第12話
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スイッチオン、ローラーダッシュモード。
荒れ果てた大地を滑走し、砂埃をあげる黒い鎧はジグザグに移動しながら、コメカミから機関砲を敵機の足元に発射する。命中の能力値は500を超えているので、誤って敵に弾丸が当たることはない。
「どこ狙ってんだよッ! お前ら、撃て撃て撃てェ!」
直撃させたら一撃で吹き飛ぶだろうが。
両端の2機が足を止めたまま、こちらに照準を定めてライフルで狙い撃つ、が、あまりにも直線的な攻撃だ。ブースターを吹かして最小限の動きで弾丸を避けながら、一直線に3機の元へ駆ける。
「動きが速いッ! 機動性に全振りしてやがるのか!」
「だったら装甲は柔らけえはずだ! 落とすんだよ!」
俺だってそう思う。だが悪いが、防御力も高いぞ。
なんたって防御の能力値も500以上あるんだ。
ライフルを食らっても、多分、ノーダメージのはず。
「まずは、ザコを削る!」
ローラーダッシュで駆けながら、パイルバンカーを構えて狙いを定める。敵はかなり焦っていると考えていい、先程よりも狙いが雑になってきている。当たり前だ、2機による射撃を全て避けて杭を構えて突っ込んできているのだ。相手の立場を考えると恐怖しかない。
「なんで当たらねえ!」
「来るぞ! 散開しろ! 散開!」
「遅いッ!」
逃げ遅れた手近のドクロヘッドのコックピットをパイルバンカーで撃ち抜いた。一撃だ。胴体に穴を開けた機械の塊が機能を停止する。そしてそのまま、杭を捻じ込んだままローラーダッシュ、全力疾走。後退しながらライフルを乱射するもう1機のドクロヘッドに数秒もかからず迫り、そして。
「お前も終わり!」
杭に張り付けられていたドクロヘッドを蹴り飛ばし、前方の敵機にぶつけると、2機ごとパイルバンカーで串刺しにした。
「あとはお前!」
「テメェ! なめてんじゃねぇよ!」
巨大な機体が横合いから大剣を振り下ろす。
パイルバンカーを引き抜いて避けるまでの時間が足りない。ならば──。
「な、なんだとぉー!?」
振り下ろされた大剣を、片手で受け止めた。
見物客からは歓声。大柄な男からは困惑の声。
案の定、ダメージはゼロ。一撃必殺系のスキルが発動していたら危なかったが、結果よければ全てよし。
「うぉおぉおーっ!」
機関砲を敵機にばら撒いた。
巨体なので狙わずとも全弾命中する。
全身を穴だらけにしたまま倒れる敵機のコックピットに、ダメ押しとばかりにパイルバンカーで撃ち抜いた。
そして、流れるのは勝利のファンファーレ。
共に聞こえたのは見物客達の大きな拍手だった。




