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うん、バレた

 私と新人さん達はしばらく固まっていた。えーと、なんと説明したものか。


『エルシィさん、すいませんでした!!』


「!?」


 新人さん達から示し合わせたかのような滑らかかつ息の合ったお辞儀をされました。


「魔族と魔物の復讐について話しといた」


「なるほど」


 ルイスが説明してくれたからこの反応なわけか。よくよく話を聞いたら、彼らは王都近郊に住んでいたので魔族についての知識がなかった。だからこそ、私につけられたのかもね。

 魔族について話をしていたら、私にボコられたウッドドラゴンが話しかけてきた。


「あの、お嬢様…私はどうしたら…」


「え?喋らないで、息しないで、消えて」


 ウッドドラゴンはメソメソ泣き始めた。うざい。


「ドラゴンはドラゴンになんとかしてもらうか」


 ドラン君を笛で呼んだのだが……


「!?!?」


 すげー音でした。耳が死ぬ!ルイスを涙目で見つめたら、苦笑していた。


「…服で聴力も強化されたみたいだね」


「うう……」



 そして舞い降りるドラン君。


「主、何用だ?」


 ドラン君は呼ばれてご機嫌だ。機嫌がいいとドラン君は尻尾をドシンドシンする。

 あ、して欲しいこと思いついた。


「ドラゴン種族に…いや、全魔族に『ルイスに傷ひとつつけたらぶっ殺す…いや、殺すよりひどい目にあわす』って通達して。そこのウッドドラゴンも今回はそれで許してあげる」


「…ウッドドラゴン…?そやつは何故ボロボロなのですか?」


「ルイス(の結界)に攻撃した」


 ドラン君は白いドラゴンだけど、顔が青くなった。


「ぬなななな!?なんたることを!真の魔王の最愛の花嫁様に傷をつけようとしたと!?」


「……え?」


 ルイスがキョトンとした。


「………………ええ?」


 ドラン君に説明を求めたルイスだが、ドラン君はドランワールドに没頭して語りだした。


「よいか、かの(きみ)は毎日我が主であるエルシィ様のために素晴らしい食事を作り、快適な巣を拵え、エルシィ様に不自由無きよう勤勉に働いておる!」

「真の魔王!?エルシィ…尊き竜の御子様!まさか…まさか魔王城の精鋭をものともせず、たった独りで魔王城を制圧したという…破壊(デストロイ)女帝(エンプレス)エルシィ様!?」


 ちょっとまてい。何その中二病感満載の二つ名。いや、真の魔王もアレだけど!是非とも返品したい。魔王はマオ君だからね!

 しかし、ウッドドラゴンのツッコミを無視してドラン君は続けた。


「格下である俺に頭を下げてまで、かの君はエルシィ様が所望したものを必ず入手する。エルシィ様が不在時には必ず教会に赴き、エルシィ様の無事を祈る。エルシィ様が好むものを揃えた完璧な巣作り、主への貢ぎ物のために働き、主の快適な生活のために誠心誠意働く姿…俺はかの君がエルシィ様のつがいに相応しいと考えた」


「ドラン君…そうか、ルイスを認めてくれたんだね」


 だからこそ、彼はルイスを背中に乗せたのだろう。


「そんな健気な花嫁だからこそ、エルシィ様も寵愛している。傷つけられれば烈火の如く怒り狂い、魔王城は花嫁様を手にかけようとしたがために陥落したと聞いた。さらに二人きりになれば常に花嫁に触れたがる。反応を見ながら愛でる様は微笑ましい。俺から見ると花嫁は恥じらいつつも発情「うああああああ!?最近友好的だと思ったら…!というか、覗いてたのか!?」


「たまに俺の背中でも発情「きゃあああああ!??やめて、お願い!土下座でもなんでもするから!!」


「ならば、この間のすてぇきが喰いたい」


「作る!いくらでも作るから内密にぃぃ!!そういういちゃついてるとかは他人に話したらダメだから!」


 気になることは多々あったが、一番気になることを聞いてみた。


「…発情してたの?」


「!??そ、そりゃ…好きな子に積極的に来られて悪い気はしないというか………嬉しい、というか…僕だって男だから……その………………してました」


 首まで真っ赤になってしどろもどろに話すルイスは天使です。


「ひあ!?」


 服の中に手をつっこみ、柔らかなお腹を揉む。少し筋肉がついたみたい。

 私に反応したってことだよね?嬉しいな!やはり清楚より肉食路線でまちがいなかったんだね!


「じゃあ、今夜は遠慮なくルイスを食べちゃおうかな?」


 耳を甘噛みしながら囁いた。ルイスが逃げない。しかし、泣きそうではある。


「!??たたたたたべ!?」


「ね、ダメ?」


 胸を弄りながら首をかしげる。上目遣いを意識した。弄るたびにルイスがビクビクと反応する。

 なんて可愛いんだろう。あんあん言いながら耐えるルイスは美味しそうだ。


「あぅ…そこ、いじらないで……だ、だだだだだだめ…では、ないけども……」


 悶えるルイスのフェロモンが凄まじい。このままいただいてしまいたい。


「うむ、睦まじいな。これだけ発情していれば子供もすぐ生まれるだろう」


「!!??」


 ルイスがものすごい速度で飛び退いた。そして、退避した。私すら反応できないスピードだった。


「ああああ…」


 ルイスをもっと堪能したかった。でも、今夜ルイスをいただいちゃう約束はしたもんね!お家でゆっくりいただこう!


「うあああああ…」


 ルイスは地面に転がって悶えている。かわゆす。


「主…ゴニョゴニョ」


 ドラン君からアドバイスをいただいた。早速後で試してみよう。

 ウキウキしていたら、ウッドドラゴンが話しかけてきた。


「グウウ…真なる魔王様とその最愛の花嫁様への非礼、心よりお詫び申し上げます」


「うん、無茶すんな」


 私により骨も粉砕されてんだから、土下座はいらない。傷を治してやった。


「なんたる慈悲…真なる魔王様のため、必ずや全魔族に花嫁様に傷をつけるなと通達いたします!」

「待て!主の命令を遂行するのは俺だ!」


 二体のドラゴンは飛び去った。


「エルシィさん…真の魔王って………」


「「あ」」


 そして私達と新人さん達がその場に残った。ルイスが可愛すぎて忘れてたけど…会話を聞かれてたよね!?

 ドン引きした表情の新人さん達を見て、もはやフォローは不可能だと悟りました。

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