表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/114

51話(1)

すみません、カクヨムさんにて連載している『魔力0の俺と魔女の「  」 ~俺はいつまでも彼女を忘れない~』との話数を合わすため、51話を3つに分けています m(_ _)m

 俺がお風呂から出てリビングに行くと、母さんが慌ただしくしていた。

「母さん、どうかした?」

「あっ、晃くん。えーっと、どうやらゆめちゃんの体調が良くないようなの」

「えっ⁈」

 俺は、ソファで横になっているゆめに駆け寄った。

 ゆめは確かにぐったりとしており、どことなく体調が悪そうだった。

 俺はゆめの額に手を当てる。

「……あつ」

 ゆめの額から高熱が手に伝わってくる。

「んん……、に、にぃ……しんどい……」

 それに、声にも元気がない。


 母さんが救急箱から持ってきた体温計をゆめの脇下にさした。

 少ししてピピッと電子音が鳴る。

「あー、やっぱり熱が出てるわね」

 体温計は三十八度五分と表示していた。かなり高熱だ。

「晃くん、お母さんはゆめちゃんを病院に連れて行ってくるわ。急患の受け入れをやっている病院はあるだろうし」

 母さんはゆめを抱きかかえる。

「俺も行こうか?」

 俺もゆめが心配だった。

 しかし、母さんは首を横に振る。

「今日は綾女ちゃんが泊まりに来ているでしょう? ゆめちゃんはお母さんに任せて、晃くんはお留守番してくれてると助かるわ」

「あ、そうか……」

 たしかにそうだ。今日に関しては父さんが出張に行っているので帰宅しない。そのため、俺が病院に行ってしまうと志藤さんが一人になってしまう。

「うん、わかった。じゃあ、ゆめを頼むね、母さん」

「もちろんよ」

 そうして母さんは、ゆめを抱えて、家を出た。


 母さんが家を出た後、階段から志藤さんが下りてきた。

「あれ、咲希さん、外に出たようだけど、どうかしたの?」

「ああ、ゆめが急に熱を出して病院に連れて行った。たぶん、二人とも病院で寝泊まりすると思う」

 俺は先ほどあった出来事を簡単に説明する。

 志藤さんは、ゆめのことを心配していたが、その後、ちょっと待ってと動きを止めた。

「ん、どうかした?」

 ハッとした様子の志藤さんに問いかける。

「えーっと、咲希さんとゆめちゃんは病院に泊まるのよね?」

「うん、たぶんそうなると思う。母さん、ゆめと自分の着替えを持って行ったし」

「それにたしか桂くんのお父さんも今日は帰ってこなかったはずよね?」

「うん、昨日から二泊三日の出張に行ってる」


「……つまり、今日は私と桂くんの二人きりってこと?」


「――――――あっ」


 どうしていままで気が付かなかったのだろう。父さんも母さんもゆめもいないとなれば、今夜家にいるのは志藤さんと俺だけになる。

 つまり、今夜はうちに二人きりということだ。年頃の男女が二人きりで同じ屋根の下で夜を過ごすのは、状況的にあまりよろしくない。


「えーっと、その、一応、部屋も分かれてるし、俺も客間には行かないから、とりあえず今日はこのまま過ごそうか」

 俺はビクビクしながらそう提案するしかなかった。

 以前、志藤さんをうちに連れてきた時も淫獣と罵られたのだ。こうも怯えてしまうのは仕方ない。

 どんなふうに罵られるのかと覚悟を決めていると、志藤さんは、はあっとため息を吐いた。

「まあそうね。今から家に帰ることもできないし、今日はこのままお邪魔することにするわ。けど、桂くんは絶対に客間に近寄らないこと。もし、近づいてきたら殺すから」

 志藤さんの目はマジだった。

 俺はこくこくと頷く。

「それじゃ、私はお風呂をいただいてもう寝るわ。桂くん、おやすみなさい」

「お、おやすみ」

 そして、志藤さんは洗面所の方に姿を消した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ