王都
メルセン王国、王都。
広大な国土を有するメルセン王国の心臓部であり、政治・経済・文化、全ての中心地となっている。
王城を中心に円形に広がる都市として整備されており、長年かけて外へ外へと発展してきた。都市の外周に外壁が築かれているが、都市が拡大する度に新たに作らざるを得なかったため、現在は四重の壁が築かれており、これらが観光名所ともなっている。
沿岸近くに位置するため海を介した他国との貿易品も多く流通しており、また国内の流通も王都に端を発するため、王都で買えないモノはないと称されるほどに商業が活発である。
また、国王の住まう王城や、実質的な国政決定機関である議会も存在しており、まさしく王国の中心である。
前述した通り観光地としてもよく知られており、世界最高傑作の城と言われる王城や、蔵書が世界有数の王立図書館、何よりもその活発な市場・露店が見どころである。
しかしそれにも関わらず、王都へ入るための検問はとても厳しいことでも知られており、毎日のように東西南北すべての門の前には長蛇の列が作られている。
ただそのためか、王都の治安は比較的よく、犯罪数は他の都市と比べると少ない。
つまり結論を言えば、とても良い都市である、ということである。
〜『世界観光の手引』リチャード=スミス著より抜粋〜
◆
今日も今日とて、王都門前には長蛇の列。
いかにも検問に引っ掛かりそうな目立つ者たちも王都へ入ろうとする。
そしてその中でも、一際人目を引く組が一つ――――
◆
「足がスースーする」
「それくらい我慢しなきゃダメだよっ!女の子なんだから!」
それは少女の二人組。
どちらも際立った容姿をしている。
一人は純白の髪を背中まで長く伸ばした美少女。
背は小さく、目は丸く。とても可愛らしい様子の少女だ。年は14ほどだろうか。もう一人の少女に対してお姉さんらしくあろうとしているようであり、微笑ましい光景だ。それに似合わず大きい胸が余計に視線を集めているが。
そしてもう一人の少女は、蒼銀の髪を肩より下に少し伸ばした絶世の美少女。
歳は16か17ほど。その造形は神の如く、一切の歪みはない。身体は既に成熟しており、色香さえも漂う。さらにそれに加え、地面スレスレになるほどの長さの刀を2本も腰に挿しているため、余計に目立つ。
女性だけのグループさえ少ないというのに、さらに年端も行かない美少女二人だけとなると、かなり注目を集める。
周囲の人々はその美貌に気後れして話しかけてはいないが。
しかしそうなると、良からぬ輩が寄ってくるのは世の常。
「ねえそこの君達、俺らと一緒にいいことしない?」
彼女達の前に現れたのは、いかにもな感じのチャラい男7人。
周囲の人々が巻き込まれまいと少し距離を取ると、すかさずそこへ割り込む男達。
ただの横入りである。
「………」
「……はぁ……」
「「………」」
(((……え、無視?)))
周囲の人々はそう思った。
あんなに話しかけてほしそうな男達に対し、敢えて無視。なかなかに勇気ある行動である。
「あれ、ちょっと冗談キツイよ君達〜!返事してよ〜!」
「「「ははははは!」」」
しかしその無視に負けじともう一度声を掛ける男達のリーダー。そして盛り上げる取り巻き。
果たして、それに対する返答は――――
「……うるさっ」
「……ユウカちゃん……」
「「「「………」」」」
(((うわぁ……)))
キツイ、これはキツイ。
頑張って声を掛けたにも関わらず、「うるさっ」と言われたときの心情は推量れないものがある。
「……へ、へえ、うる、うるさいね、ふ、ふーん」
(((うわぁ……)))
リーダー、若干涙目である。絶世の美少女から見下した目で拒絶されるのはかなり怖い。さらに彼女は謎の威圧感もあるため、効果は抜群だ。
「い、いいの?ホントにいいの?俺達いいとこ知ってるよ?いくらでも奢ってあげるよ?」
「イイコトも教えてやるぜ〜?」
「「ギャハハハ!」」
ここで取り巻きの援護。変な方向へ行き出したリーダーを補助した。さて、これに対する彼女らの返答は――――
「正直あんたらに割く時間はない、ていうか意味ない」
「「「「………」」」」
「ダメだよユウカちゃんっ、もっとふんわり断ってあげないと可哀想でしょっ!」
「「「「………」」」」
「えぇ、そう……?うーん、なら……ごめんなさい、私達忙しいので無理です」
「………」
(((うわぁ……)))
往復ビンタである。まずバッサリ断られてから、可哀想と言われて言い直されるこの公開処刑。しかも相手は超絶美少女達。並の男であればメンタルブレイクものである。
さあ、男達はどうする。
「……な」
(((な?)))
「舐めやがってっ!!おいやるぞてめえら!!」
「「「お、おうっ!!」」」
(((えっ!?あ、危ないっ!)))
まさかの実力行使である。威圧しながら口説いて拒否されたら逆ギレして暴力、社会の底辺クズである。彼らの社会的評価は地に堕ちた。
しかしもう彼らは止まらない。一直線に少女達に向かって拳を握って走り出した。周囲の人々は離れた場所に居たため間に合わない。
誰もが少女達の蹂躙される姿を幻視した。
しかし、次の瞬間――――
「「「「ギャッ!??!」」」」
(((……え?)))
蹂躙されていたのは、男達の方だった。
目にも止まらぬ早業、誰も彼女が何をしたのか見えた者はいなかった。
「まったく、面倒くさいなあ」
「……殺してないよね?」
「さすがに殺してはないよ」
「そっか、ならいいや」
少女達はほのぼのとそんな会話をしている。周囲の人々は戦々恐々としているが。
「あ、衛兵さん達来たよっ」
「お、誰かが呼んでくれたのかな」
「でもこの状況だとこっちが悪者に見えるよね〜……」
「……衛兵さーん!こっちが被害者でーす!あっちが暴漢達でーす!」
「説得力ないなあ〜……」
最後まで緊張感のない少女達であった。
◇
「Aランク冒険者ぁ?お前がぁ?」
「そうだよ」
昇級しました。魔物氾濫殲滅の功績で。
「ほら、冒険者カード」
「うーん……偽造じゃないだろうな」
「いやするわけないじゃん。てかできないよ」
嘘つくならもっとマシな嘘つくわ。
あの後衛兵に詰所まで連れてこられた。列すっ飛ばせたからラッキーって思ったんだけどなあ。
「なんなら冒険者ギルドに確認してきてもらっていいよ」
「……そうさせてもらおう」
厳重だなあ、無駄に。
あの騒ぎについて事情聴取された。その件は男共の責任ってことになったんだけど、その後が問題になった。
俺がAランク冒険者って信じられないんだと。まだ若い女だからって、人は見た目で判断しちゃダメよ。
ああそう、なんか身体の成長が早いんだよね。イオニル街にいたときは15歳くらいの見た目だったのに、今では17歳くらいに見える。
「それで、そっちの娘は誰だ?」
「……連れだよ」
「連れで〜す」
それ以外に言いようがないよねって。
「……確認には時間がかかる。しばらく待っていてくれ」
「了〜解」
思ったより時間かかりそうだな。
「リンベル」
「はいよ〜」
リンベルを膝の上に乗せてモフる。
もふもふ。
「ふにゅ〜」
可愛い。
「はあ、暇だな」
列で並んでるよりはマシかね?
「確認が取れた。こちらの勘違いだった、すまない」
「そっちも仕事だし、仕方ないよ」
「……そう言ってもらえると助かる」
一時間くらい経ってようやく解放されそう。
「もう入っていいのかな?」
「ああ、もう大丈夫だ」
「分かった、ありがとう」
やっとか。
「ほらリンベル、ちょっとそこどいて」
「……すぅ……すぅ……」
「……えぇ……」
いつの間に寝てるんだお前。そこ俺の膝の上。足痺れてるんだけど。
「り〜ん〜べ〜る〜」
「あぅぅぅ……」
貧乏ゆすりをして嫌がらせ。はよ起きろー。
「うぅん……ユウカちゃん……?」
「終わったから、早く行くよ」
「……うん……」
まったくもう。
まだ眠そうなリンベルの手を引いて歩き出す。
「やっと着いた」
2ヶ月弱の旅を終えて。
最初の目的地。
メルセン王都へ。
◇
名称:ユウカ=ロックエデン
種族:神族
職業:Aランク冒険者
称号:異界を彷徨う者、女神の仔、虐殺者、救済者
契約:蒼黒、碧黒
Lv:207(59up)
体力:15065(11765up)
魔力:15225(11795up)
スキル:
《毒薬作成Lv2》――『賛美の狂歌』『永劫なる悼み』『夢幻の蝕手』
《痛覚遮断LvMax》
《異形精神LvMax》
《殺戮機械Lv2》(up)
《救いの手Lv1》(new)
《見切りLv8》(up)
《鑑定Lv6》(up)
《体力回復Lv2》(up)
《魔力回復Lv2》(up)
《魅了耐性Lv1》
《腐食耐性Lv6》
《魔法耐性Lv1》
《物理耐性Lv1》
《整理Lv2》
《暗視Lv3》(up)
《料理Lv5》(new&up)
《獄炎魔法Lv3》《滅碧魔法Lv3》《絶空魔法Lv3》《壊地魔法Lv3》(up)
《光魔法Lv2》《闇魔法Lv2》《雷魔法Lv2》《氷魔法Lv2》(new&up)
《魔力精密操作Lv4》(up)
《多重詠唱Lv4》(up)
《無詠唱Lv4》(up)
《双刀殺術Lv1》(《刀術》から特異進化)
《拳脚殺術Lv1》(《体術》から特異進化)
《銃術Lv8》
《飛剣術Lv2》(up)
《魔闘術Lv9》(up)
《魔纏Lv3》(up)
《魔刃Lv7》(up)
《魔拳Lv4》(up)
《魔脚Lv3》(up)
《魔遊剣Lv4》(up)
《魔糸Lv4》(new&up)
《限界突破Lv1》(《集中》から進化)
《軽気功Lv1》(《軽業》《立体機動》《跳躍》から特異進化)
《飛行Lv3》(up)
《縮地Lv6》(up)




