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お姉さんと私  作者: ゆりかも
第1章 お姉さんと私
17/25

番外編 お姉さんとお花見

第2章を書くつもりだったのですが、唐突に花見の事を書きたくなってしまい…。番外編としてお花見のお話です。

付き合ってから数ヵ月経った二人がお花見に二人きりで行くお話です。

午前中の仕事を終え、食堂で昼御飯を食べている最中ピコンッと、スマホから軽快な音が鳴り、ポケットの中にあるそれを手にして画面を確認する。

画面に表示されたのは、私の大好きなメグさんからのSNSメッセージだった。メッセージをタップし、アプリを起動させる。

『美緒ちゃん、お疲れ様~。急にごめんね?明日なんだけど、会えないかな?』

私の愛しい人からのお誘いに、顔がだらしなく崩れるのが自分でも分かる。それが周囲に見られないように口元を手で隠し平静を装う。


「橘さん…、何か良いことあったの?すごく顔が弛んでるけど。」

少し顔を隠すのが遅かったのか、私の目の前で一緒に昼御飯を食べていた先輩の福田さんに、スマホを見ながらニヤニヤしていたのがバレてしまった。


「そんなに私の顔弛んでましたか?」

「うん…。あ…もしかして、彼氏でしょ?」

「あはは…違いますよ~。」

「彼女ですから!」と言えるはずもなく、乾いた笑いで誤魔化す事しか出来なかった。出来ることなら、メグさんは私の彼女だという事を世界中に自慢したいくらいなのだが、世界中の全ての人が同性愛に理解がある訳ではない。もし、周りの人に私達の関係がバレてしまったら、私だけでなく、メグさんにも被害が及ぶかもしれない。それだけは絶対に防がなければならない。メグさんが悲しむ姿は見たくないから。


「え~、嘘だ~本当に彼氏じゃないの?あんなに幸せそうに微笑んでたのに?」

「もうっ、違いますって!福田さん、早くご飯食べないとお昼休憩終わっちゃいますよ!私は、先に戻ってるんで!」

このままだと話が面倒くさくなりそうだったため、そそくさと福田さんから逃げるようにして、その場を後にした。


(仕事の時は、分からない事があったら丁寧に教えてくれるし頼りになる先輩なんだけど…。ちょっと絡みが面倒くさいんだよねぇ…。)


まだ仕事の時間まで20分程余裕があったため、会社の外にあるベンチで休憩することにした。再びスマホを起動させ、メグさんのメッセージに返信する。


『メグさん、お疲れ様です!私もメグさんに会いたいです!』

送信した直ぐ後に、ゆるキャラの周りにハートが沢山舞っているスタンプを送る。


直ぐに既読がつき『良かった~。美緒ちゃんと一緒にお花見に行きたかったの。』と返信されてきた。


『わぁ~!お花見良いですね!花見団子と唐揚げと焼きそば!沢山屋台の食べ物食べたいです!』

『美緒ちゃんは、花より団子だね(笑)』

『だって、あんなに沢山の屋台が並んでるとわくわくしませんか?いい匂いもするし…。』

『確かにそうね…。じゃあ、お弁当じゃなくて屋台で買って食べよっか。』


メグさんの返信を思わず凝視する。"お弁当じゃなくて屋台で"とは、どういう事だろう。まさか…弁当の場合、メグさんが作ってきてくれるという事なのだろうか。それとも各自で弁当を用意するという事なのだろうか。いやいや、普通に考えたら後者の方だろう。そんな自分に都合のいい話があるわけがない。


しかし、好きな人の手料理が食べれるかもしれないという僅かな希望を捨てきれず、『お弁当にすると、もしかしてメグさんの手作り弁当を私も食べれるって事で合ってますか…?』と、返信してしまった。


こんなことを聞いて、図々しい奴だと思われていないか不安が募る。

(でも、メグさんの手作り弁当なんて、この先いつ食べれるか分からないし…。屋台よりメグさんの料理が食べたい…。)


『そのつもりだったんだけど…嫌だったかな?』

メグさんの返信に心の中でガッツポーズをする。まさか、本当に私の為に弁当を作ってきてくれるだなんて…。


『そんなわけないじゃないですか!!!メグさんの手料理が食べられるなんて!幸せすぎて泣きそうです!』

『本当に?じゃあ、明日お弁当作っていくね?』

『お願いします!メグさんの愛妻弁当楽しみにしてますね!』


ふと、時間を確認するともうすぐ休憩も終わる頃だった。

『そろそろ仕事に戻りますね!それじゃあ、明日10時位にメグさんのお家に迎えにいきます!』


そっとスマホをポケットにしまい、会社に戻る。明日にはメグさんに会えるのだと思うと、自然と笑みが溢れてくる。


ピコンと通知の音が聞こえ、歩きながらスマホを確認する。

『お仕事頑張ってね!』

(あ"ぁー…好き………。早くメグさんに会いたい…。午後の仕事も頑張ろ。)


***


「メグさん!おはようございます!」

エントランスから出てきたメグさんに駆け寄り、久しぶりに会えた嬉しさで、思わずぎゅっと抱き締めてしまった。


慌てて体を離し周りを確認するが、幸い誰もいなかったようだ。

「ごめんなさい、急に抱きついちゃって…。メグさんに会えたのが嬉しくて、つい…。」少しショボくれていると、クスクスとメグさんが笑う声が聞こえた。

「ふふっ、大丈夫よ、美緒ちゃん。私も美緒ちゃんに会えて嬉しいっ。」メグさんは、そう言いながら私の頭を優しく撫でた。嬉しそうに顔を綻ばせながら私を見つめるものだから、ぎゅんっと心臓が高鳴り顔に熱が集中してくるのが分かる。

付き合い始めてからというもの、始めは、互いに緊張して少しぎこちなかったのが、今では、自然にスキンシップが出来るほどに成長した。

喜ばしい成長だと思うが、メグさんが私に触れる度、彼女にもっと触れたい欲求に駈られ、自分の理性を保つのが大変なのだ。


「メグさん…。今日も可愛いですね!でも、いつもと雰囲気違う!そういう服装もすごく似合いますね!」

いつもは、パンツスタイルが多くカジュアルのイメージなメグさんが、今日は、白色のシフォンワンピースを着ていて、とてつもないほど可憐だ。

チラリと覗く白く細い足首が少しの無防備さを感じさせ、上品な色気が漂っている。


「ありがとう…。久しぶりのデートだったから、少しお洒落しようかなって…。」と、顔を赤らめ気恥ずかしそうにして言うメグさんが可愛すぎて、心の中で悶える。スッと彼女に近付き「私の為にお洒落して来てくれたんですか…?」と、耳元で囁くと、びくんっと肩を揺らし、うつ向いてしまった。

「メグさんっ、顔見せて?」と言うと、彼女はおずおずと顔を上げると互の視線が絡み合う。紅潮した頬へと手を伸ばし、右手で優しく撫でる。「ふふっ…。メグさん可愛いっ…。」メグさんが恥ずかしがる姿が可愛すぎて、少し意地悪をしてしまう。意地悪をした後の貴女の少し恥ずかしそうにふて腐れた顔が凄く可愛いから。



「じゃあ、そろそろ行きますか。あ、荷物持ちますよ。」と、おそらく弁当が入っているであろうカゴバッグをひょいっと持つ。

「あ、ありがとう美緒ちゃん…。」と、彼女は少し戸惑うようにお礼を言うと、少し困ったように彼女が笑うので、自分が何か気に触る事をしでかしてしまったのかと気が焦る。

「どうしたんですか?」と聞くと、少しだけ躊躇った後「えっと…。なんか慣れてるなぁ…と思って…。」と言った。


「慣れてる…?何がですか?」

「えっと、紳士的な事を自然に出来るところとかが…。」

「ははっ!私、紳士でしたか?嬉しいなぁ、メグさんにそう思ってもらえて。でも、別に慣れてる訳じゃないですよ?私がメグさんにしたいことをしているだけで、誰にでもこんな事するわけ無いじゃないですか~。メグさんだけですよ!」へへっと無邪気に笑ってみせると、彼女は何時ものように優しい笑顔を私に向けてくれた。



***


近所の大きな川沿いにある桜並木を見るため、その近くにある無料の臨時駐車場へと車を停めた。


「メグさん、ゆっくり桜並木を見た後、桜の木の下でお弁当食べましょう!」

「そうだね!」


満開の桜が川を沿い並ぶ姿は圧巻の美しさだ。

ゆっくりと桜の並木道を二人で歩いていると、何だか私達二人だけの世界になったみたいに思う。桜からメグさんの方へと視線を移すと、そよそよと風に靡く髪が後方へと流れ、髪で隠れていた細い首が露になる。桜を見ながら優しく微笑む彼女はとても可憐で、まるで桜の妖精なんじゃないかと思うほど神秘的で美しかった。そんな彼女の姿に「綺麗…。」と、思わず口に出してしまっていた。


「本当に綺麗ね…。」桜を見ながらそういう彼女は、私が口にした言葉が自分に向けられた事だと気付かなかったようだ。


しばらく歩いていると、徐々に人が多くなり、お腹の空くいい匂いが漂ってきた。


「うわぁ~いい匂い!たこ焼きだ!って丸ごとタコが入ってる!!すごいっ!あ!あっちには焼きとうもろこしがある!」思わずテンションが上がってしまい、メグさんにクスクスと笑われてしまった。


「そろそろお弁当食べよっか。」

「そうしましょう!」


弁当を食べるため、景色が良くてレジャーシートを敷けるスペースを探す。屋台周辺は人通りが激しく、道を抜けるのにも一苦労だ。


「メグさん、すみません。手を貸してください。」差し出された彼女の左手を掴み手を引く。この人混みではぐれないようにするためというのもあるが、ただ単純にメグさんと手を繋ぎたかったのだ。


やっとの事で人混みを抜けると、深く深呼吸する。あれだけの人が密集するとさすがに息が詰まる。

メグさんの手を離そうとそっと手の力を抜くと「嫌っ…。」と小さく声をあげ、ぎゅっと私の手を握り締めた後「もうちょっと繋いでたい…。」と可愛くおねだりされてしまった。

あまりの可愛さにきゅーっと心臓が締め付けられるように愛しさが込み上げてくる。

言葉の代わりに彼女の手をぎゅっと握り締め、シェイクハンド繋ぎから恋人繋ぎに変える。離れたくないと言わんばかりに互いに強く手を握り締め、言葉少なにゆっくりと歩を進める。

心臓はトクトクと脈打ち心地の良いリズムを奏でる。

ただ手を繋いでいるだけなのに、彼女の手から愛が伝わってくるように感じて幸福感で満たされる。


人混みから離れほとんど人が見えなくなった所で、一本の大きなしだれ桜が目に入った。

「わぁ~凄い。立派な桜ですね~。」

「ここでお弁当食べよっか。」

「はい!そうしましょう。こんな穴場があったなんて知りませんでした!」



桜の木の下にレジャーシートを敷き、お弁当を広げる。

「すごいっ!美味しそう!」

弁当の蓋を開けると、厚焼き玉子にハンバーグ、蓮根のきんぴらとアスパラベーコン、その横のお米には桜でんぶが振りかけられていた。

全て私の好きなもので詰められた弁当に感動する。


「メグさん、ありがとう…。いただきます。」

「美緒ちゃんの口に合うと良いけど…。」

少しだけ不安そうなメグさんを前に、弁当を持ち食べ始める。

まずは、厚焼き玉子から食べようと箸で持ち上げる。むらの無いお店のような厚焼き玉子だ。パクリと一口で玉子焼きを頬張ると、ふわりと優しい甘さが口に広がる。醤油ベースのしょっぱい卵焼きも好きだが、やはり甘い卵焼きが私は好きだ。

私の母が作る弁当は何時もしょっぱい卵焼きだったため、甘い卵焼きはお店で食べる特別なものというイメージがあったのだ。


じっと私の方を見つめる視線に気付き、メグさんの方へと顔を向け微笑む。

「凄く美味しいです。お店の厚焼き玉子みたい。」本心からそう答えると、誉めすぎだよと照れ臭そうにしていた。


私の事を想い考えて作ってくれただけで嬉しいし、幸せだなぁと思う。

メグさんは誉めすぎと言うけれど、おべっか抜きに本当に美味しい。

ハンバーグも蓮根のきんぴらもどれも私の好きな味だ。ここまで私の好みを考えてくれる事に愛情を感じた。


ペロッとあっという間に弁当を平らげ一息つく。

「ごちそうさまでした。メグさん、凄く美味しかったです。メグさんの手料理を食べれて幸せです。」

「本当!?良かった~。美緒ちゃんの口に合うか心配だったから、嬉しいな。」ニコニコと嬉しそうに喜ぶ顔を見ていると、私の方まで顔が綻んできてしまう。


弁当箱を片付け、二人肩を並べ景色を眺める。

時折ビューッと少し強い風が吹いてはヒラヒラと桜の花びらが舞い落ち、足元を桜色に染めていく。

メグさんの方を見やると、ヒラリと落ちてきた花びらが、丁度彼女の頭の上に舞い落ちた。

思わず彼女の方へと手を伸ばし花びらをとろうとすると、さらに近くなった距離に彼女が気付き、ビクリと一瞬肩を揺らした。少し驚かせてしまったのだろうか。彼女は、目を真ん丸に見開き子首をかしげた後、ハッと何かに気付いたように目をぎゅっと閉じた。


一瞬思考を巡らせどういう状況か考える。おそらく、急に近付いた距離にメグさんは、キスされると思っているのだろう。目の前でキス待ちの顔を向けられてキスしない訳にはいかないなと思い、そっと彼女の頭に乗っていた花びらを取り「頭に花びらが乗っていましたよ…。」と告げると、ぱっと目を見開き頬を紅潮させ恥ずかしそうにしていた。もうどうしようもない程愛らしい姿に理性が飛びそうになる。それをぐっと堪え冷静であるように努める。


彼女の頭を優しく撫でた後、唇を啄むように口づけた。

彼女は少し驚きを見せながらも、私の気持ちに答えるようにして、ぎゅっと私の服を掴み、とろんとした瞳をこちらに向け、私の下唇をはむはむと自分の唇で啄んだ。


これ以上キスしているとさすがに意識が欲望に持っていかれそうだったため、そっと体を離す。少し火照った体を冷ますようにパタパタと手で顔を仰ぐ。中途半端に疼いた体とやり場のない欲に深く息を吐く。


美しい景色を見て、邪な考えを消し去るため無心になろうとしていると、くいっと服を引っ張られる。

メグさんの方に視線を移すと、か細い声で「今から美緒ちゃんのお家に行きたい…。」と言う彼女は、火照って上気した肌と濡れた瞳がなんとも扇情的で理性を飛ばすには十分だった。

「もうっ…。折角我慢してたのに…。今日は帰しませんからね…?」


来るときとは違い、少し歩くスピードを早め、来た道を手を繋ぎながら戻る。ドクドクと高鳴る心音に緊張や期待で胸を熱くする。

チラリと後ろを振り返ると、先ほどまで居たしだれ桜が小さく見えていた。ビューっと風が吹き花びらが吹雪のように散る。


握る手に自分の気持ちを伝えるようにぎゅっと力を込める。

「また来年も…二人きりで桜を見に来ましょうね。」

彼女は、可憐な笑みを向け頷き「ふふっ、約束だから忘れちゃダメだよ?」と、小指と小指を絡ませた。


次から第2章を書くのですが、付き合ってから直ぐ後のお話から始まると思います。

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