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47話:動き出す陰謀(笑)

感想の御返事は次回の話で行います。

 ヘモンズは策略を考えていた。出来る限り成功率が高く無傷でルナとハクを手に入れる方法を綿密に考えた。そしてオーソドックスな以下の3通りの策を思いついた。


1:ハクとルナを誘拐してそのまま奴隷契約

2:自らが誘拐されたとしてギルドに依頼を出してそこで誘拐、もしくは愁の殺害を行う

3:リムを囮におびき出す


 1のメリットとしては誘拐さえ出来るタイミングがあれば問題なく片付く事、デメリットとしては誘拐するのに失敗すると後がない事が挙げられる。しかしこの1番は準備が最も少ないので実行のしやすさで言うと他の2つとは比べ物にならない。


 2のメリットとしては状況に応じた複数の策を講じる事が出来る事、デメリットとしては愁達が依頼を受けてくれるとは限らない事である。指名依頼を出した場合、向こうに名前が知られているため成功率が一気に下がる。つまり通常の依頼として愁達に受けさせる必要がある。


 3のメリットとしては危険が最も少ない事、デメリットとしては準備に最も手間がかかる事である。それにリムを囮にするのにもさらに策を巡らせる必要がある。


(うーむ、2番の形式であの受付嬢を囮に何とかならないものか・・・そうだ!)


 ヘモンズは閃いた。これなら何とかなる。そう確信したヘモンズであった。そこからのヘモンズの行動は素早かった。



―――…――…―――


 愁達が襲撃を受けた3日後、ギルドでとある事件が持ち上がっていた。受付嬢のリムがギルド受付嬢をクビになり項垂れていたところを誘拐されたという事件が起きたのであった。愁としてはリムには色々とお世話になったためどうにかしたいと思っていた。そこに以前ギルドにて問題を起こした衛兵が入ってくる。


「はぁはぁ・・・ギルドの冒険者に依頼がある。我らが主ヘモンズ様が何者かに誘拐されてしまわれた。そのため救い出すための救出部隊を送りたいと思う。ヘモンズ様の所在は今部下に探らせているがもうそろそろ結果が出るであろう。部隊に参加してくれる者はいないか?」


 衛兵がそう告げるとギルド内の冒険者が何人か手を挙げた。その数は約10人。救出部隊と考えると心許ないが、時間は一刻も争う状況であったため仕方ないな、そう衛兵が考えているところに別の衛兵がやって来て告げた。


「ヘモンズ様はパーマナリアの付近のバグゥの森の中にある洞窟に連れ去られたみたいです。そして道中で猫耳の女性も一緒に連れられていました。これから案内しますので依頼を受ける方はついてきてください」


 衛兵の言った猫耳の女性、それは受付嬢のリムである。それをいち早く判断した愁は自らも救出隊に入ることにした。こうして愁とハクとルナと10人ほどの冒険者によるリムとヘモンズの救出と言う依頼が始まった。


 善は急げと言わんばかりに愁達がギルドを急いで出て行った時、衛兵たちは自らの仕事を終えて笑みをこぼした。


(これでヘモンズ様と盗賊達がどうにかしてくれる・・・ざまぁ)


 ヘモンズの建てた作戦はこうだ。まず付近で盗賊を集めてバグゥの森の洞窟に潜伏させる。そしてリムに対してギルドをクビにさせた後に誘拐。それと同時にヘモンズもリムについて行き洞窟にリムと共に誘拐される風を装う。そして衛兵は愁達がギルドに入ることを確認してしばらくした後にギルドにヘモンズが誘拐されたことを告げ救出隊の募集を掛ける。募集が終わった辺りで部下の衛兵が入ってきてヘモンズがバグゥの森の洞窟に連れて行かれたという事実を告げる。その際に猫耳の女性を見たという証言をする。これにより愁達は救出隊に参加せざるを得ない状況になる。そしてこの時救出隊に参加する冒険者は根回しをしておき洞窟内で愁達を襲う。そして冒険者と共にヘモンズが雇った盗賊で追い打ちをかけてハクとルナとリムの3人を一気に自らの奴隷とするという作戦であった。


 ちなみにバグゥの森とは愁が最初に異世界に来た際にやって来た森の名前である。



―――…――…―――


 愁とハクとルナは冒険者10人と共に自らが転移してやって来た森を目指して急いでいた。


(この場所懐かしいな・・・ここから俺の第二の人生が始まったんだよな・・・)


 そんな事をしみじみ考えながら急いでいると目的の森へと到着した。


「ここがバグゥの森か・・・」


「えぇ、御主人様。急ぎましょう」


「了解」


 そう言って愁達は足を進めた。ちなみに冒険者たちはしっかり着いて来ているが内心ではいかにして愁達に奇襲を加えるかという算段をしていた。


 しばらくすると愁達の目の前に洞窟が見えてきた。


「あれが多分そうかな?」


「だな。隊列はどうする?」


 冒険者の一人が言う。


「殿は俺たちに任せてくれ」


「俺達は真ん中だと助かる」


 冒険者の2つのグループがそう言うと愁達からすると一番前を行う必要があった。それに探知のスキルを持っているのは確認すると愁達だけであったので必然と言える結果になった。


 こうして愁達の悪夢の時間が刻々と迫っていた。

最後まで読んで頂きありがとうございます!


次回の話は明日に投稿する予定です。

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