88話
八章
八章 第一
朝から体が重かった。
起きてすぐに体温を測ってみると、体温計の表示は三十八度七分。
しっかり風邪だった。
そんな状態だったので、俺は今、自室のベッドに横たわっていた。
「晃くん、本当に一人で大丈夫?」
母さんが部屋に入ってきて、問いかける。
今日は、父さんだけでなく母さんも用事があって、夜遅くまで帰ってこないらしい。
当然、ゆめも小学校に行かなければならない。
「うん、大丈夫。もう高校生だし、なんとかなるよ」
「そう? まあ、あまり無理はしないようにね」
「もちろん。それよりも、母さんは早くしないと遅れるんじゃない?」
「あっ、そうね。それじゃあ、行ってくるわ。ちゃんと助っ人を呼んでおくから。晃くんを精神的にも助けてくれる人をね」
そんな意味深な最後を残して、母さんが部屋を後にする。
助っ人ってだれ……?
疑問を覚えながらも、ベッドの中で寝返りを打つ。
ああ、やっぱり、熱で頭が朦朧とする。目を覚ましてから幾ばくも過ぎていないにも関わらず、睡魔が襲ってくる。
……寝よ。
こんな時は素直に寝るのに限る。今日一日ゆっくり休んでいれば、明日には良くなるだろう。
そんなことを考えながら、襲い掛かってくる睡魔に、俺は身を委ねることにした。




