第11話
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移動要塞都市マルクスから離れて少し、荒野。
滅多にないPVPが見られると、どこからか聞き付けたプレイヤー達が数十人、俺達を遠目に見物している。
俺から少しばかり距離を置いて、武装したSACが3機。端の2機は右手に警棒、左手にはライフル。
全身真っ白のドクロヘッドでどこを見ても刺々しい。中央の機体は、あの大柄な男が搭乗している。武器は大剣、これを両手に抱えていた。ゴリラみたいに大きくて灰色の機体だ、どこからどう見てもパワータイプだとわかる。
射撃武器は持っていないように見えるが、隠し持っている可能性もある為、用心の必要がある……普通なら。
残念ながら、俺のレベルは777で、マルクスへ向かう道中にスキルポイントの割り振りもしていた。なので、負ける可能性はほぼ0パーセントと言ってもいい。
だが、特殊スキル、一撃必殺のようなものを相手が所持しているかもしれないから、そこは恐い。
警戒すべきはそれだ。もしかしたら、俺が知らない、パワーバランスの崩壊したスキルだってあるかもしれないのだ。油断はしないほうがいい。
「で、どうやって始めるんだ? よーい、ドンって?」
操縦桿を握り締めて尋ねる。
「テメェから仕掛けろよ、こっちは3機いるんだ。ハンデをくれてやる」
ハンデね。他プレイヤーのステータスは見られない仕様なので仕方ないが、少しばかり滑稽に思えた。
初手で機関砲をばら撒いてすぐに終わらせてしまっても構わないが、見物客が多くいるのがマズい、圧倒的な力を見せてしまったら大騒ぎになりそうだし。サービス間もないオンラインゲームで、レベル24相手に圧勝だなんてありえないとチートを疑われて粘着されたら困る。
だからここは、油断せず、警戒しつつ、なおかつ圧倒せずに勝つ。難しいが、やれないことはない。
「お言葉に甘えて」
杭を後退させて発射体勢に移る。警棒はマザーバンガードに破壊されてしまったので、いまのブラックバレットの武装はパイルバンカーと機関砲だけだ。さらに杭射出用の火薬は残り12。
「行くぜッ!」




