80話
七章 第二
志藤さんが帰った後、俺は自分の部屋でベッドに寝転がりながら、ミステリー小説を読んでいた。
普段はあまり小説を読まないが、櫻木さんがおすすめと言っていたので試しに読んでみることにした。
読み始めてから一時間後、机の上に置いてあったスマホが震えた。
俺は本にしおりを挟み、ベッドから起き上がる。
スマホの画面を明るくすると、一件のメッセージを受信したと表示されていた。
すぐに、アプリを起動し、内容を確認する。
『今週の土曜日に開かれる秋祭りに行かないか?』
遼からのメッセージだった。そして、このメッセージは俺個人に宛てたものではなく、七海や牧原さん、それに志藤さんを加えた文化祭のバンドメンバーのグループに宛てたものだった。
遼のメッセージにすぐ既読が付く。
『もちろんいいわよ!』
了承の言葉とともに可愛らしい熊のスタンプが送られた。七海だ。
『私も行きたい BY友愛』
牧原さんも賛成のようだ。
しかし、そのメッセージは遼の端末から送られていた。どうやら今は遼と一緒にいるらしい。
『なんで遼のスマホをゆーちゃんが使っているのよ……』
『ごめん、遼くんと一緒の部屋にいるのに、お互いスマホをいじるのはなんか変な感じがして BY友愛』
『いや、遼のスマホを使っている方がおかしいでしょ! 何気にラブラブアピールをするな(#^ω^)』
七海がメッセージ上で怒っている。すると、メッセージの既読数が三人となった。
『ごめんなさい、今メッセージを見たわ。私もその日ならお祭りに行けそう』
『よっしゃ。それなら五人で行くか』
『おーい、遼、俺の意見は……?』
『えっ? どうせ昂輝はヒマだろ?(笑)』
『う……、ヒマだけど……』
『それじゃ、土曜日の午後六時、駅前の金時計前に集合で』
『ええ、わかったわ』
志藤さんのメッセージの後に七海が「了解」のスタンプを押す。
俺も柴犬が敬礼しているスタンプを送信した。




