・そ、その・・・」
リムは明らかに動揺していた。今までの愁であれば確かにリムの存在には気付かなかったであろう。しかしリムの誤算は愁が『完全解析』のスキルを作り出した事である。
探知しか持っていなければ愁はリムの存在に気付くすべはなかった。しかし完全解析によって愁のレベル×10mの範囲を愁は手に取るように把握することが出来るのである。愁の今現在のレベルはユニークモンスターを倒し、盗賊や冒険者、貴族を倒したせいか、75になっていた。つまり今現在、愁は自分の周囲半径750mの範囲に起きている事を自由に知るすべを持つ事になる。そんな状態の愁を尾行できるはずがない。
「何か言いたい事はありますか?」
愁は威圧的にリムに対して言った。するとリムはビクビク震えながら答えた。
「ごめんなさい」
そう言ってリムは例のあれを行ったのである。日本における最強の謝り方、そう、『DOGEZA』である。
自らの手と膝を地面にあてて、頭を下げる。完璧なまでの美しさがリムから放たれる。そんな美しい日本最強の謝り方『DOGEZA』を行われて許さないと言えるほど愁は鬼畜ではなかった。
「・・・次はないですよ?」
そう言って愁はリムを許しゴブリンの巣の破壊へと向かった。
最後まで読んで頂きありがとうございます!
次回は本日中に、遅くても明日には投稿する予定です。
最近テ〇ーのワンダーランドの他にも、ニセ〇イにもはまり始めている作者です(笑)




