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33話★
同時刻、女子トイレ。
そこにはいつかの三人の女子生徒が集まっていた。他の生徒は競技に夢中であるため、彼女たちの他に人はいない。
「ねー、あや、本当にやるの?」
「当たり前じゃんっ、あいつ、この前は妙なことしやがって」
あやと呼ばれた少女は唇を噛む。
あの女が何をしたのかは、まだ全く分からない。そもそも、あれが現実に起こったことと認めるのも難しい。そのことが余計に彼女を苛立たせていた。
「それに、この体育祭の熱気に乗っかって、あの女に告白しようと考えている男子も多いらしいよ。その中には、あの工藤君も含まれてるってー」
「はっ? あの2Aの工藤君? 王子様って言われてるイケメンじゃん」
「そうそう。だからこの機会にやらないと、取り返しのつかないことになりそう」
「でも、どうするの?」
「フフ、作戦はもう考えてるわ」
「さっすが、あや。で、どうするの?」
「えーっとね……」
三人の女子生徒は互いに顔を近づけあって、周囲に声が漏れないようひそひそと話す。
そして、あやと呼ばれた生徒が全ての作戦を話し終えると、全員が意地の悪い笑みを浮かべるのだった。




