救援と注入
思ったより第一志望落ちたダメージがデカい。しかも今日9点だけ足りなかったね笑笑っていうハガキ送ってくるし。メンタルがブレイクですよ全く
少し更新ペース落ちるかもです
「《縮地》」
高速移動なう。
「縮地縮地縮地縮地縮地縮地……」
お、魔物発見。
「《魔刃》」
手にまあまあ長めの魔力の刃を作り出す。
「はいすぱーん」
「ギョッ……?」
真っ二つじゃ。
「縮地縮地……」
まあ、目的はこいつじゃないから移動再開。
俺が今何をやっているかといえば、救助活動である。
魔物氾濫の手伝いに行ったら、ゴリラから依頼された。自分でやれや。
そして現在の移動手段はこの前手に入れた《縮地》。どうやらこのスキルでは疑似瞬間移動が出来るようで、移動速度がだいぶ上がった。
「いた」
そして目的の危機的冒険者パーティー発見。ちなみにゴリラ達は遠見の魔法で確認しているらしい。その魔法欲しいな、俺も後でやってみよう。
「救援入りまーす」
「えっ……?」
「ジャジャッ、ジャォァエア!?」
今にも冒険者達に襲いかかりそうな虫の魔物に《魔遊剣》を飛ばして、胴体を串刺しにする。
うん、これもいい切れ味。
「死ね」
「グジュッ」
からの縮地の勢いのまま頭を蹴り潰す。わあ、トマトみたいだあー。
「上から失礼、大丈夫ですか?」
蹴り潰した頭の上に乗ったまま声をかける。うん、かなりヤベえ奴だな。
「あ、ああ、助かった…」
お相手さんも若干引き気味。気持ちはわかる。
「今回の魔物氾濫ではAランクの魔物まで出現しますので、注意してくださいね。なんなら本部までお送りしますけど」
「え……じゃあ…お願いしてもいいかい?」
「そう、だな…」
うん、自分達の力量はわかってる人達だね。
「分かりました」
さあ、もう1往復だ。
魔物氾濫の鎮圧の際にはギルドから緊急依頼が出される。
この依頼は普通のモノよりも割りがいいため、すぐ受けるのが冒険者の鉄則、だそうだ。
依頼書の下の方に書いてある『高ランク魔物も出現する』という注意書きも読まないでな。
「ちゃんと周知しろよ……」
おかげで実力と合わない魔物と戦って死にそうになる連中がいるわいるわ。尻拭いさせられるこっちの身にもなれってんだ。
「それにしても……」
身体が軽い。
魔力の流れがスムーズだ。
魔物も弱く感じる。
「いた」
感覚も鋭敏。魔物の気配が分かる。
「『獄炎』」
黒い炎に包まれて魔物が一瞬で灰になる。いや、威力上がりすぎ。
「俺、強くなったな……」
初めてここに来たときはただの無力な美ロリだったのに、今では魔物・即・殺の強美少女だからなあ。ヒトの成長は早いね(適当)。
「到着、と」
ここまでの魔物は殲滅した。キルスコアすごいことになってそうだな。
「おう、嬢ちゃん、どうだった」
「一組救助しました。そのうち来ると思います」
「そうか」
「まだ、いますか?」
「ああ、次はあっちだ」
「はあ……」
「すまんな、もう一回行ってくれないか」
「分かりましたよ」
クソゴリラめ。
「ここからあっちの方向に2kmだ」
「はあ、行ってきます」
「おう」
後でたんまり貰うからな。
「お疲れ様でした」
「お、おう……おつかれ……」
「あ、ああ」
「でゅ、でゅふ、おつかれでゅふ」
「ぉ……さま……た…」
キモいのがいる。THE オタク野郎がいる。でゅふってなんだ。
そしてなぜか皆俺から距離を取っている。なんだ、怖がってんのか?あ?
「おう嬢ちゃん、大活躍だったな」
「ありがとうございます」
空は赤く染まり始めた時間。
無事、魔物氾濫の魔物はだいたい狩り終えた。主に俺が、救助の道中で。
「凄まじい強さだな。ついこの間までGランクだったと言うのに」
「才能ですかね」
でも、なんでこんなにスペック高いのかね?女神の領域で振った才能値、そこまで高くないんだがな……どちらかというと生産振り……。
……ん?これもし生産やったらヤバいことにならないか?
「では、私はもう帰りますね。友人と約束がありますので」
「ああ、助かったよ嬢ちゃん。報酬はギルドの口座に振り込んでおく」
「分かりました」
そう、冒険者ギルドにはお金を預けられる口座があるのだ。銀行かよ。このお金の引き落としはどこのギルドでも可能で、自分の冒険者カードを照合すれば簡単にできる。素晴らしい制度だね。絶対これ異世界人、ていうか冒険者ギルド創設者関わってるだろ。
そんなことを考えながら本部から離れる。
「急いでリンベルのとこに行かねば」
もう約束の時間だ。
◇
「すみません、リンベルって何処にいますか?」
鍛冶ギルドなう。
「ユウカ様ですね、リンベル様ならこの奥に。案内させていただきます」
「あ、ありがとうございます」
出てきたのは如何にも鍛冶師らしい装いの青年。なのになんでこんなに丁寧なの。逆に怖いよ。
「リンベル様、ユウカ様がお越しになられました」
「はいよ〜、入れてあげて〜」
「ユウカ様、こちらへどうぞ」
「え、ええ」
見た目とのギャップがひどい。
「待ってたよユウカちゃん!」
「ごめんなさい、思ったより魔物氾濫の殲滅に時間がかかってしまって」
「いやこの短時間に何してんのっ!?」
だから殲滅を……。
「ユウカちゃんはぶっ飛んでるねぇ……」
「ありがとうございます」
「あんまり褒めてないよ……」
知らんな。
「ところで、待っていたということは、出来たんですか?」
「そう、出来てるよっ!過去最高金額の合金が!」
「わーパチパチパチ(棒)」
いやタダじゃーん。
「主にオリハルコンを使って5割、ミスリルも加えて3割、ヒヒイロカネとかアダマンタイトとかその他諸々添えて残り2割の詰め込み合金の完成だよっ!」
「おお……!」
リンベルが机の上に置いたのは美しい金属。
金色が下地となって、赤、青、黒、銀、いろんな色が混じり合っている。
さらにそこからさっき俺が纏わせた魔力もうっすら感じられる。
「これは……すごいですね」
「でっしょ〜?」
まさに俺のために作られた合金だ。素晴らしい。
「リンベル愛してます」
「ふぇ!?急に何!?」
これはいい。
「で、これに魔力を注ぎこめばいいんですか?」
「そ、そうだよ……」
なんでそんな微妙な顔してるんだいリンベル?
「じゃあ、やってみますね」
「ガンガンやっていいよっ!この合金は耐久性すごいから!傑作だよっ!」
ほうほう、そこまで言うなら。
「では、全力で」
「ぇ」
集中。
全身から魔力を掻き集める。
「え、ちょ、ユウカちゃん?」
その魔力を右手に。
「な、なんか変なの見えるんだけど、なにそのオーラみたいなやつ」
これを、この金属に叩き込む!
「ふっ!」
「ふぎゃぁぁあああ!?」
空気が振動する。
強大な魔力の波動が広がる。
「ちょ!待っ、待ってユウカちゃん!ストッ、ストップ!」
すごい、耐えるな。これならまだイケる。
「フフッ」
「ユウカちゃ〜ん!話聞いて〜!」
限界までいこう。
「はぁぁぁああ!!」
「ひゃぁぁあああ!?やめてぇえええ!?」
俺の魔力が尽きるまで。
ギリギリまで。
「ぁぁぁぁああああ!!」
その瞬間、部屋を光が埋めつくした。
「……やりすぎた?」
「当たり前でしょっ!?」
怒られた。
「ねえユウカちゃん!?私何度もやめてって言ったよね?ね!?」
「聞こえませんでしたね……」
集中しすぎた。
「もう部屋ぐちゃぐちゃだよ!?どうすんのこれ!?」
「……後で私が整理します」
整理は得意だよ?
「そんなことは置いておいて…」
「そんなこと!?」
右手に持つ、コレを見る。
「これ、どうなってんですか……?」
漆黒。
あの美しい金色だった金属は、深く、吸い込まれるような黒に染まっていた。
……なんでこうなった?
「何これ……こんなの見たことないよ……」
「あはは……」
この色は俺の魔力の色か。……え、黒?
「ユウカちゃん……何したらこんな色になるの……」
「うーん……有り余る殺意が乗っちゃいましたかね」
「いやそれ誰への殺意っ!?」
見知らぬ誰かへの。
「うん、まあ強そうですし、いいじゃないですか」
「この金属の扱い方がわからないよ……」
うん、まあ、頑張れ。
「じゃあ、後は任せました」
「ユウカちゃんの鬼ー!鬼畜ー!アホー!」
やれって言ったのはリンベルだよ?え?やめてって言った?知らんな。
「いつ頃出来上がりますかね」
「知らないよっ!いつもなら3日後だけど今回は分かんないよっ!」
「意外と早いんですね」
スキルでパパッとやるのかね。
「ではリンベルはさっさと作ってください、ほら早く」
「ひどいっ、ひどいよユウカちゃんっ!」
それほどでも。
「その間私は―――」
振り返る。
「―――この部屋掃除してますので」
ぐちゃぐちゃになった部屋。
整理しましょうか。
〈《整理》のLvが2に上昇しました〉




