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お姉さんと私  作者: ゆりかも
第2章
18/25

第1話 騒がしい実家

「たっだいま~!!!」

ハイテンションで実家の玄関扉を開ける。私の大きな声で気付いたのか、 パタパタとスリッパで歩く音が近付いてきた。


「美緒、お帰りなさい!今日は普段より一段と元気ね?」と、母が玄関まで出て来てくれた。料理をしていた最中だったのか、タータンチェックの割烹着を着て、右手にはフライ返しをしっかりと握っていた。


「お母さん、フライ返し持ったままだよ?」

「あら…本当ね~。ふふっ、うっかりしてたわ~。」


「それより!めちゃくちゃいい匂いする!何作ってたの?」

「美緒が帰ってくるって言ってたから、美緒の大好物を沢山作っておいたのよ?お腹空いたでしょ?早く手洗いうがいしてきなさいね。」


「はーい。」

靴を脱ぎ、洗面所へ向かう。手洗いうがいを済ませリビングへと向かうと、ダイニングテーブルの上には、大きめのお皿に乗った山盛りの唐揚げが鎮座していた。その様は、まるで富士山のごとく荘厳とした貫禄を醸し出していた。


「うわぁ~!美味しそっ!てか、崩れそう、早く食べなきゃ!」急いで椅子に座り、我先にと箸を取り唐揚げに手を伸ばすと、ズビシッと肩に衝撃が走った。あまりにも突然の痛みにバッと後ろを振り返ると、弟の優太がジト目を私に向けて背後に立っていた。


「何すんのよ!箸落としちゃったじゃない!」

再び振り上げられた手刀が私の額めがけて落ちてくるのを真剣白羽取りで防ぐ。

「もうっ!やめなさい、お姉ちゃん怒るよ!?」と、少し声を張り威嚇するように睨むと、優太は深く溜め息をついた後「姉ちゃん、働かざる者食うべからずだよ?ご飯の支度手伝って。」と物凄く大人な対応をされてしまった。


確かに、唐揚げの誘惑に負けてつまみ食いするところだった。だからと言って、私の肩に攻撃するのはやめてほしい。本気マジで痛い。


渋々キッチンへと向かい、キッチンラックから人数分のお皿を取り出しテーブルに並べていく。最後に優太がお米を持ってきてくれたので、昼食の支度が整った。


「ごめん、美緒。お父さん呼んできてくれる?きっと部屋にいると思うから。」

「了解!」


父を呼びに行こうとリビングのドアを開けた瞬間、それを見計らったかのようにピーンポーンと、インターホンが鳴るのが聞こえた。

おそらく宅配業者が来たのだろうと、先に玄関へと向かうことにした。


ガチャッと扉を開けると、そこには爽やかな配達員のお兄さんではなく、小学生位の年頃の女の子が立っていた。黒いサラサラな髪をポニーテールにして、小花柄の膝丈ワンピースの上にモコモコなアウターをを着た可愛らしい子だった。


あまりにも予想外な訪問者に頭が真っ白になる。きっと、迷子になってしまい助けを求めて来たに違いないと思い「どうしたの?迷子かな?」と、優しく声掛けると、可愛らしく頬っぺたをぷくっと膨らませ、「私、小学生じゃ無いです!」と、少しハスキーで歴戦の女騎士のような凛々しさと大人の色気の含んだお姉さんボイスがその場に響いた。


情報過多すぎて既に頭がパンクしそうなのだが、必死に思考を巡らせる。

「えっと…じゃあ…うちに何の用でございましょうですか…?」気が動転して、よく分からない言葉使いになってしまった気もするが、それは大目に見てほしい。


「優太君のお家で合っていますか?」と、少し食い気味に聞いてくるものだから思わず一歩後ずさる。

「あー…っと、優太の知り合い?」

自分で知り合いかと聞いたのはいいが、弟に幼女の知り合いがいるなんて聞いたことがない。


「彼女です。」という言葉に思わず思考が停止した。

(何故か"彼女です"と聞こえた気がしたけれど、流石に聞き間違えだよね~。疲れてるのかな…。耳鼻科にも行った方がいいかも。)


「えっと…ごめん、うまく聞き取れなかったみたいで…。もう一回言ってくれるかな?」


「だから!優太君の彼女です!」

(イヤイヤイヤ!聞き間違えじゃなかった!確実にハッキリと滑舌良く彼女ですって言ったよこの子!)


この状況を必死に頭の中で整理する。辿り着いた1つの答えに、ワナワナと体が震えてくる。

平静を装うようにニッコリ笑い「優太呼んでくるから少し待っててね?」と言い残し、バタバタとキッチンまで走り優太の目の前まで迫ると、ガシッと両手で胸ぐらを掴んだ。あまりにも突然なことで優太は目を点にしている。


すぅーっと息を思い切り吸い込み「バカ野郎!!!」と、怒鳴り付けた。

優太は状況が飲み込めていないのか、ただただ目をパチパチと瞬かせるだけだった。その場にいた母も、私の剣幕に呆気に取られていた。


「ど、どうしたの姉ちゃん…。」

「どうしたもこうしたも無いでしょ!幼女に手を出すなんて、犯罪って事分かってんの!?」


「え!?え!?マジでどゆこと!?幼女!?は!?」

「まだシラを切るつもり?外にあんたの彼女って言ってる女の子が来てるのよ!」


「……………………確かに呼んだわ。」少し思考を巡らせた後、何かを理解したかのようにそう言う優太は、冷静さを取り戻していた。

「なんで…、そんな犯罪なんか……。」優太の証言に、膝から崩れ落ちる。

まさか本当に幼女と付き合っていたなんて、例え両思いだったとしても、端から見たら犯罪でしか無いのだ。そんな事姉である私が見過ごせるわけがない。


「いや、犯罪じゃ無いからね?うーん…何て言えばいいのか、あ!あれだ、合法ロリ。」

「バカちんがーっ!!!」と、言葉と共に弟の右頬に平手打ちをする。


「何よ合法ロリって!ただのロリより犯罪臭酷いわ!!」

「いや、それはごめん、ものの例えって言うかさ…。というか、あの人成人済みですから……。ちなみに姉ちゃんより2つ年上…。」


「……は?あんなに小さくて可愛い27歳なんかいるわけ無いでしょ!ふざけないで!」

優太は、深く息を吐くと玄関へと向かい扉を開けた。


「うるさい姉ちゃんでごめんね…美月ちゃん。」

「ううん…。大丈夫だよ?それより、今日はお家に招待してくれてありがとう。」



………なんなんだ、この仲睦まじい光景は…。まるで本当に付き合っているみたいだ…。玄関からリビングへと移動し、全員で昼食を食べながら話をすることとなった。


「父さん母さん、あと姉ちゃん、紹介するね。俺の恋人の榊原さかきばら 美月みつきさん。つい最近付き合い始めたんだ。」


「はい、息子さんには何時もお世話になっています。そこでなんですが、お義父さんお義母さん…。」少しの間の後、何かを決心したかのように凛とした瞳をこちらに向け口を開く。


「私に息子さんをください!」


「「「「…………え?」」」」

橘家4人の声が静かなリビングに木霊した。






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