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お姉さんと私  作者: ゆりかも
第1章 お姉さんと私
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第16話 幸せな時間

「メグさん…。今日も朝早いので、もうそろそろ寝ましょうか。」

最後にもう一度だけ、彼女の腰を強く抱きすくめた後、そっと体を離す。


チラリとメグさんの方に目を向けると、林檎のように顔を真っ赤にさせ、それを見られないように口元を手の甲で隠していた。


彼女の頬にそっと手を伸ばし、両手で顔を包み込むように優しく触れる。

「メグさん、顔真っ赤……。かわいい…。」

私の言葉で更に顔を赤く染めた彼女は、濡れた瞳を此方に向け、ぷくっと頬を膨らませ「いじわる……。」と、小さな声で呟いた。


(あ"ぁーーーーかっわいいーーー!!!好きっ!!!)


あまりの可愛さに叫びそうになるのを必死にこらえ、平静を装う。出来ることなら一晩中抱き締めて離したくないのだが、寝不足で運転に支障を及ぼすおそれがあったため、渋々寝ることにした。


ゴロンっと敷布団に横になり、掛け布団を手繰り寄せる。緊張して眠れないかもしれないと思っていたのだが、案外疲れが溜まっていたのか直ぐに眠たくなってきた。


少しだけ体を起こし、私の隣で横になるメグさんのおでこに、そっと口付けを落とす。

「ふぁ~…。メグさん…おやすみなさい…。」

「っ…!おやすみ…美緒ちゃん。」


目を瞑り、昨日の幸せな一時を思い返していると、いつの間にか眠りについていた。


***


「う"ぅん…。ふぁっ~……。」徐々に目が覚め、眠たさで重たい瞼を擦る。

窓の方へと視線を向けると、淡く日が差していた。布団の中でぐいっと背伸びをし、ゴロンと寝返る。その瞬間ドクンッと心臓が跳び跳ねた。


直ぐにキスをすることが出来るほど近くにメグさんの顔がある。高鳴る胸を押さえ、幸せを噛み締める。起きて直ぐに愛しい人の顔を見られるだなんて、少し前までの私には到底想像することなんか出来なかった。寝ているメグさんの顔は、普段よりも少し幼く見えた。


スヤスヤと小さく寝息をたてる姿がとてつもなく愛おしく、今すぐに抱き締めたくなる。気持ち良さそうに眠る彼女を見ればそんな事は出来るはずもなく、ただただ、起きるまでの間メグさんの姿を目に焼き付けることしか出来なかった。



「んっ……。」ぐっすりと寝ていたのが徐々に覚醒してきたのか、ゆっくりと目を瞬きしている。まだ寝起きで意識がハッキリとしていないのか、ぼーっと私の顔を見つめていた。


スッと彼女の手が私の方へと伸び顔まで辿り着くと、優しく頬を撫でた。

「美緒ちゃんだ…。」と、まるで愛しいものを見るように優しく微笑む姿を見ると、やっと、両思いなのだと実感することが出来た。

起きて直ぐに昨日のことは、私に都合のいい夢だったのではないかと心配していたが、それも杞憂だったようだ。


私に触れる彼女の手に、私の手を添える。

「えへへっ…。メグさん、おはようございます。」

「美緒ちゃん、おはよ。」

ただの朝の挨拶ですら、胸が苦しくなる程に幸せを感じる。


「メグさん…。あの、今日…このまま私の家に一緒に帰りませんか?」

今日で旅行は終りでも、もっとメグさんと一緒に居たかった。出来ることなら、ずっと一緒に居たいし、さすがに気が早すぎるとは、自分でも分かっているので口には出さないが、いっそのこと同棲したいと思っている。


「うん…。私も…まだ美緒ちゃんと一緒に居たい。」可憐な笑顔を此方に向け、嬉しそうに言うものだから、キュンと胸が締め付けられるように高鳴り、あまりの嬉しさに思わずメグさんを抱き締めていた。


「メグさん…。私、めちゃくちゃ幸せです……。」

彼女の肩に頭をぐりぐりと甘えるように擦り付けると、クスクスと少しだけくすぐったそうに笑いながら彼女もまた、私を優しく抱き締め返した。


***


「道中お気をつけてお帰りください。」ビシッと格好良くスーツを着こなし、ロマンスグレーの髪を綺麗に整えた渋い番頭さんに見送られ旅館を後にする。


「はぁ~…。楽しかったですね~。」

「本当にね~。また来たいなぁ~。」

「絶対に、また二人で来ましょうね!」

「うん…。約束ね?」

こんなに可愛い約束なら、どれだけでも交わしたいし、私に出来る事ならば全て叶えてあげたい。こんなことを言ったらきっと「もうっ!あんまり私を甘やかさないで…?」と、言われてしまうかもしれない。

それはそれで可愛いのでもっと甘やかしてしまいそうだなぁ…と、思わず笑みがこぼれる。


「美緒ちゃん…?」ニヤニヤしていたのがバレてしまったのか、不思議そうにして声をかけられてしまった。

「…いや、ふふっ…メグさんは、可愛いなぁ~って。」

「……っ!!」可愛いという言葉に慣れていないのか、直ぐ顔を赤らめ恥ずかしがる姿は、とてもいじらしく愛おしい。


愛おしいと思えば思うほど、私の中で醜い欲求が日に日に増してくるのが分かる。

貴女が嫌がることは絶対にしないから…、貴女をもっとどろどろに溶けるくらい甘やかして、私がいないと生きていけないくらいに、私の事を愛して欲しい。

少し歪んで、人によっては醜いと思われるかもしれない私の心の内を、少しずつ自然に馴染ませるように…、貴女にとってこれが普通なのだと思わせるように…。私の他に何も要らないと思うくらい私だけを見て欲しい。

こんなにも歪んで醜く苦しい程に貴女を愛してしまっている私と共に生きて欲しい。


重いくらいの愛を貴女に背負わせる事はしたくない。でも、代わりに貴女の愛を私に背負わせてくれないでしょうか。貴女を絶対に幸せにするから。


これから先私達には、楽しい時、幸せな時、辛くて悲しい時、いろんな事が起こると思う。私とメグさんならば、その中の9割程は、幸せな時だろうが、何時かは辛い時も来るだろう。

そんな時は、一緒に泣いて…、その辛い時を抜け出せたならば、一緒に笑って欲しい。


何だかプロポーズみたいな事を考えてしまっている自分に少し恥ずかしさが込み上げてくる。でも、何時かその時が来たら…、この想いを伝えたい。そう思った。



帰りの運転中、メグさんと旅行の思い出を振り返る。

あれが美味しかったねだとか。あそこの景色が綺麗だったとか。幸せそうに話す彼女の声を聞いていると、私まで幸せになる。


メグさんと旅行に来ることが出来て本当に良かった。

一生忘れることができないくらいに、楽しくて幸せな思い出で溢れる旅行にすることが出来、充足感で胸が一杯になる。


「メグさん…。」

「なぁに?美緒ちゃん。」

「次は…、旅行…何処に行きましょうか?」


これから先の事は分からない。

でも、少しだけ先の事を二人で考えていると、不思議とこれから先の未来に不安は無く、私達なら、どんなことでも乗り越えていける気がした。


ひとまず第1章は、二人の出会いから付き合うまでを書かせていただきました。

次から第2章として、これからの二人を書いていこうと思います。


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