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25話★

 二章 第二


 志藤さんが、放課後に俺の家に来るようになることが決まってから数日が経った。

 あれ以来、志藤さんは毎日のように俺の家に来る。とはいっても、家に来たらすぐに母さんの部屋で魔導の練習をし始めるので、俺がやることといえば、俺の家から志藤さんの家まで、彼女を送ることぐらいだった。魔導の練習はほとんど夜が更けるまで行われるため、女の子一人で帰らせるのは不安だと判断したからだ。

 母さんの話を聞く限り、志藤さんの練習は順調なようだ。もともと彼女の要領がよかったのか、母さんに言われたメニューを着実にこなしていけているらしい。もしかしたら、彼女が魔導を習得するまでそこまで時間はかからないのかもしれない。

 

 また、志藤さんがうちに来るようになって変わったことがあった。

 それは、学園での俺との距離感だ。以前はそれこそ睨まれて終わりだったが、今では、挨拶を交わす程度にまでは進展した。


 キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン


 ここ数日の出来事を思い出していると、四時間目の終了を告げるチャイムがなった。これからは、全生徒がお待ちかねの昼休みだ。

 チャイムが鳴って礼をした後、俺は先ほどの授業の片付けをする。

 すると、近くに七海がやってきた。目の前に来るなり、彼女はパンっと両手を合わせる。


「ごめん、今日の昼休みなんだけど、わたし、新聞部の活動があって一緒に学食に行けそうにないの。だから、わたし抜きで行ってきてくれない?」

 星華学園の体育祭がもうじきやってくる。新聞部の場合、それ関連でこの時期は忙しいとのことだった。

「そういうことだったら、俺は昂輝と学食に行ってくるわ」

「そうだな。七海も部活、頑張って」

「ありがとー、待っててね、体育祭前に特大のスクープを記事にしてあげるから♪」

 そう言い残すと、七海は新聞部の部室に向かうべく、駆け足で教室から出ていった。


 七海が教室からいなくなると、遼は座っていた席から腰を上げる。

「それじゃ、今日は二人で学食にいくか?」

「あれ、今日は、牧原さんはいないのか?」

 いつも七海や遼の他に牧原さんともお昼を食べている。あの彼女大好き人間の遼が牧原さんと一緒でないのは珍しい。

 すると、遼はポリポリと頭をかいた。

「あー、今日は友愛、生徒会の仕事があるんだとよ。ほら、体育祭って生徒会が主体的になって動かないといけないからな」

 なるほど、それは納得だ。

 ということは、櫻木さんもこの時期は忙しいのだろうか。ふと、転校初日にお世話になった彼女のことを思い出した。


「昂輝、早く行かないと昼休みが終わってしまうぞ」

「あ、うん、すぐ行く」


 そうして、俺たちは学食へ向かうため、教室を後にした。


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